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「壁にぶつかったら、チャンスかもしれない」民泊運営&ライターの檜原大河さんへのインタビュー

新型コロナウィルスの影響で、長引く外出自粛や、経済への影響が心配されています。リモートワークが推奨されるなかで、いままでとは違った働き方を検討している方も多いはず。

「新しい働き方LAB」では、あなたのリモートワーク・デビューを応援する企画として、フリーランスで仕事をしているランサーを直撃インタビュー。

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今回は、民泊運営+イベント企画+旅行ブログライターとして活動する檜原大河さんに、ご自身の海外留学経験や、フリーランスとしての心構えやヒントをうかがいました。

Q: まず、現在のお仕事について教えて下さい。

メインは、民泊経営のシステムを使ったマッチング事業です。具体的には、日本に来る留学生や観光客と、物件を持っている大家さんとを、Airbnbをを使いながらつなぐお手伝いをしています。

この2年ほどライター業やイベント運営にも携わっています。渡航経験のある欧米諸国について旅行サイトに寄稿したり、英会話を体験できるミニイベントの主催などです。とにかく国際交流のハードルを下げることなら、何でもやってみたいと思っています。

▶自分の持っている常識=壁を壊したい!

Q: 「国際交流のハードルを下げたい」と思うようになったきっかけはなんですか?

僕自身、海外に留学した経験があります。異国の地でチャレンジすることの大変さと、踏み出して殻を破れたときの快感を味わったからです。

まず大学時代に香港に短期留学したときに、英語が通じなくて悔しかったのが最初の壁でした。卒業後に一度就職したものの、思いが捨てきれずに、カナダに語学留学をしました。留学後のキャリアも考えて、自分を鍛えるためにディベートのクラスなどを受講しました。

入学したての頃は、海外に行けただけで感無量でした。でもクラスの中での僕は、「正しい英語を話したい」という思いから、消極的になったんだと思います。ブラジルやメキシコ人のクラスメイトから「お前はなにも意見ないの?典型的なアジア人だね」とバカにされて悔しくなりました。

自分が思い描いていた成長をできないときって、壁を感じますよね。そんなときに、見かねた先生が助け舟を出してくれました。「失敗を怖がっていたら、誰にも伝わらないよ。文法なんて間違ってもいいから、きみの思うことを話してみなよ」と背中を押されたんです。

それで少しずつ自分の意見を言って、「静かなアジア人キャラ」を壊してみたら、思った以上に、きちんと受け止めてもらえました。

Q: 新しい環境で、ご自身が一歩踏み出したから、壁を壊せたんですね!

でも僕の方からも壁を作っていたと思います。相手のことを「大きな声で話す南米人だから話を聞かないだろう」と決めつけていたんです。

とにかく自分一人で悩みすぎずに、コミュニケーションを続けていったら、だんだん皆と意見を言い合えるようになって。いいアイデアも出せるようになり、一緒にプレゼンを作り上げたり、最後は支え合う大切な仲間になりました。

僕は音楽が好きなので、現地で日本の文化を伝えるようなイベントの音響スタッフとして参加したことがあります。お客さんとして来る現地の人と話しながら、イベントを作るのは最高です。全部を企画できなくても、日本人の僕が積極的に関わることで、お互いの価値観を更新していけると確信した留学体験でした。

▶ もっと気軽に国際交流ができる仕組みをつくりたい!

Q: 海外生活で濃い経験をすると、逆に帰国後のカルチャーショックを感じませんでしたか?

日本に帰ってきて、最初に見えた光景には愕然としましたね。電車に乗っている人たちの表情がとにかく暗い。

カナダでは夕方5時をすぎると、みんな町に繰り出して、恋人や家族との時間を過ごします。お店も「ハッピー・アワー(幸せな時間)」を設けて、夕方は少し安く飲食ができるような仕組みを作っています。

働きすぎずに自分の幸せな時間を過ごせる人が、日本にも増えればいいのになと、思い始めました。

これは単純に日本の労働時間が長すぎる、ということだけではない気がします。おそらく自分の時間を楽しむための仕組みを見つけにくいのではないでしょうか。

周りの人に、カナダでの経験を話してみると、「英語を話したい」とか「海外に行ってみたい」という反応が返ってきました。それなら僕は「旅」と「英語」を軸になにかしたいな、と思うようになりました。

もちろん僕はTOEIC満点なわけでもないけれど、逆にそこは強みかなと。「あんまり考えすぎずにやってみようよ」と言える人になろうと思いました。

Q: 「考えすぎずに」と言っても、やはり一歩踏み出すのは難しいですよね。

そうですね。国際交流のハードルはまだまだ高いです。僕の親もそうだったので、まず実家を民泊化しました。

英語が話せないだけでなく、デジタル・ネイティブでない世代にも「損をせずに、安心して国際交流ができる」という感覚を掴んでもらえると確信しました。

民泊事業やシステムで、物件についてレビューを上げるための対策を立てたり、大家さんを支えたり、ときにはクレームに対しての謝罪などもこなしています。一緒に乗り越えたときに、自分が殻をやぶった経験がいきていると感じます。

▶ コロナ禍でも「また会おうね」と言われる自分になりたい!

Q: コロナウィルスの影響で、旅行業界は大打撃を受けていますが、檜原さんのお仕事に変化はありますか?

たしかに、民泊の仕事は減っています。普段なら、春のこの時期は留学生や、短期の旅行者で予約が埋まる時期です。今はそれもありません。

でも自分は今まで好奇心が強すぎて、物事の優先順位がつけられずにきました。いつも予定をつめすぎてオーバーワークでしたが、最近は心に余裕が出てきているのを感じます。そういう意味では、今までに見えなかったチャンスもありそうです。

自分の今までの渡航経験や民泊経営のノウハウについて発信を続けているので、仲間は増えています。最近はシェアリング・エコノミー協会との活動をしてイベントでお話させてもらっています。

シェアリング・エコノミーというのは、既存の概念やスキルを組み合わせながら課題をお互いに解決し、支えあう生活のことです。僕が今までしてきた英会話イベントや民泊も、その一部として役立てられるなと感じています。

Q: コロナ禍では「交流」に制限がかかるように思うときもありますが、檜原さんにとっては逆に輪が広がっているんですね。

コロナウィルスについては、先のことは誰にもわからないですよね。でもいつでも「全てはトライ&エラーだ」と思ってます。

デジタル化が進むと、技術や情報の差は出てきます。僕自身、オンラインで飲み会をするなんて、今まで考えたこともありませんでした。だから、みんなにとって今は新しい世界なんじゃないでしょうか。

僕の中には、誰かが挑戦するときに、少しでも気軽に踏み出せるように応援したいという気持ちがあります。今はSNSを使って「間違ってもいいし、やってみればいいよ」って発信しやすい。いまは「こんなのたったらいいな」というアイデアや、クライアントの「困った」という声を素直にヒアリングし、ふとした一声をメモする習慣をつけています。

以前よりも、人とつながれることを意識し、感謝することが増えたな、と感じます。初めて会う人にもそうでない人にも、今まで以上に関心を持つようになりました。

僕のほうも「また会おうね」と言われる自分になれるような言動をしたいと心がけています。コロナが収束したら、また前向きな気持ちで人と会いたいな、と。

▶自分には「ダメ出し」ではなく「フィードバック」をしたい!

Q: さいごに、これからリモートワークを始めたい人に、檜原さんからアドバイスはありますか?

僕自身はリモートワークを始めて2年経ちましたが、コロナ禍で考え方に少し変化が出てきたのを感じます。今まで受け身で仕事を待っていたことに気づきました。

たとえばランサーズは「仕事をもらう場所」というだけでなく、積極的に自分のスキル・シェアを実践できる場所です。あまり考えすぎずに、いろいろな仕事のアイデアに触れ、応募してみるのをおすすめします。

「リモートワーク」で欠かせないのは、自分自身へのフィードバックです。自分の小さな行動や知識は、きっと誰かのニーズにつながっているものです。

「まだスキルがない」とあきらめずに、自分の環境を整えたり、スキルを高めていけるはずです。アイデアを出し合って、シェアをしながら、1ミリずつでも軌道修正していくのはわくわくします。この状況では先は見えませんが、新しい価値観を作るという意味では、みんな今スタート地点に立っていると感じています。

●まとめ

いかがでしたか?檜原さんのお話を伺っていると、「誰かが答えを用意してくれる」のではなく、「お互いに背中を押し合って、少しずつ前に進んでいく」世界が見えてきたような気がします。

コロナ禍で働き方を変えて、フリーランスや副業デビューをする人も増えてきました。自分のいままでの学びや、人とのつながりを活かしながら、あなたの歩き方でリモートワークにチャレンジしてみませんか?

<執筆:萩谷 海>

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