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江戸の先達に学び、これから先の未来を生き抜く『江戸式マーケ』/テーマウィーク:新刊読書感想文@mikaikeda6

尋常ではないくらい暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。先日、生まれて初めて熱中症になりかけてしんどかったので、突然水分をとったり日傘を刺したりするようになった、ラブソル代表の池田です。皆様お気をつけてお過ごしください。

7月最終週のラブソルnoteは、新刊の読書感想文を各自綴っていきます。夏休みらしい読書感想文というテーマですが、新刊にこだわっているのがポイントです。

この企画がスタートし、ラブソルメンバーはそれぞれ本屋を気にする日々を過ごしました。新しい本を探し、読むきっかけになればと思っています。

私はオフィス最寄りの恵比寿アトレにある有隣堂でぶらぶらタイムをとりました。
手にとったのがこちら。
小説なども良いですが、今回は少し仕事に関わることにしたいという思いがあり、マーケという名前に惹かれ、さらに歴史好きなので江戸式の言葉がくいっと入ってきました。

江戸時代から今に続く老舗企業がなぜ生き残ってきたのか。それを人にフォーカスして紹介しています。
12人の人物がどうやって事業を起こし、大きくしたかを、実際にやったこととそれを現代のマーケティングの視点で見ての解説で構成されています。

著者の川上徹也さんが「はじめに」に書かれています。

もちろん最新のビジネスモデルやマーケティング手法を学ぶことも大切ですし、参考になるでしょう。しかし、古い事例の中にこそ、本質が隠れている場合があります。
その場合、重要なのは、古い事例を抽象化する能力です。

合わせて、ドイツ帝国の宰相、ビスマルクの言葉も紹介されています。

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。

ラブソルは8月1日から8期目に入ります。創業当初はこんなに続けられるとは思っていなかった、というかそこまでの想像が追いついていなかったのですが、こうなってくると当然10年、20年と継続して繁栄させていきたい思いが強くなっています。
400年も前の先達からの学びをラブソルに照らし合わせ、共通点を感じたり、どう活かすかを考えたり、そんな風に読み進めました。

魅力的な人物ばかりなのですが、今回は一人に絞って紹介します。

三井グループの始祖、三井高利:マーケティングの発明者と言われているって知ってました?

現在の三井グループ(三井物産、三井不動産、三井住友銀行、三越百貨店など)の元になっているのが、現在の日本橋三越の場所にあった三井越後屋です。
その当時にはなかった斬新な手法を取り入れ、事業を拡大し続けました。

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私、三井越後屋が三井グループの元になっている事はぼんやりとわかっていましたが、創始者の高利については存じ上げず、彼が生み出した様々なマーケティング手法についても知りませんでした。

かの有名なマネジメントの父、ピーター・ドラッガーに、「マーケティングは、日本で三井家の始祖によって発明された」と言わしめたというのだから、知らなかったことが恥ずかしくなってきます。
日本の教育って、もう少し日本を誇りに思える内容にしても良いのではないかと余談ながら思うのです。

三井高利がやったこと。色々あるのですが、大きく括ると2つに分けられるように感じました。

統一したロゴマークで、ブランドをアピール、認知度を高める

まずはブランディング

・家紋を改良し、同じマークを暖簾・風呂敷・番傘などに入れた
→ロゴマークでブランドの統一感を出した

ラブソルはノベルティやグッズ制作からスタートした会社ということもあり、これには痺れました。
今では、会社をつくるとなるとロゴマークをつくってホームページやら名刺やらに入れ、ノベルティをつくるのが当たり前です。

それを350年前にやっていたとは。

そういえば日本には家紋という、家ごとのロゴマークがもともとあったのですね。

江戸時代にノベルティがあったことに感動して長くなりましたが、本質的なことを言うと、要するにブランディングができていたということだと思うのです。
そして、ロゴがあることで、ただの有名呉服屋というだけでなく、江戸の街をゆく人々の脳裏にイメージを強く焼き付けることができたはずです。

ラブソルでも「知ってもらうための努力」をしなければならない。と常々話しています。
長らくSNSチャレンジなどというものを続けているのもまさにそのためです。
誰にも知られる必要がなく、ただ呟きたいだけならば、チャレンジする必要もないし、フォロワー数など気にする必要もありません。

しかし、それではお仕事にはなりません。
ラブソルがどんな会社で、どんな人がやっているのかを知っていただく。そして、良いと思っていただいた方とお仕事をしたい。
その想いでSNSをやっています。
(やっていますと書きましたが、最近全然つぶやけていない私なので、明日からまた精進します)

徹底的な顧客志向で満足度を高める

次に、徹底的な顧客志向に基づく施策です。

・ロゴ入りの番傘を、雨が降ると無料で貸し出しした
→当時は高価だった傘の貸し出しで顧客の印象アップ、さらにロゴ入りの傘は宣伝効果も抜群
・掛け売りをやめ、現金定価販売を取り入れた
→誰がいつ買っても同価格。表示されている価格なので安心して買い物ができるようになった
・切り売り販売、即座仕立てをはじめた
→お客様が不要な分量を買う必要がなくなった、商品を待たずに持ち帰ることができるようになった

ちょっと読んだ感じ、誰にでもできそうなことかなという印象もあるのではないでしょうか。

しかし、これらを実現するには大変な手間がかかると感じました。
お客様が望んでいることではあるけれども、大変だからどこもやらないことに挑戦しているのです。

盆と正月に売上金を回収する賭け売りは、江戸時代にはどの業態でも一般的でした。
もちろん回収しそびれるケースも後をたたなかったようで、その分の金額が商品代に上乗せされていたのだとか。
それに比べて現金、即日販売にすれば、回収漏れがないので金額を抑えることができます。

切り売り販売も、一反での販売が通常だったところ、ニーズに合わせて細かい単位でも販売を始め、子供服用の生地の注文で重宝されたとか。
また、通常は生地を決めて採寸をして仕立ててと時間がかかったものを、セミオーダーのような形で即日渡しできるようにしたというのです。

利用者側からしたら、便利なサービスばかりです。

しかし、即日販売には人手も必要だし、反物で半端な長さで売れ残ったりするリスクもあります。

それを許容してでも、こういったサービスをしたのはなぜか。

おそらく、顧客満足度が上がりリピートや口コミに繋がることを理解していたからでしょう。

ロゴ入りの番傘貸し出しもそうです。雨が降っても今のように誰もが軽くて小さい折りたたみ傘をバッグに潜ませている時代ではありません。
高価な番傘を貸してもらえるのは嬉しいサービスだったに違いありません。
貸し出しと言っても戻ってくるものばかりではないでしょうから、相当なお金がかかります。しかし、それをしてもあまりあるほどの顧客満足度向上、さらにはロゴマークのついた傘が街に広がることによる宣伝効果があればこそお金を使ったのでしょう。

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ちなみに、ラブソルは当初、小規模に多様なグッズをつくりたいお客様をターゲットにしていました。
決まったアイテムを大量につくるのでは、大手にかないません。
大手では発注数が少なくて相手にしてもらえない、細かい要望を聞いてもらえないお客様とのお仕事をしていました。

ニッチながら、ターゲットは確実にいる市場ではありましたが、何せ膨大な手間がかかりました。創業当初、代表のゆかと私で創業融資を申請しました。その時の担当の方から、「非常に良いお仕事だけれども大変だと思うから、体に気をつけて頑張ってください」という言葉をもらいました。

当時の私たちには今いちピンときていなかったのですが、狭い市場で手間のかかる対応をしていたのでなかなか苦労しました(苦笑)

結局、そこから方針転換をして、単純な数の少なさというよりは、よりこだわりの強い、オリジナリティの高いものづくりに移行していくことになったのですが、今回の話を読んで少し昔を思い出しました。

手間がかかるサービスを生み出し、それを受けられる土台や資金を用意して臨んでいた三井高利に尊敬の念を抱きました。

顧客に愛されること、そして知ってもらうことの重要性

江戸時代の三井越後屋から学んだこと。それは商売成功の鍵は、顧客に愛されること、リピートしてもらうこと、そして広く知られて顧客の裾野が広がることに尽きると感じました。

高利がやった施策は、どれも、実行が難しいことというよりは着眼点が鋭く、誰もやっていなかったこと、ばかりです。
その証拠に、この後、同じ現金掛け値なしの販売方法は江戸に広まっていきます。この本の中でも、大丸の創業者やにんべんの6代目が、同じ手法で売り上げを伸ばした話が紹介されています。

間も無く迎えるラブソル8期目、基本に立ち返り、どこをターゲットとするか、そしてそのお客様が本当に望んでいる事は何か、そこを突き詰めていきたいと思います。
また、ただ日々を過ごすだけではなく、何をやっているかを正しく伝える事。

このラブソルnoteもその一つですが、発信することを怠らず、真剣にやっていきたいと思います。

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池田 実加 ▶︎ SNS...Twitter

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