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Lifestyle|Pikku Onni 小さな幸せ〈03.父の日と母の日〉

始まりは数年前の旅行。自然と街との距離が近く、湖のある風景や自然体で話をする国民性に「肌感覚が合う」と、フィンランドに魅了されたまりこさん。アアルト大学院生となった現在も、日々新しい発見の連続と言います。今回は、現地の父の日&母の日の過ごし方をお友達や自身のエピソードをもとに伝えていただきます。

日本で人気の「ムーミン」。フィンランドでも多くのグッズが販売されていたり、アニメが放送されていたりと人気です。実は哲学的な内容になっていて、大人も楽しめるストーリーだと聞きました。今回は、そんなムーミンのパパ・ママの名言からフィンランドでの父の日・母の日について少しご紹介できればと思います。

フィンランドでは、家事も育児も夫婦で分担するのが当たり前。そして夫婦の絆も強いことで知られています。その一方、実は離婚率がとても高く*、家庭によりますが、子どもが離婚した両親の元を週替わりで行き来することは、割と自然な光景です。母親や父親の異なる兄弟たちと一緒に住むことも珍しくはありません。再婚している友人も同様で、子どもがいない週に私たちを家に呼んでくれたり、夫婦だけの時間を過ごしたりしています。

多様な家族の形があるフィンランドですが、それぞれの形で家族の時間をとても大切にしているなと感じます。そんなフィンランドでは父の日と母の日をどのように過ごすのでしょうか。友人に聞いてみました。

* 総務局統計局が発表する1000人あたりの離婚率は、日本の1.7人に対してフィンランドは2.5人(いずれも2018年時点)。


Hyvää isän päivää(父の日)

“(ムーミンパパは、自分の家族と自分のベランダが、たまらなく恋しくなってきました。そして、突然、さとったのです。)あそこにいてこそ、限りなく自由で冒険心に満ちみちていることができるんだ。それでこそ、本物の父親なんだ。” 出典:『新装版 ムーミンパパの思い出/トーベ・ヤンソン著(講談社文庫)』

冒険心に満ち溢れたムーミンパパは、子どもからするととてもかっこよく映るものです。こちらにきて、送り迎えをするお父さん、平日の夕方子どもと一緒に遊ぶ優しいお父さんの姿を見かける一方、サウナ小屋を作ったり、険しい道を自転車で走ったり、アクティブなことに挑戦する冒険心のあるお父さんの話もよく聞きます。

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フィンランドの「父の日」は日本と異なり、11月の第2日曜日にお祝いされます。そうとは知らず、昨年のその日に友人とアイスホッケーのゲームを観に行くと、家族連れが多いことに気づきました。

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フィンランド人の友人曰く「父の日はアイスホッケーのゲームを観に行く、もしくは、テレビで観戦するのが恒例行事」とのこと。そして父の日は毎年必ずスウェーデン対フィンランド戦。日本で言うところの阪神対巨人戦のような雰囲気でしょうか。フィンランドではアイスホッケーが国内最も人気の高いスポーツ。私は初めて生で観戦したのですが、リンクの氷が選手のシューズで削られる音やスティック同士がぶつかる音などが聞こえ、初心者の私も大興奮!ゲームの合間に、お父さんと子どもたちがスクリーンに映し出されたりして、父の日を祝ってもらっているお父さんの嬉しそうな顔が微笑ましかったです。

お出かけしなくても家族で過ごすのが一般的。お父さんの好きなケーキを焼いたり、食事をしたりとみんなで団欒の時を過ごします。サウナのタオルやウイスキーをプレゼントしたりすることもあるそう。さすがは、フィンランド!


HYVÄÄ ÄITIENPÄIVÄÄ(母の日)

“ちょいとひと休みしましょ”
出典:『新装版 ムーミンパパの思い出/トーベ・ヤンソン著(講談社文庫)』

フィンランドの「母の日」はお母さんがゆっくりと過ごせる日。特別なその日をどんな風に過ごして、子どもにどう祝ってもらっているのか二人の小学生の母でもある友人のSanna(サンナ)に聞いてみました。

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「当日朝、子どもたちが家の庭や裏の森などからお花を摘んできて、お母さんにプレゼントするのが一般的かな。まだ眠っている母親に、家族がベッドまで母の日のプレゼントと一緒に朝食を運ぶっていう昔ながらの習慣もあるよ」学校では、子どもたちが母の日のプレゼントを手作りするそうで、Sannaは毎年それを受け取るのが楽しみだと嬉しそうに教えてくれました。

Judit(ユーディット)も子どもの頃はケーキを作ってあげたり、母の日のシンボル的な花、シニヴオッコ (sinivuokko:雪割草)やヴァルコヴオッコ (valkovuokko:二輪草)、薔薇の花をあげたりしていたそう。「大人になって親元を離れてからは、母の日は家族で集まって一緒にブランチしたり、お花の代わりに何か小さなプレゼントをあげたり。ただ一緒に住んでいないから、家に着くと、お母さんが既に自分でケーキを作ってた、なんてこともあるんだよね(笑)」


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私も、シニヴオッコやヴァルコヴオッコを見つけに中央公園(Keskupuisto)へ出掛けることに。ヘルシンキの中央駅からバスで30分ほどの場所にある公園には、家族や夫婦でのんびりとお散歩を楽しむ人たちやランニングをしている人も。たくさんのヴァルコヴオッコがあちこちに咲いていました。そちらで撮影した写真をお届けします。

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今では私よりもフィンランドについて詳しくなっている母。日本にいる母にこちらのお花をプレゼントはできませんが、この記事を通して、お花をプレゼントができればと思います。

今はすぐに写真を送れたり、ビデオ通話で簡単に話もできますが、あえてフィンランドの葉書で父と母に日頃の感謝の気持ちを伝えたいなと、この記事を書きながら思いました。

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