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家族と過ごした日

近くに住んでいる家族と
墓参りに行った。
久々に親と会ったので話が弾んだ。
わたしもだが、
両親は昔からいろんな土地を転々としている。
父は鹿児島出身。母は栃木出身。
わたしは一応、宮城出身ということになっているけれど、
幼稚園に入るまでは、秋田や福島にも住んでいた記憶がある。
小学校は3校行ったっけ。
わたしが鹿児島で就職して
鹿児島に骨を埋めるのかな、と考え始めたころ
両親は奈良へ引っ越した。
わたしが京都へ転勤してしばらくして
奈良に住んでた両親を京都によんだ。
みんなで暮らすために。
それから数年。
もう両親は京都に骨を埋めるつもりらしい。
わたしもそうしようかな。
そうしようよー。
なんかいろんなとこ住んだね。
もう、みんな一緒にいようか。
そんなことを話す。


昨夜大好物のえびを使ってキッシュを焼いた。
いちばん自分の好きな感じで作ったのに
味見程度しかしなかったので
ほとんどホールのまま実家へ持って行った。
「あんた、これ、売れるよー。もう、キッシュデリバリーやれば?」
なんて言いながら、
父も母も、美味しい、美味しい、と食べていた。

「あんた、こないだ貸した、カラマーゾフ読んでないでしょ。」
と、父に言われた。
「読んでるよー。アリョーシャが修道院入ったとこまで。」
父に貸してもらった、
ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」。
めっちゃ最初の段階で挫折したことが
バレバレな返事をした。

父は今日から仕事が休業なのだという。
今、NHKでドラマ「レ・ミゼラブル」がやっているので、それを観るのが最近の楽しみなんだって。
本を持っているか、姉に聞いたら、
「かずが持ってるよ」と言われたという。

持っているとも!

ユーゴー著、レ・ミゼラブルは
小学生のころからわたしの愛読書。
宗教色が強い。
父はクリスチャンなのだが、
わたしは父から、よりも、レ・ミゼラブルから、
信仰、というものを考えさせられた。
(今は無宗教)

それを話したら、
「そっかー、あんたは、そうだったんだねー。」
なんて言う。
「ちょっとおいでよー。」
と、父の部屋に呼ばれたので、
一緒にレミゼのドラマの録画を観た。

わたしは登場人物の女性では
エポニーヌが一番好き。
という話をした。
エポニーヌは残念な役回りかもしれないけど
愛する人と結ばれるだけが愛じゃないのだ。

まあでも、そういう意味でも
いちばんかっこいいのはやっぱり
主役のジャン・バルジャンです。

ドラマを観終わったら
父が世界史の本を出してきたので
その頃のフランスの歴史背景を
一緒におさらいした。
ナポレオン没落直後の混乱期。
歴史の過渡期に生まれる小説は面白い。
人々の感情も行動もいろいろと炙り出されて
価値観も生き方もくっきり出てくるだろうから、
モデルになった人物たちがさぞたくさんいたんだろうなと思う。

いまはどんな時代なんだろう。
とにかく強烈に歴史に残る時代かも。
ちょっと、予測がつかない。
自分はいざというときどう行動するんだろう。
エポニーヌみたいには動けないかも。

父が、小説も読みたいな、というので、
カラマーゾフのお礼に貸してあげることにした。
完訳版5巻。たっぷり5冊。
「仕事休業に入るからどうしようかと思ってたんだよ。嬉しいな〜。こんなときじゃないとなかなか読めないから。」
なんて、言っていた。

わたしも今夜は読もうかな。
ドストエフスキー。

そんな気分になったので
いまから読むところ。

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