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『さよならテレビ』を観て

週末、映画館をはじこしまして、『さよならテレビ』と『パラサイト』を観ました。間隔をとっていたのでよかったものの、慣れてないと2本が限界ぽい(楽しむって体力がいることなのだ!)。

3本はきつそうだなあ。それぞれ感想をかんたんにメモします。本日はこちらです。

『さよならテレビ』を観ました。

自分のなかでドキュメンタリーといえば東海テレビというイメージができあがってきました。本作品は『ヤクザと憲法』監督&プロデューサーのタッグ。あの『人生フルーツ』も同プロデューサーの阿武野さん(元アナウンサーからプロデューサーへ転向された方のようです)。

今回はふだん取材しているテレビ局自体が取材対象。テーマはざっくり「テレビがいまどうなっているのか」、ここを伝えようと。ポスターのキャッチには「これは、裸のラブレター」。ヒリヒリ系を求めて、いざ鑑賞。

本作品を通して感じたのは『「このテーマは東海テレビにしかつくれない作品」だと、鑑賞者に思わせたことに成功した』ことです。ふだん東海テレビは観ていない自分ではさえ思いましたし、放送後は業界内でビデオが密造酒のように出回ったそう。それがじわじわ反響を呼び、ついに映画化という流れ。

いまのテレビ(東海テレビの報道)には、おおきく3つの課題が降り注いでいます。「報道をまっとうせよ」、「数字とれ」、「働き過ぎるな」。現場にいる人にとっては課題よりも矛盾を抱えているともいえそう。

劇中では3人の登場人物がクローズアップされます。震災後の放送事故を経験し、自分の考えを発言しにくくなったアナウンサー。報道へのこだわり、理想を持つも営業案件が主な仕事である契約社員。そしてもう一人、愛されキャラだけど失敗も多い若手の契約社員。

クローズアップした3人をキーとしていまのテレビを描き、えぐります。ラストはテレビにおけるドキュメンタリーとは何かを、露悪的な演出を通じて問いかけて終わります。

監督は社員の方。ここまで仲間を晒しておいて、自分はどうなんだ?というマイクの突きつけに対しての回答とするならば、ぼくはあの演出は、考えた上での誠意のように感じました。

あともう一つ感じたのは、ドキュメンタリーという手法は、一周まわっていまに合っているのではないかと。たとえば読み物コンテンツが読書への届け方・売り方のデザインがコンテンツになっている流れがあると思います。

プロセスの可視化が文脈・ストーリーを作り出し、多くの共感を呼ぶとして、手法としてのドキュメンタリーは優秀です。あとそうだ、やみくもにDVDにせずに、こうやって劇場化して体験におとしこむのもいいなあと。口コミが口コミを呼ぶ作品。

じわじわをまずつくる。その初期衝動とはつまり、密造酒のように業界内でテープが出回ること。業界内をざわつかさせることって大事かも。密造酒がつくられる原液をまずつくろう。

とってもおもしろかった、以上です!

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