見出し画像

NFTプロジェクトとICO

※本稿は、あくまで私見であり、関係する団体等の意見を表明するわけではなりません。また、あくまで当職の備忘録であり誤り等が存在する場合にはご指摘頂けますと幸いです。

NFTプロジェクトの多くは、NFTを発行し、販売して得られた収益を資金源として何らかのプロジェクトを実行するものが多い。
すなわち、資金調達としてNFTを発行するのである。そのため、多くのNFTプロジェクトの場合、NFTそのものを売りにするのではなく、NFTのホルダーに対するユーティリティなどを宣伝し、NFTを販売する。
なかには事前にホワイトペーパーを発行し、NFTの宣伝を行うプロジェクトもある。

この流れは数年前のICOの流れと類似していると考えられる。ICOもICOトークン発行し、資金調達を行ったうえでプロジェクトを実行していた。当時は、金融商品取引法も整備されておらず、トークンに対応していなかったため、ホワイトペーパーが全く実現されない詐欺的なICOが乱立した。
そのため、トークンに関する法整備が急がれ、現在では、ICOトークンについては、集団投資スキームとして「電子記録移転権利」(金融商品取引法)又は暗号資産(資金決済法)として扱われることになる。

NFTプロジェクト自体もICOと類似しているものの、NFTについては現在のところ「暗号資産」と扱われる可能性は高くないといえる。
他方で、NFTプロジェクトにおいて、得られた収益をNFTホルダーに還元するといった宣伝が行われていた場合には、「電子記録移転権利」と扱われる可能性が高いといえる。
すなわち、ICOではなくNFTプロジェクトであっても、有価証券(電子記録移転権利)として金融商品取引業を取得しなければならない可能性がある。

他方で、NFTプロジェクトで「電子記録移転権利」に該当しない場合であって、発行にあたってはホワイトペーパーに過度な期待を抱かせるような記載がないかなど気を付けなければならない。
金融商品取引業に該当しないとしても、売買契約として説明義務や適合性原則といった責任は発行者に生じうる。
ホワイトペーパーに記載されていたものが全く実現できないような計画であったときには、発行者が説明義務違反や適合性原則に基づき損害賠償責任を負う可能性は否定できないのである。

NFTプロジェクトを立ち上げる際には、「電子記録移転権利」に該当しないか、該当しないとして、ホワイトペーパーやAMAで説明したユーティリティがホルダーに過度な期待を抱かせるような内容になっていないか、あらためて確認する必要がある。
(NFTプロジェクトは、期待できるようなプロジェクトが多く筆者自身も期待しているプロジェクトが多々あるが、他方で乱立しており詐欺的な指摘も現れ始めた。ICOと同じく規制の道をたどらないためにもPFTプロジェクトの運営者において適切なプロジェクト運営が期待されます。)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?