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フィンランドやテキスタイル、ラプアンカンクリにまつわる暮らし。
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記事一覧

Lifestyle|フィンランドのクリエーター図鑑 〈18.メルヴィ・パサネン〉

首都ヘルシンキから北へ100km。国内で2番目に大きなパイヤンネ湖の玄関口として知られるラハティは、フィンランドで最も南にある湖畔の町です。フィンランドの地形は、氷河期の影響を強く受けていますが、中でもラハティにはモレーン(氷堆積)やエスカー(氷堆丘)などの氷河地形が色濃く残っています。 例えば、町の中心から数十キロ北にあるプルッキランハルユは、今からおよそ1万1000年前、フィンランドを覆う大陸氷河が衰退を始めたときに、氷河の下を流れる流氷によって削り出された砂や岩などの

Lifestyle|フィンランドのクリエーター図鑑 〈17.イェミナ・ヴァッリ〉

首都ヘルシンキから北西へ350km。フィンランドの南ポホヤンマー地方の自治体クリッカは、国内でも有数の農業地帯として知られています。すぐ近くを高速道路が走っているので市区町間の往来が盛んで、のどかな田舎町には心地よい活気が循環しています。 クリッカの南部ヤラスヤルヴィで農場を管理しながら、養蜂家として活動するのがイェミナ・ヴァッリさん。ビジネスパートナーとともに立ち上げた〈 Hunaja Hetki〉では、自分たちの農場で採れた国産蜂蜜や蜜蝋キャンドル、蜂蜜由来の化粧品など

Lifestyle|フィンランドのクリエーター図鑑 〈16.ハンナ・ブロテルス〉

首都ヘルシンキはまた一つ季節が進み、朝晩は氷点下まで気温が下がる日も多くなってきました。今月末にはサマータイムが終わり、時計の針を1時間戻して日本との時差は7時間になります。 この町を拠点に、ダンサー、振付師、監督、作家としてマルチに活躍の場を広げる、ハンナ・ブロテルスさん。多様なバックグラウンドをもつ人々と協働しながら、数多くの作品を創出する舞台芸術のパイオニアとして国内外に知られる一方、専門知識を活かしてボディコンディショニングやエクササイズなどのワークショップも定期的

Lifestyle|フィンランドのクリエーター図鑑 〈15.ハンナ・リューナネン〉

9月16日はKanteleen päivä-フィンランドを代表する民族楽器カンテレの日です。フィンランドのカンテレ協会は、現地時間13時(日本時間19時)にみんなで一つの曲を演奏するフラッシュモブイベントを予定しています。メイン会場はヘルシンキ中央図書館Oodiですが、カンテレをお持ちの方は世界中どこからでも参加できます 。#kanteleenpäivä2023のハッシュタグから、カンテレの秋を体感することができます。 カンテレの日をお祝いして、私たちのコラムでも今回は、古

Lifestyle|フィンランドのクリエーター図鑑 〈14.ヘイディ・ウュニッラ〉

首都ヘルシンキから西へ142km。トゥルク近郊のリエトはヘルシンキと同程度の面積ですが、人口密度は低く、手の届く範囲にスーパーや医療施設などの生活利便施設がある暮らしやすい町づくりがなされています。南北に長いフィンランドの南に位置するリエトでも、8月に入ると朝晩には秋の足音が聞こえます。この時期、町の小学校ではイルタトリ(夕方のマーケット)が開かれたり、地元のオーケストラによる野外コンサートが企画されたり。過ぎゆく夏に笑顔で手を振る人々の表情には、充実の色が浮かびます。 こ

Lifestyle|フィンランドのクリエーター図鑑 〈13.マイヤ・フレドリカ〉

フィンランドの首都ヘルシンキは、夏の盛りを迎えています。青空に映える白亜のヘルシンキ大聖堂では、階段に腰をおろしてアイスクリームを片手に日向ぼっこをする多くの観光客や地元の人たちで賑わっています。 この町を拠点に、ビジュアルアーティストとして活躍するのがマイヤ・フレドリカさん。個性豊かな作品には、素材の可能性に美学を重ねながら技術を磨く、作り手の誠実な心が映し出されています。 今回は、知識や経験で耕した土壌から唯一無二の作風を育む、クリエーターの暮らしの根っこを紹介します

Lifestyle|フィンランドのクリエーター図鑑 〈12.ミア・ニュベルグ〉

首都ヘルシンキから西へ約130km。フィンランドの最南端に位置するハンコは三方を海に囲まれ、約30kmに渡る砂浜が続きます。夏の避暑地としても人気で、太陽の日差しが照りつけるビーチでは、多くの人々が刹那の夏を肌に焼きつけています。 この町で生まれ育ち、ファブリック専門店で働きながら、サワードゥブレッド職人として注目を集めるのがミア・ニュベルグさん。天然酵母を使って焼き上げたパンに見事な手技でカッティングを施し、その出来栄えに世界中のベーキングファンが熱い視線をおくっています

Lifestyle|17歳、フィンランドからの手紙 〈14.道は続くよどこまでも〉

Moi!cocoroです。 2021年、17歳の夏。高校留学のため一人フィンランドにやって来てから、もうすぐ2年。その頃からずっと続けてきたこの「17歳、フィンランドからの手紙」の連載は、今回で14回目になりました。時おり以前のコラムを読み返すと、当時の自分の気持ちや記憶が蘇ってきて、タイトルのとおり、このコラムは私自身の“今”を書き留めた「手紙」なのだと感じます。 8月からは高校2年生。学業にさらに専念するため、コラムの連載を終了させていただくことになりました。今回はこ

Lifestyle|フィンランドのクリエーター図鑑 〈11.リー・エッセルストロム〉

首都ヘルシンキから北西へ370km。港町ヴァーサはフィンランドとスウェーデンを分けるボスニア湾に面し、スウェーデン語を母語とするスウェーデン系フィンランド人の文化の中心地として重要な役割を担っています。ヴァーサで人気の観光エリアの一つが、商家の夏の別荘地として建てられたマナーハウス「strömsö(ストロムソ)」。現在はフィンランドで人気のテレビ番組のロケーションとして活用され、番組のタイトルにも起用されています。 この番組の司会を長年務めるのが、手工芸作家のリー・エッセル

Lifestyle|17歳、フィンランドからの手紙 〈13. 春の訪れ〉

Moi!cocoroです。 長い冬が明け、こちらフィンランドでもようやく春の兆しが見えてきました。私が住む中部地方のタンペレでは、日の入りが15時だった1月から毎日数分ずつ日照時間が伸び、最近では夜21時頃まで太陽が輝いています。 懐かしい陽の光と初春のまだひんやりとした空気。南方からフィンランドへ帰ってきた渡り鳥たちの可愛らしいさえずり。そこら中にできた細い水路から小川へ、小川から湖へと流れる雪解け水のサラサラという心地良い音。屋根や道路脇に積もった雪は解け始め、長く隠

Lifestyle|フィンランドのクリエーター図鑑 〈10.マリア・マルムストロム〉

緑あふれるフォルッサはテキスタイルの町として知られています。首都ヘルシンキからは北へ102km。タンペレやトゥルクなどの主要都市にも足を伸ばしやすい立地にあることから、フィンランド南西部を観光する拠点としても少しずつ注目されはじめています。 フォルッサの西側に位置するタンメラには湖が200ほど点在し、2つの国立公園があります。自然豊かなのどかな町では、夏になると中世の衣装を着て当時の暮らしを再現するお祭りが開かれます。 この町でドールハウス作家として活躍するのが、マリア・

Lifestyle|17歳、フィンランドからの手紙 〈12.北極圏の暮らし〉

Moi!cocoroです。 フィンランドの北極圏、スウェーデンとの国境近くにあるRaanujärvi(ラーヌヤルビ)という小さな村。1月の初め、その村に暮らす日本人女性のユリハリユ勝美さんを訪ねました。 勝美さんがフィンランドへ移住したのは、2007年の春のこと。日本で出会ったフィンランド人のパートナーと一緒に、北極圏にあるラップランド大学へ入学。手工芸に関心があった勝美さんはテキスタイルデザインを学んでいました。 渡航から3年の間に2人の子供が生まれ、ユリハリユ家は4

Lifestyle|フィンランドのクリエーター図鑑 〈09.アンナ・ヨハンナ・アルエ〉

首都ヘルシンキから北へ270km。3700を超える湖がきらめく湖水地方、フィンランドのおへそに位置するユヴァスキュラ。丘の上にある展望台からは、森と湖が折り重なるコンパクトな町並みを眺めることができます。今はまだ厚い氷に覆われたユバスキュラ湖。雪解けまではまだもう少し時間がかかりそうです。 この町でニットデザイナーとして活躍するのが、アンナ・ヨハンナ・アルエさん。自分で紡いだり、世界中から取り寄せたりした毛糸を使って多様なパターンをデザインしています。 今回は、紡いだキャ

Lifestyle|17歳、フィンランドからの手紙 〈11. ロヴァニエミ旅行記 vol.2〉

モイ!cocoroです。 前回に続き、ロヴァニエミでのひとり旅・後編をお伝えします。 ロヴァニエミの中心街はケミ川という大きな川で周りを囲まれていて、それをまたぐ橋は2つ。ひとつは北東へ、そして私が目指すOonasvaara(オーナスヴァ―ラ)は、南東へ向かう橋を渡った先にあります。 この日、私がしたかったこと。それは冬の森のハイキング。ロヴァニエミにはたくさん自然を楽しめるスポットがありますが、その中でもOonasvaara talvikävelyreitti(オーナ