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婚前契約への想い


こんにちは、弁護士コージくんです。

今回は私の婚前契約、パートナー間契約に対する想いについて、少しお話したいと思います。

■結婚観

前提として、私は「この人と生涯一緒にいたい」という人と結婚しようと思っています。おそらく多くの人も同じように思っているのではないでしょうか。

また、一度結婚する以上は簡単に離婚すべきではありませんし、結婚生活において生じる困難に対しても立ち向かう覚悟をもって結婚すべきだと思っています。

しかしながら、結婚生活を維持させることにより、あまりにも大きなストレスがかかる場合等においてまで、絶対に結婚を維持させなければならないとは思っていません。

■離婚

厚生労働省が発表している「令和2年 人口動態統計(確定数)の概況 結果の概要」によれば、年間の離婚数は19万3253件、婚姻数が52万5507件となっており、巷でよく聞く「結婚するカップルの約3組に1組が離婚する」を数字で示しています。

事情の違いはあるでしょうが、一度はこの人と一緒にいたいと思ったカップルが、離婚を決意するのは並々ならぬ事情があるはずで、この決意が誤っているなどとは思っていません。

とはいえ、それは本当に避けることができないものだったのか、何か手当やサポートがあれば未然に防げたのではないか、そうすることがカップルやその間の子供にとって一番幸せなのではないか、と考えることがあります。

そこで、離婚原因は何が一番多いのかを調べました。
離婚する際に、「離婚原因を離婚届に記載しないと離婚できない」というようにはなっていませんので、離婚に合意して離婚届を役所に提出したカップルの離婚原因の把握は困難です。

ただ、離婚を申立てた動機については、下記表のように裁判所が司法統計を出しています(出典:家事 令和2年度 19 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所)。

19  婚姻関係事件数  申立ての動機別申立人別  全家庭裁判所写し

この表を確認してみると、
「性格が合わない」
「異性関係」
「酒を飲み過ぎる」
「性的不調和」
「浪費する」
「家庭を捨てて省みない」
「家族親族との折り合いが悪い」
「同居に応じない」
「生活費を渡さない」
等が挙げられていますが、これらの問題について事前にしっかり話し合いをした上で、書面化することにより、離婚を一定防げるのではないか、と考えています。

■離婚時に関する争い

結婚したカップルが離婚をする場合、慰謝料、財産分与、親権等について決める必要があります。

一方が不貞等を行った場合のように、離婚原因を作り出した場合には通常、慰謝料請求が認められますので、慰謝料金額についてトラブルになることになります。

また、長年一緒にいた場合や一方が家事従事者である場合には、財産分与において、今の不動産にはどちらが住み続けるのか、何が夫婦財産なのか、保険・年金等をどのように分与するか、でトラブルになることが多いです。

子供がいる場合には親権についても、しばしばトラブルになります。

親権については、子供への愛情の深さからトラブルが深刻化することもしばしば見受けられます。その結果、「二度と顔を合わせたくない」「二度と口も聞きたくない」とおっしゃる方もいらっしゃいます。

一度は一緒にいようと決めた相手が、このようなトラブルを経たことにより一番憎むべき相手となってしまうことに大変な違和感がありますし、それはとても悲しく寂しいことだと思えて仕方ありません。

本来は、自分を良く知る最良の相談相手であるはずですし、子供にとっての良き親であり、子育てのパートナーであるはずです。

そこで、万が一離婚という形になってしまった場合に、離婚時のトラブルをできる限り深刻化させないため、その予防的な観点からも、婚前契約という形で先に決め事を作ることがひとつの答えなのだと思います。
もう一緒にいたくない相手と、トラブルになっていることについて、膝を突き合わせて話し合うのはけっこう大変なものです。

ちなみに、離婚時に直接の話し合いが困難な場合、調停等の裁判所が介入する手続の申立てを行うか、弁護士に依頼するか、またはその両方かを選択することになります。
これを未然に防ぎ、かつ、離婚となった場合でも離婚後の関係性がより良いものになるのであれば、婚前契約を締結したほうがいいと思うわけです。

少し前の資料になりますが、日本弁護士連合会が発表する「市民のための弁護士報酬の目安 [2008年度 アンケート結果版] A-12」によると、離婚事件の弁護士費用は着手金、報酬金合わせて平均40〜60万円前後、夫婦の双方が依頼すれば合計80〜120万円となっています。

※上記金額は離婚調停からの受任で解決した場合。交渉段階からの対応や、不調(調停内では話がまとまらないこと)になり訴訟に移行した場合は更に費用がかかります。
※また、離婚に関する弁護士報酬は、手数や労力、内容の複雑さ、請求の金額など様々な要因によって金額に相当の幅があります。あらかじめ弁護士に確認をすることが重要です。


■結婚法制

結婚は、法的には婚姻という法律行為になります。
そのため、結婚をすることにより、名字を同一のものにしなければならないという法的規制を受けたり、また一定の財産を共有にしたり、相手を養わなければならないといった法律効果が発生することになります。

民法の夫婦間に関する取り決めの多くは昭和22年に生まれたものです。
現代では、女性の社会進出や事実婚等の増加、生活様式の変化や多様な価値観・セクシュアリティの認知向上など、当時とは状況が大きく変わっています。だからこそ、私には疑問でならないことがあります。

当時の結婚観、夫婦観、家族観って現在に合っていますか?
昭和22年に想定されたもの以外の夫婦関係があって良くないですか?
それぞれのパートナー間に対応した夫婦の在り方があるはずで、在り方を法律で抑えつけられるのおかしくないですか?

婚前契約は今の2人の価値観を現実に反映することができるものだと感じています。
ぜひ、2人だけの夫婦の在り方を婚前契約で作りましょう。

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