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How to spend your day ?|Reeta Ek

How to spend your day ?
フィンランド人デザイナーに聞く、今の暮らし

Reeta Ek(レータ・エーク)は、ラプアン カンクリのESKIMO(エスキモー)シリーズなどを手がけるテキスタイルデザイナー。二人の息子と夫とともに、ヘルシンキ郊外で暮らしています。フィンランド人は、もともと家で過ごす時間が長いことで知られているけれど、コロナ禍の今、どんな生活を送っているのでしょう。

--フィンランドの人々は、いまどんな風に暮らしていますか?

レータ:フィンランドという国は、ヘルシンキの中心を除けば、ほとんどが田舎町。どこも森や水辺に囲まれ、土地は広く、となりの家との距離もかなりあるのが普通です。そういう意味では、東京のような大都市に住む人と比べて、普段から家族で過ごすことが多いし、静かな環境に身を置くことを好む国民性を持っているの。だから、一連のSTAY HOME期間は、多くの人にとってそれほど難しいことではなかったはずよ。

--家に重きをおく暮らしがフィンランドには根付いているのですね。ニューノーマルな暮らし方については、どう考えていますか?

レータ:そもそもフィンランドでは、STAY HOMEは義務ではなかったし、マスクの着用を強制されることもなかったから、コロナ禍でも精神的に余裕があって。フィンランド人は、従順で「するな」と言われたことはしない国民性を持っているから、義務ではなくとも、それぞれ自覚的にSTAY HOMEしていたわ。私の家族についていえば、普段から4人で一緒に過ごすことが多いから、家で過ごすことについてもアンノーマルだと感じずにいられたの。だから、ニューノーマルという言葉について、特に意識はしていないかもしれない。ただ、以前より時間がある分、週末になると家族でヌークシオ国立公園まで足を伸ばすようになったわ。

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--それはいいですね。そんな日はどんな風に過ごすの?

レータ:日によって5〜8キロくらいウォーキングをしながら、合間にランチを食べたり、コーヒーブレイクをするの。いつもどおりの暮らしができていても、時には不安な気持ちになるでしょう。そんな時は、自然に囲まれるのが一番。なによりも効果の高いリフレッシュ方法よ。

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--北欧各国では、隣人同士、励ましあうために、窓辺にテディベア置く新しい習慣が生まれたと聞きました。

リータ:そうなの!うちの窓にもあるわ。勇気づけるメッセージを切り文字にして、子供たちが窓に貼ることもある。写真の窓のサインは「コロナを打て」の意味。もうひとつは、うちの子が道路に書いたメッセージで「いつか、一緒にKirkkis(フィンランドでとてもポピュラーなアウトドアゲーム)やろう!」という呼びかけなの。

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--明るい気持ちになりますね。窓辺にメッセージというところが、少しシャイなフィンランドの国民性が表れているような気がします。子供たちは、どう過ごしていますか?

レータ:1ヶ月の間、学校が休校になったけれど、先生たちがすごく頑張って、質の高いオンライン教育のシステムをあっという間に作り上げてしまったの。それはとても素晴らしいもので、うちの子なんて「自宅学習の方が普段よりずっとよく勉強できたよ」なんて言いだして。

--子供たちが家で勉強となると、仕事は?

レータ:私が上の子をアトリエに連れて行って、夫が下の子を家で見ているの。

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--夫婦平等の役割分担ですね。さすが、フィンランド。

レータ:そうね。でも、アトリエに子供がいるということは、さすがにアンノーマル。オンライン学習はとてもよくできたシステムだけれど、うちの子は、長男が10歳、次男は8歳。勉強するといっても一人では集中できないから、私も夫もとなりで様子を見てやる必要がある。いつも通りに仕事をするのは難しいわ。

--その問題は、どうやって解決しているの?

レータ:朝、アトリエに着いたら、息子と一緒にオンライン学習。ランチをして、私が仕事につけるのは、実際、午後の2時ごろからね。でも、仕方がないかな。息子の勉強を見てやることは、私にとって発見にあふれていて、すごくよい経験だと気づいたわ。10歳にもなると、授業の内容が私にとっても学びのあるものだったりしてね。まだ、具体的ではないけれど、この状況に合わせた働き方で制作を続けていけるといいと思っています。

--子供たちの友達との過ごし方は、どう変わりましたか?

レータ:子供たちは、外遊びが中心ね。できるだけ広い場所で、距離をとりながら。それでも楽しくコミュニケーションを取ろうと、子供たちなりに工夫をしていると思います。

--親戚付き合いはどうしているの?

レータ:田舎に住む70代の両親には、しばらく会えなかったのだけれど、このあいだ、やっと訪ねることができたの。屋外で会うというルールを決めてね。別々の建物だったけれど、久しぶりにサウナに入れたのがすごくよかった。子供たちは庭のトランポリンで遊べて嬉しかったみたい。

--サウナに行く時もあえて両親と建物を隔てて会うという心遣いが、家族愛と規律を守るフィンランドらしさを感じますね。この写真は?

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レータ:実家の別棟にあるサウナキャビンとその壁にむかし描いた落書きよ。今は、毎週末行くようになって、サウナの後は目の前の湖でスイミング。心からリフレッシュできて、一週間のハイライトという感じ。

--新たに生まれた習慣はある?

レータ:ずっと子供と一緒にいるから、帰宅したら、子供たちが外で遊んでいる間に夫婦で散歩に出かけるようになった。

--家族の時間が増えた分、夫婦だけで、もしくは、ひとりで過ごす時間をあえて作ることも大切なんですね。

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※こちらのインタビューは、6月上旬に行ったものです。


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Reeta Ek(レータ・エーク):

フリーランスのデザイナーとして活躍中。主にマリメッコ社の女性/子供服、ホーム用品のテキスタイルプリントデザインを手がける。デザイナーとして活躍する傍ら、図案へ興味を持つようになりヘルシンキのアアルト大学にてテキスタイルデザインを学び、大学のプロジェクトでラプアン カンクリと出会う。あらゆるところからひらめきが湧き、日常生活、自然、街からインスピレーションを受けて生まれるという彼女の作品は、自由かつ美しいシンプルな北欧スタイルが再現されています。