初めての客先訪問には、とりあえず3C分析
若手が仕事を覚えてある程度任されてきたら、身に付けていかないといけない能力は「自ら考える力」だと思います。
自分が将来どのような人間になりたいか、役割やポジションなどのビジョンを思い描き、マインドセットをすることにも繋がりますからね。
しかし一方で自ら考える力はいきなりは身に付かないので、この力自体を養うトレーニングスキルも必要で、様々なツールを使いこなすスキルもその一環です。
そんなことを思っていたら、先日初めての顧客を訪問した時、これってトレーニングに最適なのでは?と気付きました。
顧客と対面して話す時、特に初めての客先となれば慣れていないこともあって何を話して良いか非常に悩ましいですよね。
そんな時にどうやって考えて良いか。今日はそのとっかかり部分にとても有用なツールの紹介です。
人はやったことないことへのフットワークが重い
人は大抵やったことが無いことや、できないことに取りかかる場合はフットワークが悪くなります。
今まで指示を受けて仕事に取り組んでいた人が、自ら考えて取り組まなくてはならなくなった場合、そもそもどうやって考えて良いか、、、その方法が分からないと思います。ここが自ら考えることの壁でもあると思います。
例えば、新規のお客さんから問い合わせがあり、初めて訪問することになりました。最初のご挨拶と与件のオリエンテーションをして貰います。
そんな時、皆さんならどうしますか?
とりあえずオリエンだから行ってみりゃいっか!という感じでしょうか。
実際行ってみたらどうなるでしょう。あんまりお話ができず、殆ど一言も話せないまま終わってしまったりしないでしょうか。上司や先輩を見て自分ももっと話せるようになりたい!と思うんじゃないかと思います。
もしそこで相手の事業内容や強み弱み、顧客の特徴などについてお話が出来たら、初対面でも少し踏み込んだ話はできるし、相手も調べてくれたんだと伝わって印象も良くなるかも知れないですしね。
では、そんな初回訪問時、いったい上司や先輩はどうやって話を膨らませているのでしょうか?事前に何を調べているんでしょうか?
何を調べて良いか分からない。そんな若手にお勧めしたいのが、3C分析です。このフレームワークに則って行うと短時間に効率良く事前情報を収集することができるようになります。
3C分析とは
3C分析とは、マーケティング(売上を伸ばすための事業活動全般)を行う上で、少なくとも、Company(自社分析)、Customer(顧客分析)、Competitor(競合分析)という3つのCは考えましょうという抜け漏れを防ぐフレームワーク(概念)です。
3C分析
▼Company 会社のことを調べる
事業内容や特徴など(社風、強み、弱みなど)
▼Customer 顧客のことを調べる
買ったり使ってくれる人(toBなのかtoCなのかなども)
▼Competitor 競合のことを調べる
競合となる企業や物(業界のトップは誰か、ライバルは誰かなど)
一般的に、こういった概念は商品プロモーションや販売戦略を考えたりするマーケティングツールとして紹介されますが、この3C分析はそれ以外のことについても世の中のかなりのモノゴトに対して幅広く活用できます。
マーケティング以外でも何かモノ・コトを考える時に3Cを意識するように癖をつけ、物を考える時にとりあえず使うくらいの感覚で使い倒し、ツールとして身に付けること。これが大事なところで、このnoteの要点です。
余談ですが、3Cは企業だけではなく自分に置き換えて自分の強みは何か、自分の強みを評価してくれる人は誰か、ライバルは誰かなどと考えても使えるくらい汎用性がありますよ。
3C分析をした場合の初回打合せ、ビフォーアフター
さて先ほどの例に戻します。仮にですが、Web制作の相談があるとして初回打合せでオリエンを受ける時、あなたがもし先輩に「オリエンに行くからヒアリングする内容を考えておいて」と言われたら何を考えますか?
良くある質問内容
・何を作りたいんですか?
・作る目的はなんですか?
・何を掲載しますか?
・素材はご支給ですか?
といったヒアリング内容になってしまうじゃないでしょうか。要するにWebディレクターが良く持っているヒアリングシートの内容です。
確かにそれは重要です。しかし、それって極端に言うとメールで送って記入して貰えばすんでしまうような気もします。
では3C分析を事前にして質問をしたらどうなるか?
3C分析をして訪問した場合
・御社の事業の顧客層は○○ですよね?商材の魅力としてはやはりこの部分ですか?決め手になるのは何になるんですかね?
・競合は□□社だと思うんですが、素人目では商品力では負けてないと思うんですが、□□社の強みっていうのはどの当たりなんですかね?
・なるほど、御社は△△という強みがあるからそこを伸ばしていきたいと。それで弊社にお声がけいただいたんですね。何となく経緯が見えてきました。
と言った話になってきます。先方の表情が悩んで強ばったり、笑顔でほぐれたりと表情を変えながら色々と良い点悪い点などを話してくれると思います。
前者と後者、どちらの人にもっと話したい、相談したいという気持ちになるかといったら当然後者ですよね?
初回訪問時は特に何を作るかではなく、そもそも何をしたいのかという本質的な話を聞くことが重要です。
それができていれば、その他の内容はざっくりとですが、抑えとして以前紹介したQCDに関係することを聞けば大丈夫です。
QCDに関係する質問
・こだわる優先順位となる部分はどこでしょうか(Quality)
・予算は幾らくらいでしょうか(Cost)
・公開日と納期はいつでのしょうか(Delivery)
若さは強力な武器
冒頭に書いた通り、人は何かをはじめる時、とにかく時間がかかります。それは何から手をつけて良いか分からないからですね。
特に若手は手法を知らない(身に付けていない)からなんですね。と言うことは逆にチャンスなんです。
若い内に3Cのようなフレームに慣れ、考える訓練を積んでおくと同僚にとても大きな差が付いてきます。
そしてもうひとつ。歳を取ったベテランと言うのは仕事が頼みにくくなります。
そもそも仕事をお願いすると単価が高そうで予算は多く掛かりそうだし、年上だからお願いしにくいし。所謂、心の距離があります。
しかし、自分と同年代か年下なのにしっかり話ができれば優秀な人と見られ頼りにされるだけでなく、歳を取ったおじさん相手の余計な懸念なく、予算面でも会話のしやすさでもお願いがしやすくなります。
若手の強み
・時間単価が安い(予算が取りやすい)
・心の距離が近い(お願いしやすい)
・同年代ではまだスキルを持った人が少ない
若いと言うことはそれだけで価値なので、なるべく早く自ら考える手法を見つけて使いこなし、成長の道標を描くのが良いと思います。
ちなみにもう少し言うと若手が優秀だと思われたら上司はもっと優秀だと思われるので、会社自体が優秀だと思われるようになります。若手にはそんな効果もあります。
広告代理店なら4Pはあまり使わない
私のnoteは基本的に何かをやりはじめた時の最初にある壁を超える話が多いのですが、今回は3Cを紹介しました。
私は広告代理店での経験が多いので、自ずと広告代理店をベースに話しています。それで言うと3Cはマーケティングツールと言われていますが、広告代理店で働く人にとって、殆どの職種で役立つ万能なツールだと思います。
例えグラフィックを作るデザイナーだとしても、確実に役立つツールだと断言します。
3C分析について調べると、必ずといって良いほど、SWOT分析や4P分析と言ったフレームワークが出てきます。3C同様にマーケティングの基礎となるフレームワークとして紹介され積極的に活用していくように促されています。
しかし、特に4Pの方には注意が必要です。3Cと同様に良く聞く4Pは広告代理店では個人的にはあまり役立った経験がありません。
4P分析のフレームワーク
戦略を検討するために以下4つの観点で分析をするフレームワーク
・Product(製品) 製品の強みなど特徴
・Place(流通・販路) どこで販売するか
・Price(価格) どのくらいの価格設定か
・Promotion(販促) 認知集客はどうするか
幅広く使える3Cというツールに対し、4Pは割と使用用途が狭い特に商品開発に向いているツールだからです。
3Cと4Pの違い
3C:状況の分析に使えプロモーションに向いている
4P:商品開発の設計に向いている
広告代理店の仕事は商品開発とは別のプロモーション領域が殆どです。
広告代理店への仕事は恐らく99%が商品開発やリリースの目処がついている段階で相談が来ます。そしてメーカーさんやサービス提供会社さんは独自の調査で販売価格などを決めており、持っている販売経路や流通で商品を市場に届けていきます。
このような販促プランがおおよそ決まっているタイミングに、4Pの概念で価格だの販路だのの話をプロモーション領域の人間が持ち出してクライアントに意見をするのは、ドツボにはまる危険性が極めて高いので気を付けた方が良いです。
余談でしたが、ツールと言うのは使い方が重要です。使いやすいツールを見つけて早く使い倒して、使いにくいツールを無理して使うのはやめようというお話でした。
まとめ
特に広告代理店が対象かと思いますが、若手向けにまとめます。
初めての客先訪問に3C分析が有用な理由
・クライアントのことを調べるのに3C分析を使うと効率が良い(時間と要点)
・ツールはマーケティング部が使うものではないが、使いどころが重要
・若い内に便利なツールに慣れておく
・製造ではなく販促(プロモーションなど)の領域では4Pは使わない方が無難
ツールに慣れて考える癖をつけ、仕事が楽しくなっていくと良いですね!
終
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?