見出し画像

社員の自発的な「好き」を応援する企業文化をつくりたい ー 研修発『本とトートでつながルー プロジェクト』のビハインドストーリー

2019年11月から2020年1月にかけて、株式会社ルートートにてブランドの未来を創ることを目的に、弊社レアがワークショップ型研修を実施いたしました。社内リーダーシップの育成をおこないながら、これまで築き上げてきたブランド哲学を振り返り、アップデートするとともに、それらが活かされた4つの社員発プロジェクトが誕生しました。

前回のインタビューでは、社員発プロジェクトの一つ「本とトートでつながルー プロジェクト」を立ち上げメンバーへのインタビューを行いました。今回は、本研修を導入いただいた株式会社ルートート代表取締役・神谷 富士雄(かみや・ふじお)様に研修導入の背景や社内におけるプロジェクトの支援方法について伺います。

一人ひとりの個性や意志が活きる組織へ


━ 研修を導入いただいた経緯をお聞かせください。

神谷さん:2001年に誕生したトートバック専門ブランド「ROOTOTE(ルートート)」のブランディングを行っております。研修の導入前、ブランド20周年を迎える中で、会社の組織体制と世の中の動きにギャップが生まれていることに危機感を覚えていました。世の中的には社員の「個性」や「意志」を重視する潮流が出てきた一方で、当時の会社は部署や担当者単位で自分の役割さえしっかり担っていれば、最低限評価が得られるシステムでした。でもそのようにシステマチックに進めることが、必ずしも業績や社員の満足度につながらない兆しがあったんです。

また、企業理念や行動指針とは別に、ルートートには「個性あるクリエイターを組織化する」という事業目的があります。もともと、一人ひとりの個性や意志が、ルートートの根幹でもあるんですよね。あまりに組織のシステムに合わせるようになってしまうと、個性が抑えられてしまう。この言葉をお題目ではなく、本当に実現しようとするならば、現状を変えなければいけない。2019年の春に会社が分社化し、自身が株式会社ルートートの代表とな ってからは特にその思いが強くなっていました。

神谷さん2

━ 会社の事業目的を体現し、意志を持って考え、実行できる個人を増やすために導入いただいたのですね。

神谷さん:会社や僕から「意志を持って仕事をしよう」と伝えたとして、頭では理解できても、実際のアクションまでには至らない雰囲気がありました。そこで以前から交流のあったレアの共同創業者である坂本由紀恵さんに相談したら、個人の意志を育てる学びの場を導入してはどうかと提案いただいて。社内公募で参加者を募ったところ、参加メンバーの8割が自分の意志で受けてくれました。

「好き」を原動力に、自発的な仕事づくりを目指す

━ 研修ではブランドの存在意義を表すことば「好きなことを応援し、楽しいでつなげよう」が誕生しました。その後、社内で新しい動きはありましたか。

神谷さん:一年前から株式会社ルートートの行動指針に「好きなことを応援し、楽しいでつなげよう」を掲げています。研修を受けたメンバーから研修後に「行動指針に組み込むべきでは?」と提案があり、新たに加えたものです。みずから意志を示してくれて、内心「よし!」とガッツポーズをしました。会社の指針は経営者のなかでのみ生み出すものと思われていたので、そのなかに社員が入ってきてくれたのは嬉しかったですし、すぐに採用しました。

━ 自発的な提案が出てきたのはもちろん、社員が経営陣に対して提案がしやすい環境にあるのが素晴らしいです。

神谷さん:提案はいつでも歓迎です。相談にきてくれたり、些細なことでも声を発してくれる人も増えてきているように思います。

━ 『本とトートでつながルー プロジェクト』は、地域コミュニティの人々やプロジェクトメンバー自身の「好き」が原動力になっていました。

神谷さん:今回立ち上がったプロジェクトもそうですが、生活を送るなかで「こんな人に喜んでもらえるだろうな」と想像して、自発的に仕事やプロジェクトに取り組んでもらえたらいいですね。人々の「好き」を応援しながら、自分の「好き」なことも実現していく。この2つの好きを意識して取り組んでほしいです。

会社としても、今後さらに社員の自発的な「好き」を応援できるような企業文化をつくりたいと思っています。研修をきっかけにこのような動きが出てきてはいますが、行動指針の「好き」に対する解釈がまだ受身的な部分もあります。問い合わせがあった案件の中で見つけた「好き」だけでなく、もっと自分のなかにある好きを活かしていってほしい。「もっと自分を出していいんだよ!」と伝えたいです。だからまずは自分がその姿勢を示して、「社長もやってるんだから、自分たちもやっていいんだよね!」と思ってもらえるようにしていきたいですね。

社内の遠慮や不安をなくし、プロジェクトメンバーを後押し

━ 日々の業務を行いながら、プロジェクトも進めるにはさまざまな物理的・心理的ハードルがあったと思います。『本とトートでつながルー プロジェクト』を進める過程で、プロジェクトメンバーへの支援はあったのでしょうか?

神谷さん:プロジェクトメンバーもどれくらい本格的にプロジェクトに取り組んでいいのか、迷っていたようです。特に部署を横断して複数人で進める場合は、お互いに遠慮してしまうこともあります。

プロジェクトが停滞している時は、本人も進めたいと思っているけど進められない心理的な障壁があります。その時に「どんどんやっていこう!」と声をかけたり、プロジェクトへの本気度を確認するために「問いの1000本ノック」なるものをやったりしていました。プロジェクトへの本気度を問いかけていくと彼らのやりたい意志が明確になり、プロジェクトに取り組むスピードは上がっていきました。

彼らがやりたいことに取り組めるように、障壁となっている遠慮や不安は取り除きながら、後ろから背中を押してあげることが自分の役割だと思っています。

━ 時間的な制約もあったと思いますが、どのように乗り越えていったのでしょう。

神谷さん:やはり気をつけないと、日常業務に大きな比重がかかり、段々とプロジェクトに取り組めなくなってしまいます。このバランスについては、一緒に考えていく必要があります。会社からは、日常業務に効率よく取り組んでもらうことに8割、プロジェクトには2割使って取り組んでいこうと提示しました。

本当に好きなことに取り組むためだったら、時間を生み出すために業務をいかに手際よくやれるかというマインドにシフトしていくと思うんですよね。そういうマインドに変わることを期待しているし、企業文化にしていきたいと思っています。

もっと自分を出していい!新たなプロジェクト誕生への期待

━ 『本とトートでつながルー』プロジェクトのメンバーは、今後も新たに活動範囲を広げていきたいとお話されてしました。神谷さんはどのような期待を寄せていますか?

神谷さん: 社内で行動指針をより浸透させ、実行までの流れを加速させていきたいですね。前回の研修で「お茶会」という社員発のプロジェクトが誕生していて、社内の雑談を通して行動指針に沿った活動を増やすために、会社の公式行事として進めようとしています。この場を通して「本とトートでつながルー」プロジェクトのような新たな活動がどんどん生まれてくれるといいなと思っています。

━ 「好き」の形はそれぞれ異なるのに加え、プロジェクトという形になるまでにはある程度時間がかかることと思います。長い目で見守り、必要があれば背中を押す。神谷さんの器量の大きさに感銘を受けました。「好き」から生まれるプロジェクトがさらに増えるよう引き続き応援しています!

神谷さん:ありがとうございます。2019年に実施した研修がなかったら、会社が今頃どうなっていただろうと焦るくらいです。会社のシステムに寄りかかるのではなく、みずからの意志で動ける人が少しずつ増えてきて、あの時導入して本当によかったと思います。

個人の意志や自主性が失われつつあるのは、社会全体の課題の一つだと思っています。レアさんにはどんどん世の中を変えていってほしいと思います。

神谷さん3


会社組織で新しい活動やプロジェクトが立ち上がったあとは、社内の支援体制が欠かせません。今回お話をうかがった神谷社長のように、プロジェクトメンバーが活動を継続させ、生き生きと働けるような後押しの重要性を感じたインタビューでした。

また、弊社レアと株式会社ルートートが協働し、『祝福のROOPプロジェクト』を発足しました。人間関係が難しくなりやすい職場や地域で妊娠・出産を祝う心のこもったメッセージやギフトを贈ることで、「おめでとう」「ありがとう」の幸せな気持ちの贈り合いループをつくり、人、家族、命がつながる文化を醸成したいと考えています。

本来喜ばしいイベントであるはずの妊娠・出産。一方で、出産後の社会復帰や子育てに対する不安があるのも事実です。その不安を解消し、お互いに祝福しあえる社会をつくりたい。そんな願いから生まれたプロジェクトです。 ご興味のある自治体・企業様は下記のお問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。
https://www.laere.jp/contact

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?