
|『脳マネジメント〜脳を味方につけて独自性と創造性を発揮する技術』の「はじめに」を全文公開します。
12月6日(金)に、La torche, Inc代表 秋間早苗の著書『脳マネジメント〜脳を味方につけて独自性と創造性を発揮する技術』が発売となります。
VUCA・AI時代に、これまでの延長線上にはない「これから」をどう創っていくか、が問われています。そのような状況の中で、知らず知らず働いている脳のクセに着目し、私たちが独自性と創造性を発揮するためのアプローチ「脳マネジメント」を紹介しています。その「はじめに」の全文を公開します。
はじめに
「このままの延長線上では、まずい!」
「これからの時代を生き抜くために、変わらなければ!」
「従来のやり方が通用しない。じゃあどうすればいい?」
「本気で何とかしようとしているのは、自分だけ?」
そんな「これまで」から「これから」に向けて、大きく変わることが求められている流れが私たちを取り巻いています。
利益や株価といった数字や、組織の大きさ、認知度を競ってきた企業の在り方も、成績や学歴といった物差しや、ちゃんとできるいい子の像が目指されてきた学校の仕組みも、いい学校やいい就職、安定したキャリアを求める個人の生き方も、このままじゃ通用しないものになって久しいのですが、「それでは、これからどうすればいいのか?」に正解を見出せず、戸惑い、難しさを感じて翻弄されてはいませんか?
「これまで」の延長線上を超えて「これから」を共に創っていくためには、どうしたらいいのか?ー本書では、20年以上試行錯誤する中で辿り着いた私たちのパフォーマンスを引き出す「脳マネジメント」というアプローチについてご紹介していきます。
ここでいう「パフォーマンス」とは、個人であれ、組織であれ、VUCAの中でも存在発揮することを意味します。力を注げば注ぐほど、消耗ではなく、逆により力が湧くこと、何者にも代えがたい、その存在ならではの情熱の源泉から力を駆使して、独自性や創造性を発揮することを目指していきます。そのために、誰もが持っているにもかかわらず、すべてを解明しきれておらず、探求心をくすぐってくれる「自分事」に考える余白を引き出してくれる媒体として、「脳」を取り上げています。より科学的であることよりも、新しい概念が物語として立ち上がりVUCAを生きる補助線となることをゴールとしています。
一方、「脳」と「マネジメント」という2つの言葉が並ぶと、
「最新の脳科学の知見が学べそう」
「効率的に生産性を上げる方法が見つかりそう」
「思い通りに自分や誰かを動かせるのかもしれない」
ーといった印象や期待が生まれるかもしれません。しかし、実は、この本はいわゆる「生産性や効率性という個人や組織のパフォーマンスを上げよう!」という「脳ハック本」ではありません。従来のアプローチでは、立ち行かない現代だからこそ、ここで本書では、少し違う切り口から、誰もが持っている「脳」という臓器を扱っていきたいと思います。
私自身は、脳や認知に関する科学者・研究者ではなく、事業開発や教育、行政など、さまざまな分野の個人・組織に対して、変革の伴走をしてきた実践者(コンサルタント)です。20年来、「これからの時代に向けた人や組織、社会の変容をいかにつくっていくか」の試行錯誤をしてきた実践者・探求者として、その歩みから編み出したアプローチをここにまとめようと筆をとりました。
元来、周囲を喜ばせたくて、求められることや期待には応えたい性分。「頑張る」のが得意で、「ここではないどこかに正解があるんじゃないか」と地元を飛び出し、「世界をよりよくする方法」を求めて、東京大学に入学しました。そこで、国際協力について学び、ソーシャルビジネスについて探求していた私は「サステナビリティ」という言葉に出会います。まだSDGsという言葉も生まれていない20年も前のことですが、「これこそ、『これから』に必要なキーワードだ!」と強烈な直感に突き動かされて休学。この「サステナビリティ」をテーマにして世界中から実践・研究をする若者を集めた国際学生サミットや、国内の学生団体が集うサミットを主宰するに至りました。
コロナもリーマンショックもまだ起きていなかった当時は、既存の社会が大きく変わっていくなんて想像するのは難しく、「このままじゃマズイ!」という危機感も、「こんな未来を一緒に創ろうじゃないか」というかけ声も、虚しく響く社会環境でした。それでも、「いかに、これからの世界を共創していけるか?」という命題に取り組むために、大学院卒業後、すぐに起業の道へ進みます。
就職も研究職も選ばなかったので、まさに正解のない、先の見えない道なき場所を模索する日々。その中でいくつかのご縁から、国内外のビジネスのみならず、行政やNPO、教育、医療など、分野を超えた領域の人々や課題と向き合う仕事をつくってきました。結果、「頑張る」アプローチの限界を経て心身を壊す経験もしましたが、2017年に株式会社La torcheを立ち上げてからは、結婚・出産を経ていたこともあり、より「誰もがその存在ならではの力を発揮して、次世代に価値あるものを渡すこと」に突き動かされてきました。そして、アフリカやアジアなどの新興国でのビジネス開発や、国内での社会事業化プロデュースなど、さまざまな立場の方々と携わる中、あることを痛感します。
それは、「これまでの延長線上ではまずい!」という危機感から生まれた現場では、驚くほど似た構造の課題が横たわっていること。いかに多くの人が自分自身や他者に対して無自覚な「まなざし」を投げかけているか、それが天と地ほど、もたらす結果の質を変えてしまう、ということでした。
たとえばー
⚫︎「どうせ自分なんて」と、自分や人の力を蔑ろにしてしまうこと。
⚫︎「あれがない、これがない」と、「ないもの探し」や、わかりやすい「問題」に固執してしまうこと。
⚫︎ 何かが「違う」となると、反射的に「間違い」や「エラー」のように自動変換して思考停止したり、時に「なかったことに」したりしてしまうこと。
⚫︎「みんなと合わせないと」「正しくちゃんとしていないと」と、自分の個性や主体性を押し殺して消耗してしまうこと。
などなど。これらは何気なく、自分や周囲にむけた「まなざし」に起因しています。いずれも、私たちの意思や意図を超えて、脳がパワフルな「無自覚なクセ」を自動発動させた結果なのですが、これらはせっかく生まれた、「これから」に向けたあらゆる変革の芽を潰し、せっかく立ち上がった人たちの心意気をいとも簡単に削いで消耗させてしまいます。
そこで私は、国内外のさまざまな現場で得た知見をもとに、分野横断的な話題なども重ねて、「これまで」の延長線上を超えて「これから」を共に創っていくための鍵はこの「脳のクセ」をいかに扱っていくかにある、という確信に至りました。
脳が良かれと知らず知らずのうちに働いていくこの「暴走」を、マネジメントすることは、先に述べたように「脳ハック」のような単なる個人の生産性向上術ではありません。それは、個人から組織、社会にいたるまで、「これから」を一緒に創っていくための「脳を味方につけて独自性と創造性を発揮する技術」なのです。
多くの人は知らず知らず、自分の脳に無自覚に振り回されている状態にあるといいますが、なぜ、そんな状態に陥っているのか? どんな弊害が引き起こされているのか? そもそも、脳を味方につけるとはどういう状態か? 脳を自覚的に、味方につけるにはどうすればいいか?そして、それがなぜ「これまで」の延長線上を超えて、「これから」をともに創っていく鍵となるのか?ーその一つひとつを凝縮して本書に詰め込みました。
このように、本書は私のこれまでの20年以上の探求の成果であり、「これまで」の「こうあるものだ」というアプローチに対して違和感を持ってしまった人、「これから」に対して主体的に何かをつくろうとしている人たちと共に歩むための視座、補助線を提案するためにお届けする本なのです。この新しい概念を取り入れていただくために、本書は次の構成でまとめています。
第1章 VUCAな社会に蔓延する閉塞感・あきらめ・無力感の正体
:みなさんが抱える悩みを解析し、とりまく実情や内在する課題を整理し、脳マネジメントとは何かをお話しします。
第2章 人類の進化と脳の暴走
:脳の進化の歴史から根付いた、無自覚に根付いた脳のクセとその特徴を読み解きます。
第3章 無自覚な脳を巡る7つの資質
:脳マネジメントとは何かと、その前段となる脳の7つの資質を解説します。
第4章 基本の脳マネジメントー個人が変わる
:個人レベルで実践する脳マネジメントのアプローチを紹介します。
第5章 私たちの脳マネジメントーチームや組織が変わる
:チームや組織における脳マネジメントのアプローチを紹介します。
第6章 脳マネジメントはVUCAな社会と未来を灯す松明となる
:社会のさまざまな場面における脳マネジメントの活用例をお話しします。
きっと読み進めていただくうちに、自分の「ものの見方」に変化があることを実感し、読み終えたときには、これまであきらめかけていたことさえも「できることがある」と勇気が湧いてくるはずです。
さあ、一緒に「これから」の時代を生きていくための「脳マネジメント」を探求していきましょう。
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いかがだったでしょうか?
この「はじめに」から始まる新刊「脳マネジメントー脳を味方につけて独自性と創造性を発揮する技術」は、2024年12月6日(金)発売です。
(注)ウェブ掲載にあたり、可読性向上のため、改行を加えています。
Amazon予約はこちら
(可能な方は、発売日当日12/6(金)の朝9:00-10:00の間にご購入いただけたら大変ありがたいです!)
他、関連イベント情報が続々更新される公式ページはこちらです。
著者プロフィール
秋間早苗 Sanae Akima
株式会社La torche(ラトルシェ)代表取締役
2005年、東京大学農学部卒業。在学中よりサステナビリティや国際協力に関心を持ち、2007年に国際学生サミットを主宰。
前例も正解もない、ゼロからプロジェクトを立ち上げる経験を通じて、自身の創造力を最大限に発揮できる領域を見出し、2008年に同大学大学院国際協力学を修了後、起業の道を選ぶ。産官学連携プロジェクトや多分野にわたる事業開発をリードしながら、事業性と社会性の融合、マルチステークホルダーの共創関係構築に取り組む。
2017年、結婚と出産を経て株式会社La torcheを設立。これまでの経験と領域横断的な知見を基に、独自のアプローチ「脳マネジメント」を打ち立て、個人や組織がその「存在ならでは」の価値を最大限引き出すための支援を行っている。国内外の現場で培った人間理解に基づき、持続可能な未来を志向した人材育成と組織づくりを目指し、積極的に発信を続けている。
カナダ・バンクーバー在住。2児の母。