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『僕は君の「熱」に投資しよう――ベンチャーキャピタリストが挑発する7日間の特別講義』(佐俣アンリ)を読んで

たった一人に届ける「虫めがね理論」を竹村俊助さんは提唱していたけれど、本書はまさに著者がまだ何者でもなかった若き自分自身に伝えたいメッセージ。ギュッとこの一冊に込めています。

一対一の特別授業という形式で7日間区切りの構成。読者と同じ目線に合わせたその語り口調と全体に通底する熱い空気。

自分に語りかけてくれるような気持ちになるはず。

本書を通じて、日本でも有数のベンチャーキャピタリストの行動原理が垣間見えます。

その仕事は才能取り扱い業。いかに「人」に賭けているか―。

独立系ファンドを運用する(投資判断において自分の直観を信じる・優先できる)著者ならではの哲学だと推測しますが、そのロマンを感じずにはいられない。

上昇気流の空気をつくる

印象的だったのは著者のこれまでの人生経験、投資家としてのキャリアを通じて「正しい場所に身を置くこと」の重要性を説いていたこと。要するに環境です。

その想いから著者は、漫画におけるトキワ荘を具現化すべく、ビル一棟を買い上げました。これから事業で勝負する起業家のセーフティネットであり、主目的は切磋琢磨できる環境です。

このオフィスをスタートアップの爆心地にしていったのは、理屈でも戦略でもない、ただの空気だったんだ。それも起業後わずか3年9ヶ月で東証マザーズに上場したフリークアウトが生み出す、圧倒的な上昇気流だ。

目の前からポーンと圧倒的な結果を出す者が現れる。あるいはパッと横を向けば、あのけんすうさん(わざわざ居てもらっているよう)が新たなウェブサービスをつくろうとワイヤーフレームを書いている。

天才を天才と呼ぶことを許さず自分ゴトさせるその厳しさと温かい眼差し。

周りに同じ志向を持った者たちが集まり、そこから頭一つ抜けていった川村元気に刺激されたと話していた佐渡島庸平さんが思い浮かんだ。

そうだ、大前研一さんの自分を変える方法にも通ずる。

・時間配分を変えること
・住む場所を変えること
・付き合う人を変えること

環境ってある種、空気なんだ。

あれも、これも知っている企業。

語られる起業家のエピソードのなかに「え?この企業もそうなの?」といった、いまやみんなが知っているサービスをつくった猛者たちがどんどん出てくる。

言うまでもなく、みんなうまくいくかどうかはわからず、ゼロから始めています。

本書でも言及がありますが、起業家とは職業ではなく生き方

同時に、ベンチャーキャピタリストという著者のような職種も生き方そのもの。

瀧本哲史さんの本を読んでも感じましたが、著者のような投資家の方は日本の財産ですね。刺激もらいました。

投資家と起業家、それぞれ両輪の関係で未来がつくられる。

というわけで以上です!


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