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クラシコレビュー・選手採点・展望

マドリディスタ、そしてクレの皆さん今日も早朝からの観戦お疲れ様でした。

マドリディスタにとってはようやくクラシコで勝ち切る事が出来たのこれ以上ない1日のスタートになりましたね。本記事では(勝手に・独断と偏見で)今朝のクラシコのレビュー、選手採点、今後の展望をつらつらと綴って見たいと思います。

レビュー

マドリーの布陣は今季ビックマッチで採用されているイスコを起用した4141で試合に望みました。ただLSBが調子の上がらないマルセロというのが1つサプライズになったと言えるでしょう。

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前半マドリーの守備バルセロナにボールを持たせ自陣でリトリートしたことがシティ戦との大きな違いと言えるでしょう。相手の二列目にボールが入った所からプレスを仕掛ける事でファイナルサードで決定的な仕事をさせないような構成になっていました。ナポリが前節でバルセロナ対策として講じたシステムに類似していたように見えます。しかし残念ながらナポリほどの機能を発揮することは叶わず、前半はバルセロナに4つの決定機を与えてしまいました。クルトワのパラドン、相手のシュートミスに助けられなんとか持ち堪えたという印象です。

攻撃面に関してはイスコがスタメンの時に起こる”左サイドの過密化”が大きく改善されていました。ヴィニシウスがハーフスペースを使ったりPA内に入ることによって、より得点を期待できるポジショニングをしていたことベンゼマの留まる意識が向上していた事がその理由だと思います。その結果18分にマルセロがサイドを抉った場面ではマーカーが中央のヴィニシウスとベンゼマに釣られたためイスコがエリア内で完全にフリーで待つ事が出来ました。これによってそれまで攻撃になかった厚みを持たせるきっかけになると予測できます。ヴィニシウスのオフザボールの動きがこの短期間にここまで変わるものとは信じ難いですが今日は”ボールを持っていない時間”の方が素晴らしいプレーをしていたように思います。左サイドの”渋滞”が改善された事でフィニッシャーとしてのイスコ・クロース・ヴィニシウスにも今後期待ができるのではないでしょうか。一方右サイドはフェデが他の等していましたがカウンターで抜群の切れ味を発揮するポテンシャルはあるものの遅攻となるとどうしても手詰まりとなりサイドを変える、あるいはカルバハルの個人技に頼らざるを得ない状況だったと言えます。純粋なRWGでないので仕方ない部分がありますがベンゼマなどのサポートが必要なのは明白でした。

後半 マドリーは打って変わって相手陣内から積極的にプレスを敢行し前半とは立場を逆転させることに成功しました。ボールを保持し、失えばすかさず取り返す、ルーズボールは取り切るなど”超攻撃的なプレッシング”で中盤を掌握。ファーストディフェンダーとしてプレスをかけるイスコはこの戦術では既に欠かせない選手と言って差し支えないでしょう。そして何よりもフェデバルベルデが不可欠だと感じます。彼のトラジションの早さは現マドリーでも頭抜けており、それを実現させる為に必要な”スタミナ・戦術眼・スピード”を揃えています。後半はこういった攻めるための守備がうまく機能したこと・前述した攻撃面の改善が噛み合ったことで歯車が回り出し最上の結果を生んだと言えるでしょう。

選手採点

GK クルトワ 8.5 

今季サモラ賞最有力候補の男。アルトゥールとの1v1を始めとするセービングでチームに勝利をもたらす事ができるGKとこの大舞台でも証明。カシージャス以来マドリディスタが渇望してきた”エース級の守護神”。凡そ半世紀ぶりにリーガクラシコ2試合共に無失点を達成する偉業を成し遂げた。

RSB カルバハル 7.0

精彩を欠いたシティ戦を払拭するような獅子奮迅。右サイドの広大なエリアを走り続けカバーに、攻撃に奔走。今日はクロスの質が非常に良くサイドからの攻撃で大きな可能性を感じさせた。現マドリーの要。何処かで休んでもらいたいが・・・

CB   ヴァラン 6.5

今日はいい意味で目立つ事が少なかった。しかしながら決定機を確実に摘み取りチームのクリーンシートに貢献。毎試合これくらい集中して欲しいものである。

CB   ラモス 6.5

ヴァラン同様そこまで目立ちはしなかったカピタン。カードも貰わずクリーンに、しかし着実に守備の要として君臨した。FKはクロースやイスコに譲ってください。

LSB  マルセロ 5.0

以前まで左サイドで絶対的な地位を築いていたこのベテランブラジル人もメンディの台頭から”サプライズ枠”へ。後半メッシのカウンターを阻止した事でヒーローとも言えるが試合通してのパフォーマンスはお世辞にも褒められたものではなくストロングポイントが消失してしまっている。

CDM カゼミロ 8.5

彼もカルバハル同様先週精彩を欠き続けた男。しかし今節では、レアルマドリーにカゼミロありと知らしめる圧巻のパフォーマンスを披露。相手の攻撃の芽を悉く摘み取り、それでいてファールを献上せずクリーンに仕事をした。まさに影の仕事人であり今節のMOMに推す声が多いのも納得。

RM   フェデ・バルベルデ 7.0

今最も旬でノリに乗っている21歳は正にマドリーの肺となり守備に攻撃に奔走。そのトラジションの速さが今日のような試合では大きな助けとなった。観客席で見守る妻と先日誕生したばかりの息子へ勝利を届けた。

CM   イスコ 7.5

何かと批判の対象とされ日本ではスケープゴートの様な報われない立ち位置のイスコ。今日は左サイドを円滑に回すとともにピッチ上のいたるところに顔を出した。スペースの活用次第でフィニッシャーとしての可能性を改めて思い出させた。今節がマドリーで300試合の節目。ゴラッソで祝えたらよかったもののテアシュテーゲンとピケに阻まれた。

CM   クロース 8.0

恐ろしいほど冷静な男。ゲームのタクトを完璧に振るいチームを勝利に導いた。ヴィニシウスの先制の場面、彼に指示を出す姿が印象に残った人も多いのではないだろうか。先制後オープンな展開になった所でチームを落ち着かせたプレーも素晴らしかった。

LM   ヴィニシウス 8.0

最近上がり調子でシーズン序盤の批判を徐々に沈めている若きクラック。最後の閃きやパス・シュード精度が未だ大きな課題ではあるものの今節では劇的なまでにオフザボールを改善。その結果値千金の先制点をゲット。チームの雰囲気を考えても彼が奪った一点は非常にポジティブなもの。ただやはりシュートとクロスは練習して頂きたい。

ST    ベンゼマ 5.5

中央に留まる意識は上がったものの決定機逸脱が目立ち、かと言って決定機を演出することも叶わず。前半戦の勢いは鳴りを潜め”ネコ”に逆戻りしてしまった。

CM   モドリッチ 6.0

クローザーとして彼が控えている心強さは計り知れない。

RM   ルーカス 6.0

息子と揶揄される彼だがクローザーとしてここまで優秀な選手はなかなか見つからない。今日もFK獲得でしっかり時間を稼ぐ&カルバハル御大の補助に奔走した。

ST    マリアーノ 8.5

ほぼ昨季から戦力外で彼にする期待は交代での時間稼ぎと誰もが思っていた中でチームに勝利をもたらす追加点をゲット。この試合その1プレーしか関与しなかったが何よりも価値のある1プレーであった。飢餓状態のストライカーはやはり最高の仕事をすると証明。迷いなくシュートを選択するメンタリティをベンゼマにも分け与えて欲しい。今後ヨビッチ、ベンゼマにプレッシャーをかける事ができるのか、一躍注目を浴びる存在に。




展望

この試合でマドリーは前後半と別チームへ変貌しました。この修正力こそがジダンの最大の強みの1つであると思います。そして今日散見されたいくつかの新しい事が定着するか否かで今後の成績に大きな影響を及ぼすでしょう。非常にポジティブな要素の多かった今回のクラシコです。特にマリアーノの活躍によって前線のポジション争いが活性化する事があれば素晴らしいシナジーを生むと思います。

それとは反対に危惧するところは”代え”の効かないカルバハル、カゼミロをどのように休ませていくのかという点でしょう。特にカルバハルは毎年休みが少なく終盤必ずと言っていいほど怪我に見舞われています。今季は特に彼の力が必要な状況、どのようにローテーションをするのかジダンの勇気が問われます。

クラシコに勝ったとはいえ未だ勝ち点は1差、マドリーは次節からも難敵を控えているため全く浮かれてなどいられないのが現状です。この試合を勝利に導いたいくつかのファクターを分析し「攻守において再現性のあるシステムを構築できるのか」マネジメントも含め、ジダンの手腕が問われるのはここからでしょう。


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