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銀杏、ドングリ拾いって窃盗罪?!~山菜、貝殻の場合は?!~

街が色づいてきました。自然はしっかりと冬に向けて準備を開始している模様。一方の自分といえば、クローゼットには半そでが入っているし、コートも出してない。このままだと、秋を感じることなく冬になってしまう…。ま、まずいぞ。蹲っていても時間の流れは止まってくれないし…。心を燃やせ!全集中、秋の呼吸!

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ということで、秋へ全集中していきましょう。やはり、秋への第一歩は「食」から。味覚から秋を取り込むのが初心者にも最適でしょう。秋の味覚といえば、サンマ、ブドウ、銀杏、栗etc…と収穫期なだけあって選択肢は豊富です。

ネットを巡ればおいしい物が手に入るけど、やっぱりブドウ狩りとかしたかったなぁ。おっと、そういえばいつもの通り道に銀杏が落ちていたような…あれって、勝手に採集してもよいのかな?
子供の頃は公園に落ちているドングリを拾っていたけど、よくよく考えると窃盗とか占有離脱物横領罪とかになるような…。

秋の味覚のために、このあたり、スッキリさせておきましょう!!

そもそも植物は誰の物なのか?

原則として、草木はそれが生えている土地の所有者の物とされています。木に成っている銀杏等の果実は木の構成物なので、木が生えている土地の所有者の物になるのが原則です。これはキノコや山菜も同様に考えられています。

と言うことで、成っている果物を勝手に採ると窃盗罪が成立する可能性があるのです。

落ちている果実は…?

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木に成っている果物を無断で採るのがダメなのを押さえたところで、次に気になるのは、地面に落ちた果実を無断で採った場合はどうなるのか?ってところですよね。

結論から言うとこれは民法で決められていて、果物等の天然果実は木から分離するときに、これを収取する権利を有する者に帰属するとされています(民法89条1項)。

民法第89条1項
天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する。

ということで、果物の所有権は通常はその果実が成る木の生えている土地の所有者や管理者の占有に属していることに。ただ、地面に落ちた場合は所有者の占有が及んでないと考えられていて、窃盗罪ではなく占有離脱物横領罪の成立が検討されます。

あれ、これじゃドングリを拾った子供にも犯罪が成立してしまう…?

実際のところ

まぁ、現実的には公園に落ちている銀杏とかドングリを拾ったとしても、所有者が銀杏やドングリの所有権を放棄したとして犯罪が成立しないと考えられています。

但し注意したいのが、これは一般的な児童公園や公道の街路樹の話であること。私有地はもちろんのこと、国立公園、国定公園、都道府県立自然公園では石一つでも採取は禁止となっています(自然公園法20条3項)。また、場所によっては採取を禁じていることもあるので、管理者に確認しましょう。


貝殻とか海岸の砂の場合は?

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ここで気になったのが、貝殻の採取。海岸に行ったときに思い出のひとつとして拾ってくるけど…。あれもまさか犯罪に?

まず、先程と同様に国立公園、国定公園、都道府県立自然公園では基本的に採取は禁止。
その他の地域の場合は、個人レベルでの採取は問題ないとされているけど、地域ごとに政令や条例の決まりがあるので、やはりこちらも管理者への確認が必要な模様。

海岸法第8条
(海岸保全区域における行為の制限)
第八条 海岸保全区域内において、次に掲げる行為をしようとする者は、主務省令で定めるところにより、海岸管理者の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める行為については、この限りでない。
一 土石(砂を含む。以下同じ。)を採取すること。

管理者に確認して、クリーンな思い出を作りたいですね。

魚介類の場合は?

確かに海は全人類の共有物ともいえますが…。魚介類の場合は、貝類や海藻類などの水面に定着する魚介類と海を自由に泳ぐ魚との場合で規制が異なっています。

貝類や海藻類の場合

当然無断で採ることは禁止されています。貝類や海藻類などの水面に定着する魚介類の場合は漁業権が適用されるとのこと。この漁業権は魚介類の採捕を独占させる権利で、この権利がある人にのみ採捕が許されています。これを無視してアワビとか採っちゃうと漁業権侵害で訴えられてしまうので注意しよう。
また、サンゴについては、環境の点から採取が禁止されています。

参考:◆「漁業権について」(漁業権)
https://www.jfa.maff.go.jp/j/enoki/gyogyouken_jouhou3.html

参考:◆「造礁サンゴ類の採捕等は禁止されています。」(沖縄県)
https://www.pref.okinawa.jp/site/norin/suisan/gyogyo/sango.html

魚の場合

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一般的なレジャーとしての海釣りの場合、漁業権侵害は生じないとされていて、釣りを行うことは問題無いとされています。魚は海を好き勝手に動くから、所属がはっきりしないってことみたいです。ただし、この場合も場所によっては釣りを禁止している地域もあるので、管理者の仰せの通りに行動しましょう。

ちなみに川釣りは漁業権が必要な場合が多いので、注意しましょう。川の場合は海と異なり、魚が自由に移動できないので魚の所属が問題になる模様。


さて、秋の味覚への疑問も解決したし、銀杏狩りにでも行きますか。

全集中 秋の呼吸 壱ノ型 銀杏拾い!


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