独立体験記2 独立志向の芽生え

弁護士になって最初に就職した事務所を1年足らずで辞めて転職しました。


転職先は東京・銀座にある街弁事務所でした。
私を含めて弁護士4名程度、事務員さん3名程度の事務所です(いまはもっと拡大しています)。
給与は400万円強(会費自己負担)にさがりました。
自分にとって,長い目でみれば今は給与額の多寡より経験を積むことのほうが重要なことは明白でした。
そのため、給与が大幅に減ることはほとんど気にしませんでした。幸い独り身でしたし。
個人事件は完全自由、上納なしでした。
この事務所では、朝9時くらいから夜11時ないし12時頃まで働いていました(予定があるときは6時くらいに帰ることもありました)。
休日は、土日のどちらかを半日程度事務所にでていました。
時間管理は基本的に自由でしたし、個人事件をやる余裕もありました。

ボスは、褒めるところは褒め、不足している点はズバリ指摘する、とても良いボスでした。
先輩Bも気軽に事件処理の相談にのってくれたり、実務のknow-howを教えてくれました。
先輩Bが電話で話している声が丸聞こえですので、交渉の仕方などを学びました。
事務員の方々は連携をとりやすい方ばかりでした。
事務作業を含めて、事件の受任から解決までのknow-howを学べたのは本当に良かったと思います。

この事務所では、交通事故を中心に男女問題や自己破産、労働、著作権、塾の顧問、中小企業の顧問など幅広い分野を経験しました(顧問先も含め、依頼者の大多数は個人でした)。
仕事自体には特段の不満はなく、ボスとの関係も良好でした(ボスとはいまでも事件を一緒にやっています)。

もっとも、事件数が多かったことから、私個人的には,顧客との関係の持ち方に違和感が生じていました。
依頼者は自分が抱えているトラブルに不安を感じているであろうから、もっときめ細やかに依頼者と関わり合いをもちたいと思うようになりました。
この想いが独立志向の芽生えだったように思います。

また、将来を考えた時に、都心で個人事件を確保していくことは困難であると感じていました。
個人事件のツテはありませんし、弁護士ドットコム経由の電話も鳴らない。昇給もあまり見込めない。
そうなると都心で続けていっても先行き不透明であると思い始めていました。
将来、結婚して子どもが欲しいけれども、いまの状態だと経済的に厳しいなという思いもありました。
奨学金の返済に加えて貸与金の返済もありますし、、、
それに、結婚したら、適度に働いて、家族と過ごす時間をしっかり確保したいという想いもありました。
早く独立すれば、試行錯誤できるし、失敗したとしてもリカバリーが効きやすい。
将来を考えた時、早く独立したほうがいいという結論に至りました。

話が脱線しますが、なまじ給与を800万円とか1000万円とかもらっていると、その給与
なくなることを恐れて独立しにくいのではないかと考えています。
特に個人事件をやっておらず、事務所事件を中心にやっているひとなら尚更です。
事務所事件をやっていれば自然と人脈ができて個人事件も舞い込んでくるような立ち位置にいるひとは稀な存在だと思います。
結婚して、子供もできて、(家も買って)となると身動きがとれなくなってしまうと思います。
少しでも将来に不安ないし疑問を感じるようであれば,独立という選択肢を真剣に検討したほうがいいと思います。

私が独立したいという気持ちが芽生え始めたのは、弁護士になって2年目の終わり頃だったと思います。

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