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関東屈指のパワースポット、三峯神社を守る犬神様の教えとは #旅するラブソル @caelum_555

こんにちは。ラブソル旅部メンバーの小川です。

前回の日帰り秩父旅のレポートは、途中で立ち寄った山梨県にある信玄公の菩提寺、恵林寺のことだけで終わってしまいました。それぐらい、偶然の出会いから得たものが大きかったということでもありました。


今回は、この旅の当初からの目的地であった秩父の三峯神社について記していきます。

三峯神社の名は、関東屈指のパワースポットとしてご存知の方も多いかもしれません。秩父の駅からバスに乗るか、車がないと訪れるのが難しい、山深い場所にあります。

三峯神社には特徴的なものが色々あります。まず、最初に目を引くのが三ツ鳥居。通常は一つである鳥居が、三つ連なった形をしています。これは、奈良の三輪にある大神神社の鳥居も同じタイプです。
実は我が国においてコンビニよりも数が多いと言われる神社ですが、この三ツ鳥居を持つ神社はほとんどありません。そして、その起源もはっきりとはしてないようです。

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三峯神社に訪れてみて何より印象に残ったのが、狛犬ならぬ狛狼。どうやら、秩父には狼が狛犬になった神社が他にもあり、三峯神社と同じく秩父三社の一つである寶登山神社も狼が狛犬らしいです。かつて秩父には、多くの狼が生息していたのでしょう。

三峯神社には日本武尊の大きな像がありますが、狼たちが日本武尊の道案内をしたことで、三峯神社での使い神に定められたとの言い伝えがあります。秩父のような日本の山間部では、農作物を荒らす猪や鹿を食す狼を神聖化し、山神の使いとして人々が崇拝していたこともおそらく関係していると思われます。

江戸時代には、「お犬様」と呼ばれる御眷属(ごけんぞく)信仰が広まったりもしました。三峯神社では御眷属拝借といって、古くからこの御眷属様を御神札として一年間拝借することができるそうです。
三峯神社のご神木を内符に入れてお守りにした「氣守」にも、狼の姿が刺繍されています。

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このように神聖な神の使いとして扱われた狼ですが、現在では日本の狼は絶滅してしまったと言われています。(環境省の絶滅種の基準の中に、過去50年生息が確認されないと野生絶滅扱いとあり、狼は保護飼育もされてもいないので、絶滅したとされています。)

日本での狼の絶滅に関しては諸説ありますが、明治末期だったとの説が有力です。明治維新後、西洋から外来種の移入が増加したり、狂犬病が蔓延したり、餌となる鹿や猪が乱獲されただけでなく、狼自身も明治政府の方針で駆除されたなど様々な要因が重なったと考えられています。近代化の過程で人間の生活が変化したことが影響し、急速な絶滅に繋がったのでしょう。

私自身、狼と聞いて真っ先にイメージしたのは「神聖」よりも「怖い」イメージでした。幼い頃に読んだグリム童話の赤ずきんちゃんや三匹の子豚で悪役として扱われていたことも影響しているのだと思います。
狼は、大口の真神とも呼ばれ、作物を守る神として尊崇されていたり、アイヌ民族が神と崇拝していたことも知ってはいますが、幼い頃に絵とともに植えつけられたイメージはなかなか払拭されないようです。

ある対象のイメージは、絶対ではなくあくまでも一面でしかない。文化はもちろんのこと、時代が違えば捉え方も変わることを忘れてはならない。そう狛犬の姿を通じてお犬様が教えてくれたようにも思えてきました。

狼を神の使いではなく、日本の生態系という観点から見てみると、かつてはその生態系ピラミッドの頂点に位置していました。そのため、絶滅後は捕食者がいなくなって増加した鹿などによって山が荒れたり等問題も起きています。

そのため、外来種の狼を入れてはどうかという話もあります。ただ、本来その土地にいなかった種を持ち込むことにより、生態系にどのような影響が出るかははっきりしません。その例として、ハブ駆除のためにマングースを沖縄や奄美大島に持ち込まれたものの、稀少な固有種がマングースに捕食されてしまったことはあまりにも有名です。
実際は、人間の思惑通りにならないことの方がまだまだ多いのでしょう。

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今でも豊かな自然が残っている三峯神社周辺は、狼がいつ目撃されてもおかしくなさそうな雰囲気を持っています。山々全体が澄んだ空気によって包まれており、自然のエネルギーが満ちています。

拝殿の側にある神木からエネルギーを受け取る参拝者の姿が絶えないのも納得です。私も神木に触れましたが、掌が温かくなったように感じました。

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この日、たまたま立ち寄った山梨の恵林寺では、信玄公の月命日ということで墓所を拝観できたり、特別な御朱印を授けていただいたりしました。
それだけでも何かに導かれているのかなと感じるには十分でしたが、三峯神社でも、一生の内、そうは出会えないものに立ち会うことになったのです。

参拝を終え、境内にある喫茶室でお茶をいただいた後、帰路につこうとしていた私たち。(ちなみに三峯神社には、境内に温泉もあります。)
突然、巫女や神職の方々が何人も出て来たので何事かと思っていたら、突然始まった大祓。

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新嘗祭(にいなめさい)は宮中祭祀の一つで、毎年11月23日に天皇陛下がその年の収穫に感謝するために執り行われます。天皇が即位の礼の後に初めて行う新嘗祭を、特に大嘗祭と呼ぶそうです。
まさに、今年の新嘗祭は天皇陛下の御即位の年なので、大嘗祭になるのです。

その2日前に、宮中では大祓が行われるのですが、それに合わせて臨時で全国の神社でも一斉に大祓を執り行うのだそうです。
日本中で、ほぼ時刻を合わせてお祓いが行われている。ただでさえ、下界とは違った空気で満たされていた山の空気が、より神聖なものになっていくのを感じました。


ちなみに、三峯神社の三峯は、雲取山、白岩山、妙法ケ岳が美しく連なる姿に由来しています。中でも、雲取山は東京都、埼玉県、山梨県の1都2県にまたがる山で、東京都では最高峰の山です。

三峯神社には奥宮もあり、三峯三山の一つである妙法ケ岳山上に鎮座しています。往復2時間ほどとのことですが、ブナの原生林や清浄の滝、クサリ場もあるようなので、トレッキングとしても十分楽しめそうです。(旅好きなだけでなく、登山も好きなのです…。)次回の三峯神社参拝の際は、ぜひこの奥宮まで行きたいと思っています。

今年もまだ1ヶ月強残っていますから、旅好きのラブソルが旅に出ないわけがありません。
早速、一部メンバーは今朝から出張のため、東北を訪れているようです。

まだまだ旅するラブソルは、続きます。


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LA BOUSSOLE 旅部
ゆきえ  Twitter

撮影:ゆきえ・柴山由香・池田実加

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