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「感動ポルノ」の持つ意味(16)

 「北斗の拳」の原作者・武論尊氏(↓)は、自分の収入から4億円を奨学金に寄付したという。10名ずつ選考して100万円を4年分渡すとか。


 対して自分のイジメ経験を語り、親の仕事を語った大今良時(↓)は何をしているのか。



 マスコミにあれだけ綺麗ごとをはいたのに、平成30年に閉鎖予定だった聴覚障害児福祉施設の金町学園やトルコのサムスンで行われているデフリンピックについては華麗なほどスルーしている。(※金町学園は後に別の社会福祉法人が名乗りを上げたために存続が決まった。もちろん、大今良時の働きは一切見られない。)

 山田尚子監督や声優たちも、こういう聴覚障害者の抱える問題については何のアクションも起こしていない。

 (↑)岐阜のサッカークラブや市役所にイラストの提供をすることはあっても、こういう問題について自分のイラストを提供することも、応援することもないのだ。


 大今良時自身、「聲の形」を投稿する前にファンタジー作品を投稿していたが落選していた。だが、聴覚障害美少女をネタにした途端、過剰反応が相次いだ。これがすえのぶけいこの漫画「ライフ」のように健常者同士のいじめネタだったら、かすりもしなかった。結局は聴覚障害者を少年誌の読者層に合わせた「男」ではなく世間一般にウケがいい「美少女」に描くことで、デビューを果たしただけに過ぎない。

 さらに「聴覚障害美少女」を「被害者」に仕立てることで、感動ポルノの道具にすることを正当化しているに過ぎないのだ。


 「聲の形」絶賛派のブログなどを見るたび、おぞましいほどの美少女賛歌に吐き気がします。試しにこの人のブログを取り上げておきます。


 タブーを描くとかそういう意味なら、すでに「わが指のオーケストラ」で描かれています。美少女マニアは「聲の形」の美少女が苦痛に歪むシーンを見てハアハアあえぎながら下半身をこすっているだけです。

 「わが指のオーケストラ」はこの「聲の形」と同じように親との関係なども描かれています。ですが、美少女マニアには受け付け難い絵なので、読む人はまず居ない。この作品が大今良時によってリメイクされたら読者は一気に増えるだろうが、それはあくまでも美少女ネタに食いついてきているだけに過ぎない。内容がどうであろうと美しい少女が(性的)虐待を受けるシーンがあれば美少女マニアは喜ぶのだ。

 このブロガーもそうですが、こういう美少女マニアはあくまでも美少女が好きなだけであって、聴覚障害者の抱える字幕問題に向き合っているわけではない。

 要約筆記者の「聴こえない人のために字幕を付けてほしい」というツイートを関係者総勢で完全無視していたのも、関係者の差別意識が見え隠れしている。

 「聲の形」の美少女はこういう美少女マニアにとって感動ポルノの道具であり、子猫や子犬と同じ扱いなのである。

 決して(大今良時自身がマスコミに向かって「聴覚障害者への苛めを理解してほしい」と語った)聴覚障害者の抱える問題を理解しているわけではない。

 大今良時はマスコミに向かって綺麗ごとを吐いた後は雲隠れして字幕問題すらノータッチ、新作に嬉々として取り組んでいる様子から、高校進学をあきらめた上に若い人たちにチャンスを与えようとしている武論尊氏を見習おうともしないのがうかがえる。


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