yd't(even)k

僕にはもう日記を書く元気がない。

僕。中学生ごろ、一時期一人称が「僕」だった。ネット上でだけだけど。女子っぽさみたいなものからなるべく距離をとりたかったし、向いているとも思ってなかったから、せめてネット上でだけでも、と言う感じだった。だから「僕」には親しみがある。(親しみ?)
短歌をつくる時や文章を書く時も、「私」じゃなくて「僕」を使いたいなとたまに思う。でもそれは勇気がいることだ。別に一人称なんて何を使ったっていいし、ましてや短歌だぜ、とも思うけど、はじめに「女であることの否定」として僕を使ってしまったから、その感覚から出られずにいる。女がわざわざ「僕」を使っている、というふうなってしまうことがけっこう嫌だ。だから「僕」も「私」もふつうに使える男の人が羨ましい。
そもそも、男をノーマルな状態、女をそれに色がついた状態だと思っている節がある。主体が女なんだなと思った瞬間に、たとえば本来白の紙が赤く染められているような感じに想像してしまう。男女二つしかないのに片方を片方の変異だとしか捉えられないってのは変だ。
うーん……

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5月にクリーニングに出してから受け取り忘れていた服を回収した。クリーニングに出すような服は、それ相応の価格と思い出がのっているので、2ヶ月も受け取り忘れてたことにびっくりだ。

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君は暗い部屋か暗いベランダにいるというけど、私は明るい部屋か明るいベランダにいるので、交わることがないと思う。

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お金がないと言いながら1030円するアイスコーヒーを飲んでる。意味わからん服も買ったし。交通費だからってモバイルパスモに5000円ずつチャージしてる。金がないのはどう考えても金遣いが荒いからだ。そもそも家計簿つけてないし、何にこんなお金が消えていってるのかよくわからない。先月のバイト代は5000円ちょっとだった。そんな気色悪いシフトの入れ方してるやつ他にいない。

生まれてから一番精力的に過ごしているので、時間の流れるのが早い。記憶も恐ろしいスピードで薄れていく。たくさんの人と話すから、どの話を誰としたか忘れる。けっこうな頻度で見かけるのに名前を覚えられない人もいる。本来かなり記憶力がいいほうなので、関わる人の名前と顔はすぐ一致するし、それなのに忘れる/覚えられないっていうのは、もう脳みその処理速度が間に合ってないんだと思う。速度制限がかかってる。
たくさんの人と関わる分、別れも多くなる、それが苦しい。私もそうだからわかるけど、さようならした相手もきっと私のことをすぐ忘れるだろう。滝のような毎日の、流れる水の奥底にひらひらと落ちていって、取り返すのにはけっこうな労力が必要で、そうする発想も体力もなくて、どんどん上書きされていく。もう更新されなくなったホームページみたいになる。
さいきん、それをひっくり返すチャンスが転がってきた。私が手を伸ばしさえすればまた同じ舟に乗って流れてゆけるという感じ。かわりに一つ宝物を失う。
水底から上がってきたブラックオパールと手元のダイヤモンド、どちらが価値のある宝物か見極めなきゃならない。
本当にどうしようね!
どうしようね〜。
何をしても間違いだと思う。これ以上前に進みたくない。
もし君を選んだら、今日食べたいものがハッキリするかもしれないな。だとしたら嬉しいな。

室内から流れてくる冷たい空気がわたしの二の腕を撫でて通り過ぎていく。やわらかい熱風に混ざってもうどこにいったかわからなくなる。ふたつの空気が混ざり合うところは存外きもちわるい。

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