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「住む人が幸せになる住まい」を作りたい。CE space若泉大輔さんが語る理想のコミュニティとは


LivingAnywhere Commons伊豆下田で、新しくメンバーに入ったCE space代表取締役社長の若泉大輔さんにインタビューさせていただきました。

目指すは「IT版トキワ荘」。「テックレジデンス」が入居待ちになるほど人気の理由とは?

ーまず、この「テックレジデンス」というものについて教えていただけますか

テックレジデンスは「テック(技術)」と「レジデンス(高級アパート、マンションなど)」を掛け合わせた造語です。

ITに関わりのあるメンバーを住居人に迎え、相互に切磋琢磨し、向上し合う関係性を持ったコミュニティを作ることを目的としています。いわばIT版の「トキワ荘」ですね。(トキワ荘:当時はまだ無名だった漫画家の手塚治虫、藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫などが共に暮らし、互いにその腕を磨いたとされるアパートの名前)

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ー面白いコンセプトですね。それはITに関係した仕事をしていないと入居できないのですか?

現在は、ITエンジニアもしくはWEBデザイナーに限定させて頂いています。
ただし、いまはそうでなくとも、その領域に転身したい、学んで今の仕事に活かしたいという方も一部入居されています。
大切にしているのは「互いにシナジーを生み出せるかどうか」です。

ー面接をするんですか!?

はい。テックレジデンスはコンセプトへの共感が無いと、入居してから「こんなはずじゃなかった!」といったミスマッチになりかねません。お互いのためにも、どんな住まいの空間にしていきたいか、こんな住まい方があったらワクワクするよね、というところを重点的に説明させて頂いています。
全員にもれなく聞いているのが「あなたはどんな価値提供ができますか?」ということです。

ーけっこうプレッシャー強めですね……!

そういうつもりでは無いのですが、入居してから、一方的に「教えてもらう」だけだと居心地が悪くなってしまうんですよ。よい関係性を築くためにも、「自分から提供できるものは何か」を内覧の面談の際に整理してもらっています。

ですので入居の際には、

  ● どのようなことができるのか
  ● これからどのようなことを身に付けたいか

などをうかがうようにしています。

住まい選びって、”住んでからどんな暮らし、どんな人生になるのか”ってめちゃくちゃ気になると思うんです。でも一般的な不動産探しではそんな話にはならないことを体感していて、住まい手が本当に求めるポイントに触れて提案していきたいな、と考えています。

「なぜこのテックレジデンスを選んだのか」をしっかりとお互い納得できることが大切です。

ーテックレジデンスには、具体的にどんな特徴があるのでしょうか

テックレジデンスにおいてはオンラインコミュニケーションツールの「Slack」を立ち上げていて、暮らしに関わる疑問や意見などはすべてSlackを通じてやり取りします。

例えば、誰かが食事会を開こうと思えば、Slack上で投げかけて参加者が集まったり、みんなの共通の関心ごとに関する勉強会を開いたり。何か欲しいものがあるときは、こちらが判断するのではなく、みんなで議論して決めてもらうんです。

とにかく住んでいる皆さんが主体的に、「どうしたらもっと良い暮らしを作れるか」を考えて行動に移しているのが大きな特徴と言えます。

事業のスタートである表参道の物件(現在はクローズ)では、16部屋のマンションに40件の入居待ちができるほどの人気ぶりで、次の展開に進める起点となりました。

それにここだけの話、お互いに高め合う関係性があるからか、年収がアップしたり、転職に成功したり、起業するメンバーが多いんですよ(笑)

ー僕も住ませてくださいっっ……!!

家賃を「消費」から「投資」へ。「別荘付きの賃貸マンション」が新たに誕生!?

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ー今回、LivingAnywhere Commonsのメンバーになったのはどうしてなんですか?

もともとテックレジデンスは多拠点に展開する形で進めているのですが、まだまだ展開し切れていないんですよね。入居者からも「もっと地方に作って欲しい」と言われていたんです。

そのときLivingAnywhere Commonsのコンセプトを聞いて、まさしくうちが望んでいたような拠点だと思いました。

ーLivingAnywhere Commonsの拠点は社員ではなく、入居者の方が使うということですか?

その通りです。テックレジデンスに入居されている方で、希望者に利用してもらえるように考えています。

新しい概念なので簡単に表現すると「別荘付きの賃貸マンション」と思ってもらえるといいかもしれません。

別荘って誰もが憧れますけど、やっぱり管理などを考えると難しいじゃないですか。でも、LivingAnywhere Commonsの拠点を別荘的な使い方ができれば、利用者にとってはかなり魅力的だと思うんです。

もちろん利用枠は限られてしまいますが、「100個の物件を1000人で使おう」みたいなシェア的な感じは全然ありだと思います。
この考え方だと、家賃が「消費」から「投資」に変わると思うんですよね。

ーそれは魅力的ですね。このテックレジデンスのような事業構想はいつから考えていたのでしょうか

そもそものきっかけは3.11の震災のときなんですよ。

僕は小さい頃から奈良に住んでいて、仕事で東京にやってきたんですが、人と人のつながりの弱さを震災の時にもろに感じたんです。

私のいた地元は良くも悪くもウェットな人間関係で、でもそれが安心につながる部分もありました。でも東京だとそれがまったく無いんですね。安心感がない街ってやっぱり好きになれないし、居場所と思えない。それなら自分が好きと思えるようなコミュニティを作ろうと思ったんです。

抱えていた仕事をやるかたわらで事業計画を練り、社内で事業提案をして役員会議で通してもらうことができました。そうやって始まったのがテックレジデンスなんです。

幸せの指標「ウェルビーイング」が高い住まいを。そのためには良いつながりが必要 

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ーCE spaceでは、今後テックレジデンスの事業をどのように展開していこうと考えているのですか

「ウェルビーイング」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。直訳すると「幸福」なんですが、そのウェルビーイングを事業活動に取り入れたいと思っています。

ー幸福を事業活動に取り入れる……?

はい。ウェルビーイングについては「幸福学」として科学的な研究も進められていて、企業として様々な形で導入されつつある概念です。
実際にその人が幸福かどうかはアンケートなどを通じて測る手法があるわけですが、
・ウェアラブルデバイス
・顔認証
・脳波
など、テックを活用すればもっと精度の高い計測ができると思うんです。

「うちの物件に住んだら、みんな幸せになる」ということが科学的に証明できれば、すごく面白いと思うんですよね。

ーたしかに「住めば幸せになるマンション」となると、お客さんが殺到しそうですね

もちろん集客も大事なのですが、根底にあるのは「暮らしの分野でなくてはならないものになる」という思いです。たとえ儲かったとしても、そこに関わる人たちの幸福度が下がってしまうのでは意味がありません。

テックレジデンスという事業はウェルビーイングのベースがとても高いと思いますし、そしてまだまだそれを引き上げる可能性が十分にあります。そのためにはより良いつながりが必要で、LivingAnywhere Commonsはその点においてかなり大きな役割を果たしてくれると思っています。

住居人の皆さんとより良いコミュニティづくりを考えながら、住む人みんなが幸せになる住まいを実現していきたいですね。

「住む」だけでなく「つながる」、そして「幸せになる」ことを目的としたコミュニティを実現する


今回お話をうかがった若泉さんは若くして社長になっただけあり、とてもバイタリティを感じさせる方でした。

何よりも僕が気になったのは、その「起業家マインド」。日々の仕事に追われながら新しい事業の準備を進めるのは、並大抵の意思がなくてはできません。

その点についてうかがうと、どうやらおじいさんが大阪で商売をやられていて、松下幸之助さんとも親交があったとのこと。就職が決まった時にはおばあさんから「あんたは商人(あきんど)の子やろ」と怒られたそうです。

このエピソードには深く納得しました。

そんな若泉さんが手掛けるテックレジデンスは、住まいにテックを取り入れ、入居者同士で向上し合えるコミュニティを作る、とても近代的で斬新な取り組みです。

これまでは、住まいの良さについて語るとき、とかく家の設備や機能についての話が多かったと思います。

しかし今回のお話を聞いて、これからの住まいは「住む」だけでなく「つながる」、そして「幸せになる」ことを目的としたものの需要が高まっていくように感じました。

文:長濱 裕作


全国に拠点を広げているコミュニティ「LivingAnywhere Commons」と、その拠点の1つであるLivingAnywhere Commons伊豆下田
LivingAnywhere Commonsのメンバーになることで、新しい暮らし方や働き方を実際に体験することが可能です。興味のある方は、ぜひLivingAnywhere Commonsの公式サイトをチェックしてみてください!

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