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「好き」を通じて、地域と人がつながる体験を ー 研修から育った『本とトートでつながルー プロジェクト』

2019年11月から2020年1月にかけて、株式会社ルートートにてブランドの未来を創ることを目的に、弊社レアがワークショップ型研修を実施いたしました。ROOTOTE(ルートート)は、「Fun Outing! ~楽しいお出かけ!~」をコンセプトに誕生したトートバッグ専門ブランドです。社内リーダーシップの育成をおこないながら、これまで築き上げてきたブランド哲学を振り返り、アップデートするとともに、それらが活かされた4つの社員発プロジェクトが誕生。今回はそのうちの一つ、『本とトートでつながルー プロジェクト』を立ち上げメンバーである高橋亘(たかはし・わたる)様、土井康幸(どい・やすゆき)様、村上記克(むらかみ・のりかつ)様の3名にプロジェクト立ち上げまでの経緯と、きっかけとなった研修での学びを伺いました。

『本とトートでつながルー プロジェクト』とは、本好きのルートート社員5名が集まって立ち上げたプロジェクトです。2021年2月にプロジェクト第一弾として、群馬県太田市との連携および地元企業の協賛のもと、「太田市美術館・図書館」にて図書貸出用トートバッグのモニター利用を開始しました。共通の図書貸出用トートバッグを持ち歩くことで「本が好き」という共感を生み出し、地域コミュニティーを育くむことを目的に、本プロジェクトに取り組んでいます。
ニュースリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000194.000021774.html

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ブランドの存在意義「好きを応援して、楽しいを繋ぐ」の誕生

まずは、『本とトートでつながルー プロジェクト』の立ち上げおめでとうございます! 2019年から2020年にかけて行った研修では、以下のような流れで取り組んでいただきました。研修中、特に印象に残っていることはありますか?

「ROOTOTEの未来を創るワークショップ型研修」
・期間:2019年11月〜2020年1月(3ヶ月、全4回)
・プロセス:
・Vol1. 個々人の想いや価値観の共有、未来洞察
・Vol2. 未来洞察の結果からブランドのインサイトを抽出する
・Vol3. ROOTOTEの 未来を創る「可能性」を抽出し、ブランドの世界観をアップデート
・Vol4. プロジェクトの発表

村上さん:もっとも印象的だったのは、参加者全員でブランドの存在意義を「好きを応援し、楽しいでつなげよう」ということばで表現できた瞬間です。以前から会社として大事にしていることではあったけれど、改めて自分たちのことばで表せたので、より腑に落ちたというか。これは「本とトートでつながルー プロジェクト」の根幹にある方針ですし、さらには会社の行動指針にもなりました。

村上様

村上 様 株式会社ルートート ホールセールス事業部 事業部長

高橋さん: 研修のはじめに共有した個人のドリームプロジェクト(個人の想いや価値観から描く、会社で実現したい未来のプロジェクトアイデア)で、私は「ルートートの商品を通して、サステナビリティを世の中で当たり前にしていく」ことを表明していました。研修中でブランドの存在意義を決めるときも、チームでプロジェクトを進めるときもサステナビリティは意識していましたが、研修を進めるうちに「多様性」が大きなキーワードになったんです。さまざまな人の「好き」をもっと応援できたらいいよねって。一方的にサステナビリティを押し付けるのではなく、人々の好きなものとうまく繋がって自然に受け入れられる商品をつくりたいという考えになりました。

高橋様

高橋様 株式会社ルートート ホールセールス事業部

それから、私自身のものごとへの向き合い方も変化したように思います。研修を通して、柔らかく、やさしくなったというか。以前はすべてに対してストイックで「やらなければならない」という意識が強かったのですが、特にここ1年の大変な状況でやはり「好き」を意識しないと続かないし、自分も辛くなってしまうと実感しました。仕事であっても、何か好きなことに対してアプローチしていくのは大切だと感じています。現在の仕事にもかなり影響している考え方です。

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土井さん:高橋さんと同じく、多様性の大切さを再確認しました。「多様性が大事」とは頭では分かっていても、自分のなかに落とし込むのは結構難しい概念なので。研修は同じ会社でも部署を横断して参加していて、まったく異なる意見や視点が混じり合っていくカオスな感覚があったのがよかったですね。

やはり一人で考えたりものごとを進めるには限界があるので、チームがいて、それぞれ得意な分野を活かしてピースを埋めていくという体験ができたかなと思います。

土井様

土井 様 株式会社ルートート ギャラリー事業部

個人の想いからチームのプロジェクトへ

━ プロジェクト第一弾は「図書館」で行われましたが、図書館に着目した理由を教えてください。

村上さん:もともと私個人でドリームプロジェクトで、ルートートと書店がコラボしてバッグやブックカバーをつくりたいと書いていたんです。実はとある書店さんから150周年記念で何かできないかとご相談があり、この研修を活かせないかという狙いもあって。

2020年7月から環境問題への対策からレジ袋有料化が義務化され、サステナビリティの観点でもお役に立てないかと考えたんです。レジ袋有料化の流れは書店のブックカバーや袋も対象になってくると考えて、トートバッグが活躍できると思いました。

図書館という発想になったのは、研修中にチームで話し合った時、たしか土井さんが提案してくれましたよね。

土井さん:地域コミュニティを巻き込んで、そこにいる人たちが「好き」でつながっていく状態を目指したかったので、このプロジェクトには図書館のほうがふさわしいのでは? という結論になりました。一つのトートバッグで「本が好き」「読書が楽しい」という想いを表現できて、トートバッグを持つ人どうしで親近感が生まれたらいいなと思ったんです。

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━ 群馬県太田市にある『太田美術館・図書館』と連携されています。どのような経緯で連携が決まったのでしょう。

高橋さん:研修最後のプレゼンテーションの段階から、太田市の美術館・図書館で始めたいと話していました。非常にスタイリッシュな外観、それから市民の方々との距離感の近さが魅力でした。偶然土井さんと村上さんが太田市と関係性があったので、そのつながりはぜひ活かしてみようと、研修を終えてすぐに動き出しました。

土井さん:太田市にUターンし起業している前職の同僚がおり、その友人関係を通して太田市役所の広報課の方ともつながりがありました 。太田市の魅力を外に広げていきたい想いが重なり、広報課の方々からサポートいただきました。市役所の協力を得られたのは、プロジェクトが動いた大きな要因だと思います。

人と人のつながりから、プロジェクトを共創

━ まずはチームメンバーのつながりから始めていく。プロジェクト実現までの速度が上がる、素晴らしいスタートですね。その後はどのように進めていったのでしょうか。

高橋さん:まずは広報課の方と一緒に太田市美術館・図書館の副館長(当時)の方にプレゼンをしに伺いました。そこで、実現にあたってクリアしなければならない課題や予算の問題が見えてきて、図書館側になるべく負担をかけずに進める方法を探すことにしました。広報課の方と相談をしながら、外部から太田市を活性化するプログラムがあることを見つけ、それに応募することにしたんです。

無事応募の申請が通ったあとは、具体的に図書館利用者に関する情報を集めたり、図書館職員の方と打ち合わせを重ねたりしながら、トートバッグのデザインを決めていきました。

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土井さん:正直なところ、はじめは懸念の声も多かったです。新型コロナウイルスによる世の中的な混乱もあったし、このプロジェクトはどうなるのだろう?という不安がありました。 でも図書館の関係者の皆さんにトートバッグのサンプルをお見せしたときに、とてもポジティブな反応が返ってきて、提案も沢山いただけるようになったんです。最終的には皆で一緒につくっていくことができたと思います。

━ 実物やプロトタイプがあると、次の議論に進みやすくなりますよね。実際に完成したトートバッグは爽やかな明るさを放つ青と赤の2色、大きな絵本もしっかり入る大きさで、持ち運びたくなりますね!

高橋さん:太田市美術館・図書館では絵本を借りる方がとても多いそうです。図書館の方との打ち合わせや現場で得た情報から、細かい調整をしてトートバッグを作っていきました。

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また、トートバッグには今回のプロジェクトにご協賛くださった企業・店舗のロゴマークを入れています。協賛企業を募ったときは、正直集まらないんじゃないかと不安に思っていましたが、実際には多くの企業・店舗の方に応募いただきました。会ったことがない方とこのような形でつながれるのは、なんとも不思議な感覚で、嬉しかったです。大変な時期だからこそ、前向きに捉えて参画しようと思ってくださる方がいるのだと感動しました。

プロジェクトから新たに生まれた、本と人、人と人のつながり

━ 第一弾プロジェクトを実施して、図書館の利用者の方々からはどのような反響がありましたか?

高橋さん:今回はコロナの影響もあり、モニター制で運用しました。「年に数回のアンケートに答えていただく」ことがモニターの条件になっていて、ちょうど先日第一回目のアンケート結果が届いたところです。

土井さん:115人 の回答者のうち、95%の方に「大変満足」「満足」とご回答いただきました。「子どもが図書館に行きたがるようになった」「同じバッグを持った方に親近感を持った」「同じトートバッグを持つ方とご挨拶できました」など嬉しいコメントもたくさんありました。トートバッグがただ便利なだけでなく、地域の皆さんどうしのつながりを作る役割を担えたと思うと、非常に嬉しいです。

村上さん:プロジェクトを始める前に「こうなったらいいね」と話していた通り、あるいはそれ以上の反応をいただけました。トートバッグで社会に貢献できることはまだまだあるなと、希望にあふれた思いです。

━ 素晴らしいですね。コロナの影響で不確実性はいっそう高まり、人々のコミュニケーションスタイルも変化するなかで、皆さんをここまで動かしたものは何だったのでしょうか。

土井さん:子どもたちや親御さんが笑顔でトートバッグを持っている姿がはっきり浮かび、これは喜んでもらえるだろうという確信と、絶対に実現しなきゃという使命感がありました。あとは、純粋に「楽しい」という気持ちが大きかったです。楽しいからこそ前のめりに取り組めたし、一緒に進めていたメンバーも信頼していたので。

高橋さん:メンバーもそうですし、太田市で協働してくださった皆さんのおかげです。コロナで駄目になってしまうのではないかと思う瞬間もありましたが、皆さんの存在があって頑張ろう、何とかしようという気持ちになりました。

村上さん:私は静岡拠点のため太田市には伺えなかったのですが、二人からの報告で歓喜していました。太田市での人との出会い、そして高橋さん、土井さんがすごく頑張ってくれたからだと思います。

社内外でプロジェクトの拡大を目指す

━ ありがとうございました! 最後に、今後のプロジェクトの展望とメッセージをお聞かせください。

村上さん:静岡にこのプロジェクトを広げていくのも一つですし、他にも個人の活動と会社の活動をつなげて、社会に役立てることを見つけていきたいですね。いま静岡の佐鳴湖という湖で、月一回環境問題にまつわるイベントを開催している方がいて、私もそこで会社に承諾を得てサステナブルな商品を販売しています。そこからまた新しいプロジェクトや価値が生まれることもあると思うので、引き続き取り組んでいきたいと思います。また、別でレアさんと協働しているプロジェクトもありますので、実現していきたいですね。

土井さん:次の図書館プロジェクトをスタートさせたいです。とあるイベントで図書館を活用した地域活性化に取り組んでいる方とお話しする機会があり、同じ志・目標を持つ人が他にもいるのだと勇気をもらいました。そういった方と連携できれば、さらに活動が広まって行くのではないかと思っています。
また、プロジェクトの発端となった研修は、本当に面白かったです! 凝り固まった考えを一度壊すような研修は、どんどんやっていただきたいです。

高橋さん:コロナの影響で難しい部分はあると思いますが、47都道府県にこのプロジェクトを広めるくらいの意気込みで、続けていきたいですね。

研修は本当に楽しかったです。レアさんの研修が一般的に広まっていけば、もっと楽しく学べるんじゃないかと思います。気持ちや考えに余白が生まれ、プロジェクトもどんどん生まれいく流れが面白かったです。いつか他の企業とお仕事をするときに、お互いレアの研修を受けていた、なんてことが起きたらいいですね。

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2020年から現在までつづくコロナの混乱があるなか、研修から育ったアイデアを1年以内に実際のプロジェクトという形にされました。 「好き」という感情こそが人々と動かすという発見から、「好きを応援し、楽しいでつなげよう」というブランドの存在意義を見事体現できたのは、その想いを自分たちの言葉で編み上げることができたこと、そしてプロジェクトを進めるなかで見つけた、「好き」の感情から育まれた関係性、そこから生まれた連帯感と使命感でした。

次回のインタビューでは、株式会社ルートートの代表取締役・神谷 富士雄様に、本研修導入の背景や、社内のプロジェクト支援体制についてうかがいます。

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