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作品紹介|FRISKケース #03

解説

Maker Fair Tokyoの出展作品として製作。
LargeBoys結成のきかっけとなった思い入れの深い作品である。
その時のエピソード詳細はこちら|なぜ巨大ものづくりアートをつくるのか(1)
 LargeBoysの製作は毎回が新たなチャレンジだ。さらに、作るものが巨大なので労力も材料費もバカにならない。大きな失敗はできる限り避けたい。
そこで、製作のファーストステップではミニチュアサイズのサンプルを作り、様々な問題点を確認しながら製作を進めていく。

 FRISKの場合は本作の前に3DプリンタでFRISKケースのミニチュア(と言っても現物の8倍サイズだが)を作った。ミニュチュアのケースでフタの噛み合いを確認したところ、形状に誤りがあることが分かった。

ただちに図面を修正し、本作では事なきを得た。備えあれば憂無しである。
人生も製作も常に準備を欠かさず本番に臨みたいものである。


どのように作ったか


①計測 
 FRISKケースを分解し、ノギスとR定規を使って外形寸法を計測する。

②設計
 計測した寸法を3D CADに起こして、3Dデータ化する。

③ラベルのトレース
 FRISKのラベルをスキャンする。スキャン画像をIllusratorに取り込みロゴデータをトレースする。
企業ロゴはネットにデータが落ちているものもあるが、実物と形状が違っていることがあるので、全て自前でトレースした。綺麗にトレースするコツとしては、ベジェ曲線を極力使わず長方形や円などベーシックな幾何学形状を組み合わせて作成する。こうすると直線とアンカーポイントが少ない曲線だけで構成されたオブジェクトに仕上がる。

④試作
 3Dプリンタで形状の仕上がりを確認する。一見無駄な作業に思えるが一手間かけることで後々の作業が一段と楽になる。

⑤ラベルのプリント
 ラベルはデータさえできてしまえば後はプリントするだけだが、本物そっくりに印刷するのはそう簡単では無い。macのモニタ上で現物と同じ色合いに見えてもプリンタの特性や印刷する材料の組み合わせによって印刷の仕上がりは様々である。印刷の条件やデータ設定を調整しながら試し刷りを繰り返し、なんとか現物に近い色味を出すことができた。

⑥パーツの削り出し
 巨大FRISKケースは長さが900mm高さが90mm程ある。3Dプリンタの出力可能なサイズをはるかに超えていたため、1m以上の木材が加工できる木工用CNCマシニング(ShopBot)を使用した。
 ShopBotは大きな材料の加工に適しているものの、加工可能な材料の厚さは最大で30mmである。そのため、巨大FRISKケースの製作においては3Dデータを厚み方向に30mmづつスライスし、パーツを分割してから加工した。

⑦組み立て・塗装
 ShopBotで切り出したパーツをボンドで貼り合わせる。自動で削り出したパーツは寸法の狂いも無く綺麗に貼り合わせることができた。ボンドが乾いたら水性塗料で塗装。さらに乾燥させて、最後にラベルをケースの上部に貼り付けたら完成である。

材料


・MDF
・ステッカーシート
・水性塗料(白)


使用機材


・木工用CNCマシニング:ShopBot
・大判プリンタ:MUTOH VJ‐1617H
・3Dプリンタ:Afinia H800

費用

・2万円ぐらい

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