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【伝えテ niiid U】七草にちか 感想【シャニマス】

※本記事はpSSR【伝えテ niiid U】七草にちかのネタバレが含まれます。閲覧の際はご注意ください。


はじめに

 こんにちは。こちらは先日実装されたpSSR【伝えテ niiid U】七草にちかの感想記事になります。
 前回の【とキどき間氷期】が「家の話」であったのに対して【伝えテ niiid U】は「仕事の話」が焦点であったように思います。WING編やGRAD編で扱われたテーマも登場し、にちかの価値観や対するシャニPの考えに触れることができる興味深い内容でした。早速以下でみていきましょう。

第1話「どうせ」


 事務所で学校の勉強をしているにちか。実装時期を考えると夏休みの宿題感もあります。数学も古文も歴史も必要ないのにやる意味があるのかと文句を言いつつ、勉強に取り組んでいます。
 対するシャニPは学習課題に追われるにちかの負担を気にかけているようです。スケジュールの調整を提案しますがその言葉はにちかに遮られます。彼女はやるべきことは全部やらないといけないのだと言います。シャニPは無理をしてほしくないという思いを伝えますが残念ながら彼女には届きません。


 本話ではやるべきこと全てに取り組もうとするにちかが描かれます。シャニPは負担を軽減するために「やるべきことの選択」を提案しますが、彼女は選択すること自体を拒否しているようです。
 ここでは学校の勉強の話を扱っていますが、にちかのやるべきこととは勉強だけではありません。そこにはアイドルの仕事が当然含まれますし、彼女はきっとどんな仕事もやらなければならないと考えているのでしょう。


 また勉強を頑張ってもどうせ忘れてしまうという一幕がありますが、このやり取りもアイドルの話を想起させます。GRAD編でにちかは居場所を奪われ、忘れられる恐怖に襲われました。どうせ忘れるのに頑張らないといけないこと、とは勉強の話だけでなくアイドルの仕事について自嘲的に語っているようにも感じられます。

七草にちかG.R.A.D.編「よくないよ」より


第2話「その他」


 1話の導入を経て「仕事の話」が始まります。グラビア撮影の仕事を受けたにちか。しかしその撮影には別の「主役」がいることを知らされます。主役となる若手女優とその他の出演者で扱いが異なっており、その扱いはエキストラだと憤慨する共演者もいます。


 にちかもこの仕事はエキストラや風景と同じだと冷ややかな反応を示しますが、同時に彼女はその仕事を拒みません。風景になることは得意だという彼女の自嘲的な発言はWING編のワンシーンが思い出され、こちらまで悲しい気持ちになります。

七草にちかW.I.N.G.編「on high」より


 シャニPはにちかが苦しそうだと言い、改めて今回の仕事について考えて欲しいと告げますが、彼女は仕事に納得はいらないとそれ以上の会話を拒否します。

 WING編でもGRAD編でもシャニPは「にちかが笑うこと」を重視していましたが、同時ににちかは「自分が笑うことに意味はない」と頑な態度をとります。シャニPはにちかの大切なものを大切にして欲しいと願っていますが、彼女はその重みづけ=選択を拒否してあらゆる負担を抱え込もうとします。

七草にちかG.R.A.D.編「いいね日常!!」より


第3話「いや、まぶしすぎ」


 撮影の仕事が始まります。主役の女優を前にしてにちかは自分が主役でないことを改めて思い知らされます。自分はこの場に必要なのか、いてもいなくても変わらないのではないかという葛藤。しかしにちかもプロです。たとえ主役でなくとも撮影に全力で臨みます。


 自分の仕事に手応えを感じるにちか。そんなにちかの仕事ぶりをシャニPも褒め称えます。仕事の出来に満足感を覚えるにちかの表情が可愛らしいですね。仕事の価値を決めるのは自分自身であり、自分の気持ちが大事なのだということが示唆される内容でもあります。

第4話「えらべないを」


 グラビア撮影のパンフレットが届きます。にちかが映っている写真を見つけたシャニPは嬉しい気持ちを彼女に伝えます。客観的にみれば他の共演者も同じような扱いであり、にちかの仕事ぶりがよくて特別に扱いが良かったという訳ではありません。しかし、シャニPはにちかの仕事の結果に満足しており、彼女自身もまたこの仕事を通じて達成感を得ることができたようです。



 コンビニでアイスを買うか悩んでいるにちか。頑張った自分へのご褒美ということなのでしょう。しかしシャニPと偶然出会ってしまった気恥ずかしさからか、アイスは買えず終いとなってしまいます。
 前話に引き続き、仕事の価値を決めるのは自分の気持ちなのだということが描かれます。仕事に納得は必要ないと答えたにちかですが、今回の仕事は自らの気持ちと向き合うことを学ぶきっかけになったかもしれません。


 4話で印象的なのは最後の「大人買い」の会話シーンです。アイスに迷うシャニPに対してにちかは迷うなら全部買えばと提案しますが、シャニPは大人になっても実際には大人買いはしないものだと言います。選べるだけいいというにちかのコメントが続きます。


 シャニPは大人=アイスを全部買うことが出来る立場ですが、彼はその中から自分で選ぶことに意味を感じているようです。自分の心と向き合うことを大事にしているとも言えます。対するにちかは自分はそもそも選べる立場にないのだと言い、自らと向き合うことを避けます。二人の価値観を象徴する会話になっています。
 

True End「えらぶ」


 にちかにバラエティ番組の仕事の打診が来ます。それは急病になったタレントの代役でした。急な代役の依頼であり、にちか本人でなければならない客観的な理由は薄い仕事に思われます。にちかはそんな仕事でも全部やるのだと言います。シャニPは何かを告げようとしますが思い立ったかのように外に出て行ってしまいます。


 事務所に残されるにちか。本当は全部なんて出来ないという独白を聞くことができます。「全部やる」は何も選んでいないことと同じです。限られた時間のなかで、本当は何を大切にしたいか自分の気持ちと向き合う必要があります。にちかもそのことは分かっています。


 シャニPが色んな種類のアイスを買って帰ってきました。シャニPはこの中から一番を選んで、それから仕事についても考えて欲しいと伝えます。選ぶことは自分の気持ちと向き合うことであり、自分を大切にすることでもあります。
 にちかにとって選択の放棄は、選んでいる余裕などないという焦燥感や選べる立場にないという自己評価の低さに由来していると思われます。しかし日々成長しているにちかは、本当は自らの頑張りを認めてあげることができるはずです。自分の大切なものを大切にすることができるはずです。

 シャニPの提案を受け、にちかは一番高いアイスを選びます。それは自らの努力に対する最大限の賛辞であり、彼女が自分を大切することができたという証でもあります。
 

おわりに


 過去のコミュでは度々にちかの仕事に対する姿勢が扱われてきました。彼女のがむしゃらな態度や自己評価の低さは以前から分かっていたことではあり、自分を認めてあげること、自分を大切にすることは七草にちかの課題とも言えます。
 【伝えテ niiid U】ではにちかが「選ぶ」ことを通じて自らを大切にすることを学び、成長する様が描かれました。学校の勉強、グラビア撮影の仕事、ご褒美のアイス、夏らしさを感じるモチーフが散りばめられつつ、一貫したテーマについて綺麗に纏められている、読後感の良いお話でした。

 撮影にしてもバラエティにしても本当に替えの効かない仕事、「あなたでなければならない」仕事というのは多くないのかもしれません。しかしどんな仕事であってもその価値を真に決めるのは本人の心の持ちようです。「あなたが必要だ」と伝えてくれるのは、自分自身の心なのかもしれません。


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