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休学日記

寝覚めて聞く蝉の声、とうに昇った陽の光、先週と同じテレビ番組、ずっと動けないでいる私。休学を決めて数週間、現実味は無く時間だけが経過していく。妹と同学年になる事の重さ。もう家族の誰も私の進路を聞かなくなった。環境に甘えてお金も時間も浪費していると思う。就職活動もまともなアルバイトひとつも出来ず、家で昼まで眠る生活。私に将来なんてあるんだろうか。

精神科入院もそれに伴う休学も隠している私は、親戚や周囲の人からいつから学校行くの?と聞かれると、「秋からだよー」と実現不可能な嘘をつく。その場しのぎの笑顔と愛想の良さに関しては長けているのでまだ誰にも疑われていない。遊びに誘われたら行こう行こう!とむしろ私が誘ったような具合で前のめりに振舞ってみせるし、具体的な日程まで決めてしまう。身体でさえそうだ。私は自分から進んで言わなければ自殺未遂をしたことも分からないし、日常生活に支障をきたすほどの麻痺等は残らなかった。走れなかったり、太腿の裏の感覚が鈍かったりする程度の、些細な不具合だけ抱えている(それがどれほど幸運なことかは言うまでもないだろうが)。どんなに限界を感じていても、きっと悟られないと思う。

その仮面が破綻するまでの人生、と思うようにしたらなんだか呼吸がしやすくなって、罪悪感もなくなって、最近調子が良かった。けれど、今日何かの話の流れで母親に悪気なく「フリーター」と呼ばれて心が凍った。ニートと呼ばれなかっただけマシなんだろうか。自分の立場や現状を客観的に見るとそうなんだなぁと思った。平日と休日の区別もなく寝てばかりいる23歳。身分を示すものは健康だった頃苦労して得た免許証と最近あっさり取得できた障害者手帳だけ。普通のレールから外れることが怖くて仕方なかった私は遥か彼方にいて、もう戻らないみたいだった。それが幸せなことだとは到底思えなかった。入院中お世話になったお医者さんや看護師さんやリハビリの先生たちの事を想った。自分のことを大事にするという決意も言葉も全部嘘にしてしまった。でももうどうでもよかった。

精神科に通うことの意義が分からなくなった。採血も怖いしカウンセリングで話して解決する気もしないし、どこか遠くに逃げようかなぁと思った。私のことをムーミン谷に居そうと言ってくれた人がいるけど、どうやったら行けるかな。ずっとジャムでも食べてたいな。

妹は休学して留学するんだって。私は休学して何してるんだろうね。

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