本当のありがとうって
「ありがたいと思ってなくてもありがとうって言うでしょ。あれってどう思う。特に仕事のメール。」
「嘘も方便なんじゃない。会話の取っ掛かりだよ。」
「英語の場合はとにかくthank you から入るしね。でもね、本気のありがとうか単なる枕詞かはありがとうに続く文章で丸わかりでしょ。」
「ダダ漏れだよね。むしろ怒ってるくせにありがとうとか書かれるとこっちもむかっとくる。」
「むかっとくるのをぐっと堪えてありがとうと言い合うのが仕事ってもんじゃないかと、やっと諦めがつき始めた。」
「やっとかよって思わないでもないけど。」
「だよね。自分でもそう思う。」
「でもね、とんがったままでいて欲しい気もするんだよね。だってお互いもうそんなこと気にする人もいなくなるくらいの年頃でしょ。いい歳してとんがってるのも悪くないよ。」
「自分は尖らないくせに。」
「そういうのはそっちに任せる。」
「ただね、どんなに長いものに巻かれても本当にありがたい時にありがたい人に心から感謝の気持ちを表せる人間でありたいと思う。」
「結局人間性の問題だね。」
「ありがとうはその人の本質が宿る言葉なんだ。」
「教えてくれてありがとう。」
「こちらこそ気づかせてくれてありがとう。」
End
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?