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青木古書店の不思議な一日 その4

青木が昨夜から今までの出来事を一通り話し終えると正午を回っていた。

長谷川は時々質問を挟みながら熱心に話を聞いていたが、やがてこう言った。

「もう昼か。お腹が空きましたね。一緒に昼に行きませんか。外の空気が吸いたいのでコンビニで弁当でも買って公園で食べたいな。」

「近所に時々散歩がてら休憩に行く公園がありますよ。そこで昼にしましょうか。」

ベンチに二人並んで座って食事を取る間、二人は取り留めもなく話し続けた。そのうち青木は自分のプロファイルをほぼ全て長谷川に語っている事に気がついた。さすが刑事だ。この人は相当なやり手かもしれない。そんなことを思った時、長谷川が真面目な面持ちで話し始めた。

「さてと、お気づきでしょうが、外で昼を食べようと言ったのは青木さんの店に盗聴器が仕掛けられている可能性を考慮したのと、外食先で聴き耳を立てられないようにと思ってのことです。外出している間に侵入されないよう、お店には警備の者を配置しました。」

「犯人がまたやってくると考えているってことですか。」

「おそらく。青木さんは気づかなかったと思いますが、お話を聞いている間にお店の前を通りすがりを装った男が複数うろついていましたから。店の中を覗っていました。」

「全く気がつきませんでした。さすがは刑事さんですね。ということは、犯人は別の本を狙っているんでしょうか。」

「かもしれませんし、店に何か重要な物を置いてきていてそれを取りに戻ったのかもしれません。いずれにせよ危険を冒してでも犯行現場に戻る必要があるってことかと。」

「これからどうすれば良いでしょうか。さっきも言いましたが特別値打ちのある本も物もありません。犯人が何を狙っているのか見当もつかないんです。」

途方に暮れる青木の隣で長谷川は少し考え込んでいたが、やがて意を決して話し始めた。

「今夜警備を外して犯人がもう一度侵入するのを待ってみたいのですが。」

続く

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