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【イベントレポート】学習学提唱・本間正人さん主宰「調和塾」|『脳マネジメント』 とは?〜これからの時代に必要な"省エネ脳"との向き合い方〜

『脳マネジメント』著者が語る、これからの時代に必要な"省エネ脳"との向き合い方

「これまでの延長線上ではダメだと気づいている人は多いのに、では具体的にどうすればいいのか、分からないのはなぜか」

12月1日、オンラインコミュニティ「調和塾」で行われた対談で、『脳マネジメント』の著者である秋間早苗氏は、現代社会が直面するジレンマをこう表現した。カナダ・バンクーバーを拠点に活動する秋間氏(La torche, Inc.)と、学習学の第一人者である本間正人氏との対話からは、これからの時代を生き抜くためのヒントが次々と明かされた。

「省エネ」を好む脳の性質

人間の脳は、1日に使用する代謝エネルギーの20-25%を消費する臓器だという。そのため、『できるだけエネルギーを節約しよう』とする性質があるという。

『脳の省エネモードを体感して見ましょう』

格子の交差点に黒い点が見える?

秋間氏は画面に格子状の図を映し、参加者に問いかけた。
「黒い点はいくつ見えますか?」
格子の交差点に現れては消える黒点。実際には9つの点が存在するにもかかわらず、一度に全てを認識することは難しい。これこそが、脳の「省エネモード」の表れだという。

「脳は省エネの宿命を持っているため、パターン化された情報は簡略化して処理してしまいます。知っていても、そう処理をせざるを得ないほどパワフルな省エネモードが、私たちの中に組み込まれているのです」

前例踏襲と"ないもの探し"の罠

この「省エネ脳」は、現代社会の様々な課題の根底にあると秋間氏は指摘する。例えば、行政サービスにおける縦割り構造。ある参加者は、障がいのある子どもの相談窓口で、「子どもの窓口」と「障がい者の窓口」の間で押し戻される経験を共有した。

「人を分類してカテゴリーに分けること自体が、省エネ思考の一つなんですね」と本間氏。「行政は人を分類して、その分類された項目ごとに政策を構築しようとする。でも、どこにも属さない人が必ず発生する」

また、「ないものを探す」傾向も省エネ脳の特徴だという。「あれがない、これがない」と不足を見つけることは、実は脳にとって最も楽な処理方法なのだ。

新しい時代への処方箋

では、どうすれば省エネ脳の制約を超えられるのか。秋間氏は、図解やフレームワークの活用を提案する。「頭の中のモヤモヤを外に取り出して、目に見える形にすることで、複雑な問題も扱いやすくなります」

ミネソタからのオンライン参加者の「省エネでないモード(自家発電モード)の弊害は?」との質問に対し、意外な答えが返ってきた。「実は省エネモードの方が疲れます。ないものばかりに目が行き、心身を痛めつける結果になってしまうのです」

本間氏は「100年学習時代」を提唱する立場から、「失敗」という言葉の捉え直しを提案する。「トライして、うまくいかなくても、それは失敗ではなく『未成功』と呼びましょう。必ず気づきや学びがあるはずです」

世界へ向けた展望

対談の終盤、秋間氏は次なる展望を語った。「この本を翻訳し、世界中の仲間たちに届けたい。脳の使い方を変えることで、違いを活かし合える社会を作っていきたいのです」

本間氏は「単純化された思考では、単純なことしか起こらない。一番簡単なのは勝つか負けるかを決める戦争です。もっと曖昧なことを曖昧なまま受け止められる。そんなトレーニングを教育の中でもやっていけるといい」と締めくくった。

(イベントここまで)

20年前、当時東大本郷キャンパス前にあった、本間氏のオフィス・セミナースペースで、秋間氏と出会っている。新刊のアプローチを探索するキッカケがその頃の学びにある、ということから本イベントが開催された。

※ 当日の様子の動画でのレポートも近日公開予定

秋間氏の新刊『脳マネジメント』は12月6日発売。12月10日には代官山 蔦屋書店でトークイベントが開催される。

詳しくは、「脳マネジメント」公式ページへ


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