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「日にち薬」が癒してくれる

コロナ禍で時間ができて、本を読む機会が増えた。
今読み終えて、そしてまたぱらぱらとめくって
目に付くところを読み返している本が、

心に折り合いをつけて
「うまいことやる習慣」
中村恒子先生の「日々たんたん」な生き方が書かれた本だ。

啓発本や人生訓、やりてビジネスマンの指南書など、、、基本的には読まないのだけど、書店でふと目に留まり買って帰った。

キャリア70年の精神科女医である中村恒子先生が、自分の人生を通して、仕事を通して、頑張りすぎてる人へ気楽に生きていくための知恵を教えてくれる、そんなおばあちゃんの知恵袋的な本だ。

まず、89歳の現役女医ということに驚くとともに、今も診察を続けられているという事にさらに驚く。精神科医ということなので、難しい内容なのかな?と思ったが、全くそんなことはなく、本当におばあちゃんに色々な話を聞いていたころをおもいだすような、そんな優しい言葉でつづられていた。


私も長年生きてきて、大きな挫折や失敗、後悔や羨望、そして自分への自己肯定感の低さ、未来への不安、、、色々なもやもやを抱えながら日々頑張っていたから、なんだかふっと肩の力が抜けるきがした。

ふりかえれば、今まででの人生で大きな「忘れたいこと」は2度ほど。
その事にとらわれていたわけではないが、この本を読んで、ふと忘れていたのでは無く、無かった事にしている自分に気づいた。思い出すだけで、悔しくて悲しくて涙が止まらなかったのに。

過去はどんなに悔やんでも、変えることができないし、どんな薬を用いてもその傷を治すことはできない。
「日にち薬」が必要なんだよ。自分をなんでもいいから忙しくさせる、そのうち「忘れること」は出来なくても、「折り合いをつける」ことはできるようになる。
限るがある人生、過去にとらわれていたらもったいないよ、と。

みんな真面目過ぎる、そんなに力を入れなくていいんだよ、とまるでふんわりと毛布を掛けてもらったような、そんな優しいことばで、なんだか上手くいかなくても「まぁいいか」と思えるような気がした。

忘れる事は出来ないけれど、無かったことにするんじゃなくて、
あの時は悔しかったね、悲しかったね」って自分に言ってあげられる気がした。

肩の力を抜きたいときに、おすすめの本でした。


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