雑貨屋は両替手数料有料化をどう乗り切るべきか

先日、一つの記事を目にした。

銀行の両替手数料有料化。
メガバンクが踏み切ったのであれば、地銀にもいずれその波はくるだろう。
他人事ではないと思っていたら、想定していたより早く
そのタイミングは訪れた。

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「1枚両替でも110円・・・」
総額表示義務にあわせた大量の値札書替えで疲れ切った体が
ずーんと重くなった。

しかし、同じ民間事業者であるわけで文句をいうのは筋が違う。
嫌なら他の銀行に行けばよい。どこの業界も生き残るのに必死なのだ。
利益を生まないサービスから切り捨てていくのは当然のことだと思う。

「両替は無料が当たり前」という認識が自分自身あったが、
人が動いてサービスが提供されているのだから、お金がかかるのは
当然だったのかもしれない。

昨年からはレジ袋が有料化。無料で提供されていて当たり前だった
サービスが少しずつ有料化になってきている。

5年、10年経つとは日本も海外のようにお冷も有料、トイレも有料
コンビニコーヒーの砂糖やミルクだって・・・
さらにファストフード店であってもサービス料がとられ、
店舗に入るのにも入場料が必要になってくるかもしれない。

いずれは常識化し「なんでこれが無料だったのか信じられない」なんて
語る未来がやってくるかもしれない。

話は戻るが、両替が有料化したときに最も影響を受ける業種は
「低価格の商品が置いてあり、会計数が多い業種」であろう。
例えばコンビニ、スーパー個人店だと駄菓子屋、文具屋、雑貨屋
などだろうか。当店も100円以下の文具を扱っていたりするので
この業種にあてはまる。

両替有料化の影響

両替が有料化になるとどれほどの影響があるのか、
少々強引ではあるが、試算してみた。

当店で最も低価格の商品はネジ。
1本=13円(税込)である。

50枚で110円手数料がかかるのであれば
110円÷50枚=2.2円

1硬貨あたり2.2円の手数料が発生する。

実際のお会計にあてはめてみると

【13円のネジに1,000円でお会計した場合】

1,000円-13円=987円
(500円=1枚、100円=4枚、50円=1枚、10円=3枚 5円=1枚、1円=2枚)

計12枚の硬貨x2.2円=26,4円

13円-26,4円=-13,4円

1本のネジを販売するのに13,4円の両替手数料がかかる。

あくまで理論値であり、全ての釣銭を両替でまかなうわけではないし、
大体のお客さんは会計に近い額を出してくれるので、
理論値よりも手数料は低くなる可能性は高い。

しかし、鉛筆や消しゴムなど100円台の低価格商品は
大きいお金でお支払いただくと利益が出ない、
もしくは赤字になってしまう可能性が出てきた。

となると、魅力的な商品だが、両替コストを考えると仕入れられない。
といった事も考えられる。

赤字になるから、仕入れたいものを仕入れないというのもさみしい話だ。
何のために雑貨屋を営んでいるのだと思ってしまう。
かといって、売れた時に「赤字なんだよな・・」と思いながら
販売するのも精神衛生上よくない。

現在の仕入れスタイルを維持しながら、
この局面を乗り切るにはどうしたらよいか考えてみた。

同じ悩みを抱えている商店主の方はよろしければ参考にしてみてください。
もっとよいアイデアがあれば、教えていただきたいです。

両替有料化を乗り切る方法

1.電子決済の導入

当店ではクレジットカードをはじめ、pay系の決済のほとんどを
導入しており、決済時の電子決済の比率は50%に達している。
電子決済であればお釣りの心配をすることが一切ない。

その代わりクレジットカードは手数料が発生するし、
現在手数料が無料のpay系もいずれは手数料が発生するようになる。
(PayPayは10月1日より有料化の予定)
両替コストと決済手数料のどちらが費用を抑えられるか検討が必要。


2.1円単位の釣銭をなくす。

1円単位が一番の曲者である。
硬貨の価値以上の両替コストがかかってしまうのは
精神的ダメージがでかい。

101円は100円。109円は110円など1円単位は四捨五入し、
1円のやり取りを極力減らしてみてはどうだろう。
それだけでもお釣りの硬貨のやり取りは格段に減ると思う。

価格の調整を認めていないメーカーもあるので、
事情を説明して了解を得る必要があるが、総額表示義務化に
よって、キリの悪い価格になっている商品もあるので、
このタイミングでメーカーのみなさんにも協力をお願いしたい。


3.小銭を持っているお客様に両替をお願いする。

たまに「申し訳ないけど小銭が邪魔だからたくさん使っていい?」と
おっしゃるお客さんもいる。

全く申し訳なくない。むしろこちらからお礼を言いたくなるほどだ。

小銭を減らしたいというお客さんがいるのなら、
両替お受けしますとアピールすれば応じてくれる方もいるかもしれない。

銀行に手数料を支払うのであれば、お客様に還元した方が
よいという考えもある。小銭100枚持ってきてくれればお買物券〇円と
交換しますや、スタンプカードを作って販売額ちょうどに支払ってくれたらスタンプ一つ押します。

といった形であればお客さんに楽しんでもらいながら、
両替コスト削減につなげるのもいいかもしれない。

4.釣銭が多く出る支払いはお買い上げをお断りする。

せっかくお買い上げいただくものを釣銭を理由に辞退するというのは
小売業としてありえないことだとは考えているが、
今後、両替コストというものが発生することにより、
販売すると赤字になってしまう可能性が出てくるのであれば
そのような選択肢をとる店があってもおかしくないと思う。

お客さんにご理解いただくために

「両替手数料有料化に伴い、釣銭にコストが発生することになりました。
多数の硬貨が必要なお会計は赤字になってしまう事もございます。
よって100円の商品に1万円など商品金額の10倍を超えるお支払いはお断りさせていただきます」

と注意書きが貼られたお店が出てくるかもしれない。

私自身、せっかくお買い上げ頂くものをお断りする度胸は無いので、
とりあえずは少ししつこめに「細かいお金ないですか?」と
聞いてみることから始めることにする。

4.小銭をたくさん持っている事業者と交換

両替手数料有料となると同時に硬貨の入金も有料化になったらしい。
神社はお賽銭が手数料で残らないとつぶやいて炎上したというニュースを
以前見たが、

お互い困っているのなら、直接やり取りしてしまえば
解決するのでないか。

5.イベントにしてしまう

商店街であれば、同じ悩みを抱えている商店主もいるはず。
であれば、「両替デー」やら「EXCHANGE DAY」などという名目で
小銭100枚ごとに1回くじ引き券進呈であったり、いつも行っている
イベントにかこつけて両替を1コンテンツにしてしまうのも
いいかもしれない。

最後に

4月1日から両替有料化になり、実際に店頭でどれだけの両替コストが
かかっていくかはまだ予測ができないので、

当店では

・「細かいお金ありますか?」の声がけし、お客さんの協力を仰ぐ。
・価格調整可能な商品は1円単位をなくす。


といったところから始めてみようと思う。

いずれにしても、今後様々な無料サービスが有料化や
既存サービスの値上げが行われることになるだろう。
そうなった時に自分自身の心が折らさずに対応できる能力と、
お客様への負担をなるべくかけず、かけたとしても
あまりシリアスにさせないような工夫が必要になってくるだろう。





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