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街と一体化したゲストハウスをつくりたい | LAC花巻コミュニティマネージャー・福田一馬さんインタビュー

花巻市はかつて岩手県で2番目に大きな街として栄えていました。また、「宮沢賢治のふるさと」としても知られています。

LivingAnywhere Commons花巻(以下、LAC花巻)拠点である「ゲストハウスmeinn」は「まちをつなぐやど」をコンセプトにした宿泊施設です。

LAC花巻のコミュニティマネージャーを務める福田一馬さんは、もともと旅館だった施設をセルフリノベーションした「ゲストハウスmeinn」をオープンし、花巻市にきた人とまちをつなぐ役割を担っています。
今回は、「ゲストハウスmeinn」の運営をしている福田一馬さんに、これまでのご経歴や「ゲストハウスmeinn」を建てたきっかけ、花巻の魅力についてお伺いしました。

家族の幸せを守るため、海上自衛隊をやめて花巻市の地域おこし協力隊に

ーーこれまでのご経歴を教えてください。

もともとは海上自衛隊に10年ほど勤務していましたが、家庭を持ったタイミングで今後の生活スタイルについて考えるようになりました。

海上自衛隊では、1年半から2年ほどのスパンで転勤がありました。妻と離れる可能性もありますし、子供も頻繁に引越しを繰り返すことになります。
家族の幸せの形を考えたときに、単身赴任や引越しを繰り返すのではなく、できるだけ家族みんなで一緒に過ごしたほうが良いと思い海上自衛隊を辞めました。

その後、幅広く仕事を探したなかで出会ったのが、地域おこし協力隊でした。インターネットで調べてみたところ、ちょうど花巻市が募集をしていた「リノベーションまちづくり」に興味を持ち応募しました。

その後、地域おこし協力隊に就任し、家族で花巻市に移住しました。

ーー地域おこし協力隊ではどのようなことをしていたのでしょうか。

民間会社の「リノベーションまちづくり」を支援することがメインの仕事でしたが、活動をする中でまちづくりを行うなら支援よりもプレイヤーになった方が早いのではないかと考えました。

地域おこし協力隊として花巻市に移住し、1年目に自分の会社を興したり、人脈づくりをしたりして、花巻市で活動されている方からいろいろ学ばせてもらいました。
2年目には自社の経費で購入した古民家を改修し、ゲストハウスを作り始めました。

そして、地域おこし協力隊として最後の年である3年目に「ゲストハウスmeinn」を開業しました。

おすすめできる宿泊施設がないなら、自分で作れば良い

ーー現在は「ゲストハウスmeinn」のオーナーを務めながら、LAC花巻のコミュニティマネージャーをされているとのことですが、地域おこし協力隊の任期中にゲストハウスをつくろうと思ったきっかけは何ですか。

花巻市に宿泊施設の選択肢が少なかったことと、新しい発想や価値観を持つ人が集まる場所がほしいと思ったからです。

これまでにも観光目的で花巻市に来てくださる方がいましたが、宿泊施設が市内のビジネスホテルか郊外の宿しかなく、どちらも20〜30代の観光客の方々にはやや高額な料金でした。

宿泊料金の相場が6,000〜7,000円くらいだったため、半額の3,000円ほどで宿泊できるゲストハウスがあれば残りの金額を街の観光に使ってもらえるのではないかと考えました。

また花巻市に新しい風が吹いてほしいという想いもあり、新しい発想や価値観を共有してくれる人が集まる場所になれば良いなと思っています。

ーーLAC花巻拠点である「ゲストハウスmeinn」を運用する上で意識していることやこだわりがあれば教えてください。

できるだけ街に出て花巻市を堪能してもらいたいため、街のおすすめスポットを掲載したオリジナルマップを配布しています。

ゲストハウスができたことで宿泊料金が少し安くなっている分、花巻市に少しでも還元できたら良いなと思います。

昔ながらと新しさが共存する「ちょうど良い街」

ーー福田さんの思う花巻市の魅力を教えてください。

花巻市の魅力は「ちょうど良い街」であることです。

地方のローカル感がありつつも交通の便はすぐれており、県外から来られた方におすすめしたいスポットもたくさんあります。10年ほど前まで、花巻市はさまざまな産業が盛んで、県内でも2番目に大きい街でした。その名残でなんでも揃っていて、お客様の興味のあるものをヒアリングしおすすめを紹介しています。

昔ながらの良さが残りつつも、新しいものを創り出そうとしている人たちが集まる花巻市を知れば知るほどハマっていきました。

ーーお話を聞いていると花巻市への想いの強さが伺えるのですが、地域おこし協力隊の活動の中で花巻市を盛り上げたい気持ちが強まったのでしょうか。

地域おこし協力隊も一因ですが、1番は花巻市に移住してきた時点で息子のふるさとが花巻市になるという責任感です。

元々は転勤族だったため、いろいろな街での生活を体験できたはずですが、数ある選択肢の中で花巻市を拠点にすることに決めました。
息子が大きくなったときに、花巻市で育って良かったと思ってもらいたくて、花巻市を息子に好きになってもらえる街にしたいのです。

大きなことはできませんが、子供たちが成人するまで小さな活動の積み重ねでこの活気が続けば良いなと思います。

学生と面白い大人たちの出会いの場に

ーー現在、LAC花巻拠点である「ゲストハウスmeinn」で取り組んでいることや、今後の展望を教えてください。

かれこれ2年くらいはコロナ禍の影響で動けていませんが、今後は花巻市の学生と連携して企画を進めていきたいと考えています。

花巻市では活発な学生団体がいくつかあるため、「ゲストハウスmeinn」を前向きな学生たちと面白い大人たちが出会える場所にしていきたいです。

自分1人がどれだけ頑張っても街が面白くなることはないため、新しい発想を持つ人たちが自分の頭で考えて行動に移せる環境を作り続け、循環させていきたいです。花巻市に新しい風を吹かせる方が来てくれたらうれしいですね。

花巻市は仕事も息抜きもできる、ちょうど良い規模感の街

ーー最後に、今後LAC花巻に訪れる人たちへメッセージをお願いします。

花巻市は、仕事に集中できる環境もありますし、少し足を伸ばせば自然に囲まれた息抜きできる場所もあります。新しいお店だけでなく、地元から愛される昔ながらのお店も残っているのが魅力です。

地元の人の生活を見れますし、このお店のこの商品がおすすめというのはたくさん紹介できます。

LACの会員さんの中にはいろいろな価値観の人がいると思いますが、「ゲストハウスmeinn」を気に入ってくれる方が1人でも増えたらうれしいです。

《ライター:中川鈴菜》


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