〝テニプリ〟を知らない人向け 〝新テニミュ〟鑑賞のすゝめ


※一部歌詞の引用を除き、新テニミュの物語の展開に関するネタバレはありません。


新テニミュを見てほしい。後生だから新テニミュを見てほしい。

ミュージカルテニスの王子様」というコンテンツをご存じでしょうか。タイトルだけは聞いたことがある、という方も多いのではないでしょうか。

総出演者数300名超、通算公演回数1,800回超、累計動員数290万人超

「若手俳優の登竜門」とか、「2.5次元舞台の歴史を作った」とかいわれている巨大コンテンツです。

この通称「テニミュ」は2003年4月に初演を迎え、2020年に3rdシーズンが完結し、2021年2月現在、4thシーズンの上演が決定しています。おそらく、次に始まる4thシーズンは2025年までは続くでしょう。

テニミュというコンテンツに馴染みのない方は「シーズンって何?」と思われたのではないでしょうか。

テニミュは『テニスの王子様』という週刊少年ジャンプで連載されていた漫画を原作としています。
連載していたのは1999年から2008年までのことなので、当時のテニスの王子様を知らない、原作漫画を見たことがないという方もいらっしゃるかもしれません。

通称「テニプリ」というこの物語は、アメリカジュニア大会4連続制覇という実力を誇る中学1年生の主人公・越前リョーマがかつてテニスの名門と呼ばれた青春学園中等部(通称「青学(せいがく)」)に入学するところから始まります。
原作は42巻。ひと言でいってしまえば、青学男子テニス部が全国大会優勝を成し遂げるまでの物語です。そのなかで、リョーマと彼が身を置く青学男子テニス部はさまざまなライバル校やその選手たちと出会い、試合が繰り返されていきます。

テニミュに主に登場するのは、青学が地区大会決勝戦から全国大会決勝戦までに対戦する、不動峰中・聖ルドルフ学院中・山吹中・氷帝学園中・六角中・立海大附属中・比嘉中・四天宝寺中の8校のライバル校です。
なおこの一年、中学テニス界は例年になくハイレベルであることが明かされており、「10年に1度の逸材集いし群雄割拠のこの年」と表現されています。

テニミュは大まかにいうと地区大会(決勝)から全国大会決勝戦までの青学と各ライバル校との試合を辿っており、物語の冒頭から結末までを1シーズンとして、計3シーズンを完走しています。(シーズンの途中に「ドリームライブ」と呼ばれる各校が勢揃いしてのライブや、学校ごとのライブ・イベントなども行われています。)

「同じ物語が繰り返されてるの?」と思いましたよね。そのとおりです。
基本的に(演出の都合上前シーズンでは省略され登場しなかったキャラクターが次のシーズンで実装された場合を除いて)新キャラの登場も(演出変更や楽曲の変更はあれど)新しい物語の展開もありません。

ちなみに、かつてテニミュを主催する(株)マーベラスの株主総会では、「いつまでテニミュを続けるのか?」という株主の質問に「テニミュは永遠に続ける」という回答がなされたといいます。

じゃあなぜテニミュがこれだけ長く続けられてきたのか、その理由はもちろんたくさんあります。(ここで触れるのはごく一部です。)

原作の起伏に富んだ展開がいまもなお色褪せないこと、「漫画はキャラクター」とおっしゃる原作者・許斐先生が産んだキャラクターたちが個性豊かで魅力的なこと。

テニスボールとしてスポットライトが舞台上を飛び回り、それをテニス合宿を経験したキャストたちがラケットで正しく打ち返す演出、ときに原作に忠実に、そしてときには原作では描かれなかった部分までキャラクターたちの感情が言語化された歌詞。

そしてテニミュが築き上げてきた代替わりシステムも大きな役割を果たしているでしょう。
20周年が見えてきたテニミュというコンテンツは、度重なるキャストの卒業を経ています。
当初は特定のキャラクターのみのキャスト変更もありましたが基本的には、チームごとにキャストが決められ、チームみんなで卒業していくシステムです。

主人公校である青学は1シーズンで数回の代替わりを行います。例えば2015年2月から2019年12月まで上演された3rdシーズンは、8代目〜10代目の青学キャストが出演していました。
ちなみにライバル校は近年はシーズンを通じて演じることが多くなっているので、例えばシーズン最初の対戦校である不動峰のキャスト(のうち一部)は、初登場から数年後の全国大会終盤までそのキャラを演じ切ります。

一度テニミュに抜擢されると、基本的にキャストはその後数年にわたって自身が演じるキャラクターと向き合い続けることになります。
テニス合宿をして、長期間の稽古をして、その間ずっとチームメイトやライバル校のキャストと切磋琢磨して、数か月におよぶ公演を続けて、さらにその公演を何度も繰り返します。

つまり、テニミュは文字どおり寝ても覚めても自身の演じるキャラクターについて考え続けることを余儀なくされているキャストたちによって演じられるコンテンツです。

テニミュの稽古場には原作やあらゆる資料が置かれ、キャストたちは「答えは原作にある」と言い聞かせられているといいます。それでも、舞台の上では原作のコマには映り込むことのなかったそのキャラクターが生き続けることになります。

通称「ベンチワーク」と呼ばれる、試合中ベンチに座っているキャラクターたちの芝居は、テニミュの醍醐味ともいえるでしょう。
自分が知らなかった推しが、自分が思いもしなかった解釈がそこにあります。

もちろん、原作ファンにとっては「解釈違い」を起こすような演出やキャストによる解釈も存在し得ます。

それでも、悲観することはありません。テニミュは永遠に続いていくので、いずれまた、自分の琴線に触れる推しと出会うことができます。

テニミュは裏切りません

ちなみに、原作者の許斐先生がテニミュをご覧になったことで、原作のキャラクターに新たな要素が追加された「逆輸入」も何度か起こっています。「漫画はキャラクター」という許斐先生のモットーは、実は生きている人間(にかぎりなく近いキャラクター)こそが物語を牽引するということであり、生きている人間は、当然変化してゆくのです。

また、同じ物語を繰り返すことができない原作にはなし得ない、時代に即したアップデートがなされるのもテニミュの大きな特徴の一つです。

テニプリという作品の特徴であり魅力の一つとして、キャラクターの多様性が挙げられます。
関西弁といえば明るくノリの良いキャラクター、というイメージが強かった時代にメガネでクールな関西弁キャラを登場させるなど、明らかに固定観念を壊す意図を持って造形されたキャラクターが数多く登場しています。

さて青学が全国大会終盤で戦うことになる大阪代表・四天宝寺中には、「ラブルス」と呼ばれ、いわゆる〈女ことば〉で喋る金色小春(こんじきこはる)と、他校生に目移りしてばかりの金色に一途で「浮気か、死なすど!」と言う一氏ユウジ(ひとうじゆうじ)というダブルスペアがいます。

連載当時は、男性同性愛者であることが示唆されたキャラクターが少年漫画に登場することも、彼らが単に人を笑わせるためだけに登場した端役ではないこともおそらく画期的なことでした。

しかし原作のラブルスについては「モーホー軍団」「ホモっぽくしてる(以下略)」という表現が用いられる一方で本人たちによる自身のセクシュアリティやふたりの関係への言及はなく、コミカルな、「イロモノ的」側面を強調されて描かれていました。(※「ホモ」は「ゲイ」の侮蔑語です。)

一度コミックスになってしまった原作は、時代の流れに合わせて書き換えることはできません。動かぬ歴史としてあり続けます。

性的マイノリティに向けられる視線はゆっくりと、しかし着実に変わっています。テニミュはこの時代の変化を見逃しませんでした。

2013年12月から2014年3月に上演されたテニミュ2ndシーズン四天宝寺公演のラブルスは、男性同性愛者を指すのに使われている「ゲイ」という言葉の原義(「明るく楽しい言うこっちゃ」)に触れ、歌詞には「ラララゲイゲイゲイ」というフレーズがある曲「ゲイ術的なテニス」を高らかに歌いあげました。

連載当初は自分たちのセクシュアリティを示す言葉を持たなかったラブルスは、数年の時を経て、ポップな曲調で自分たちを肯定できるようになったのです。
なおさらに時が進んだ2018年12月に始まった3rdシーズンのラブルスは、「私生活でもダブルスなのよ」「絶えず二人でラブラブなのよ」「ゴールデンラバーズって呼んで」という歌詞を歌っており、ふたりが交際中であることが示されています。(ただし他キャラクターの「ホモ」という台詞は残念ながら残っています。)

特にその描かれ方の変遷が大きくアップデート感が分かりやすい部分を取り上げましたが、とにかく、テニミュは徹底的に原作に忠実であることを意識しながら、同時に時代に即した、あるいはその先を行くアップデートをやってのけるコンテンツでした。
(ちなみに表現の変化は原作の歴史を書き換えるものではなく、常に「今の時代に『テニスの王子様』が連載されていたら」という想定のもと行われているらしいことが、キャラクターたちの持っている携帯電話がガラケーからスマートフォンに移行していることから伺えます。)

さて、ここでタイトルを思い出してください。
そうです。ぼくが見てくれと必死に言っているのは「新テニミュ」なのです。

「テニプリ」には続編があります。『新テニスの王子様』、通称「新テニ」。2009年に連載が開始され未だ連載が続いている漫画です。
新テニミュは、『新テニスの王子様』のミュージカル化作品に当たります。

現在新テニミュ公演は2020年12月12日から2021年2月14日まで公演が行われ、『新テニスの王子様』の原作コミックス5巻の途中までをミュージカル化した「ミュージカル新テニスの王子様 The First Stage」しか上演されていないため、ここでいう「新テニミュ」はこの「The First Stage」を指します。

新テニでは、学校ごとの戦いから、新たなステージに移行します。物語は全国大会から数か月後、鎬を削りあった中学生テニスプレイヤーたち50名がU-17選抜合宿に招聘されるところから始まります。

例年であればU-17選抜合宿に参加することができるのは一握りの高校生プレイヤーだけなのですが、「10年に1度の逸材集いし群雄割拠のこの年」、中学生たちは異次元の強さを持つ高校生プレイヤーたちと対峙することになるのです。(物語はのちに世界大会へと舞台を移すのですが、新テニミュはまだそこに至るまでに長い道のりがあるので割愛します。)

原作者である許斐剛先生は数年にわたって「新テニをミュージカル化してほしい」と公言されていました。
しかしテニプリよりさらに異次元の戦いが繰り広げられる新テニは登場キャラが多い上、洞窟の中・崖の上など通常では考えられないロケーションのシーンも多く、先にさまざまな人種のキャラクターが登場する世界大会が待っているためか、テニミュ製作スタッフも「検討しているが難しい」としていました。

さて2020年に終了したテニミュ3rdシーズンは、本来であれば5月、全校から集められたメンバーでの「ドリームライブ」で幕を閉じるはずでした。
しかしコロナ禍で公演は中止。2月の本公演、全国大会決勝の大千秋楽が3rdシーズンの最終公演になってしまいました。

2020年は困難に満ちた年でした。テニミュとそのファンにとっても。
本来であればシーズンの集大成となったドリームライブは行われず、中止になったのがちょうどシーズン最後の公演であったために、「またいつかテニミュの公演が見られる」という保証はどこにもないまま、「(公演期間であり作中で描かれている)夏といえばテニミュ」といわれる季節すら過ぎ、秋が来ようとしていました

どうか4thシーズンの製作発表をしてほしい、時期は明かされなくても良いから。あるいは新テニミュでもいい、まだ見ぬ世界に触れられるなら。
おたくたちの祈りに、テニミュは想像もしなかった形で応えてくれました。

2020年9月。テニミュ4thシーズンと新テニミュの製作が同時に発表されたのです。
朝目が覚めて、情報が解禁されていたときの喜びは忘れられません。世界に光が戻ってきたような心地がしました。コロナ禍という緊急事態に数か月置かれ、死んでいた心が蘇った。

そして10月。4thシーズンに先駆けて、12月から新テニミュの上演が始まることが明かされました。

テニプリと新テニは、地続きの世界線でありながら明らかに性質の異なるコンテンツです。
「新テニミュ」とは一体なんなのか。実現不可能と思われた新テニのミュージカル化は、いかにしてなされたのか。

いやそんなことより数か月ぶりのテニミュ(?)、テニミュ(?)が浴びれる。生を実感できる。

かつてぼくはテニミュに通い、テニミュで見つけた推しの現場に通い、多いときには1か月に10公演以上テニミュおよび推しの出演舞台を観ていた人間でした。
しかし2019年末ごろから推しの現場通いをやめていたぼくが唯一定期的に通っていたテニミュさえなくなり、ステイホームで引きこもり、新テニミュを楽しみにしながらもモチベーションを高めることができなくなっていました。そもそもぼくが待ってたのはテニミュだし。新テニミュ、推しキャラいないし。といじける気持ちもどこかにありました。

それでも迎えた東京公演。ぼくが目にしたのは、新テニスの王子様の完璧なミュージカル化であり、これまでに目にしたことのない新しい〝テニミュ〟でした。

テニミュにおける役作りは非常な長期戦です。試合を重ねてキャラクターが成長していくさまを、まだキャリアの浅い役者が自身も成長しながら演じます。

しかし新テニミュに登場する中学生は、全国大会決勝戦を終えた後の彼らです。数年にわたって演じ続けたキャラクターの集大成を見せる全国大会青学vs立海公演の後の世界線なのです。

新テニミュは、キャスティングでその問題を乗り越えてきました。

テニミュでは「テニミュが初舞台」というキャストをあえて多く採っているのに対し、3rdシーズンからの続投となるキャストを3人(うち1人はテニミュ時にはノンクレジット)を投入し、ある程度キャリアを積んだキャストを多く採用しました。
さらに高校生には10年以上前、テニミュで俳優デビューしテニミュの黎明期を支えたキャストが2人選ばれています。

テニミュを知っているキャストを選ぶことでテニミュらしさは残しながら、同時に新しさは忘れない。

3人のコーチ陣として、ベテラン俳優(うち1人は帝劇にも立っているゴリゴリのミュージカル俳優)を起用しています。フレッシュさが一種の売りであるテニミュでは絶対に聞けない、重厚感溢れる三重奏。ていうかこんな痺れるようなガチのミュージカル歌唱初めて聴いたんですが本当にチケット代に含まれているんですか?

そしてテニミュの得意とする時代に即したアップデートはラブルスの描き方を超えてきました。

新テニで新たに登場した高校生のなかにも、性的マイノリティであることがほのめかされているダブルスがいます。

金髪モヒカンというややいかつい見た目でありながら「ワタクシ」という一人称を用い、いわゆる〈お嬢さまことば〉で喋る松平親彦と、前髪をかきあげたヘアスタイルに髭をたくわえた彼のダブルスパートナー都忍です。
(なお、ファンブックなどで忍は親彦へのプレゼントを探していること、忍の髪型は親彦が毎朝セットしていること、忍は後にプレゼントを見つけ「内助の功」への報いとして花を好む親彦に花のかんざしを贈ったこと、金色は親彦とメイク談義で盛り上がっていること、忍は一氏から恋愛相談を受けていることなどが次々と明かされています。)

原作本編では、親彦が女ことばで喋っているだけで、彼らの関係がどんなものであるのかは明かされていません。同時に、親彦が世間一般の男性からかけ離れた振る舞いをしていることについて、誰一人疑問を呈したり揶揄したりすることはありません。
理由なく、消費されることもなく、ただ当然のように〝いる〟だけの性的マイノリティ。

ある意味で、都・松平ペアはラブルスの進化系だといえるでしょう。

とはいえ、忍が親彦に抱いている親愛の情は時が進むにつれて明かされてきたもので、原作で最も印象的なふたりのやりとりといえば、試合中取り乱した親彦の髪を忍が掴み「黙れ」と一喝する場面でした。
(当初忍の「いま欲しいもの」は「親彦へのプレゼント」ではなく「鍋」でした。)

2009年に連載を開始した新テニの中でも初期の頃(コミックス4巻)に登場したこのふたりの設定が、当初どれほど意図されたものだったのかはわかりません。
忍の誕生日がアメリカのLGBTsの差別抵抗運動の発端となった「ストーンウォールの反乱」事件が起こった日、親彦の誕生日が「国際トランスジェンダー認知の日」であることを考えると、10.5巻で誕生日が明かされたときにはすでにふたりが、(女性的な振る舞いをする親彦だけでなく男性的な外見と口調の忍も)性的マイノリティであることは定められていたのかもしれませんが……。

じゃあ、原作では描かれなかったふたりの関係は、新テニミュではどう描かれていたのでしょうか。

それはできればあなたの目で確かめてください。

ただ、これだけは言えます。新テニミュは裏切りません

2018年にこのふたりを知ってカップルである可能性に想いを巡らせていた(当時pixivの小説検索結果4件)ぼくが期待していたのよりずっとずっと、都忍と松平親彦の関係は幸福で親密なものでした。

そしてふたりの関係を揶揄する人間も、あの世界には存在しません。

今までに見たどんな現実よりも幸福なエンターテイメントだった、とぼくは思っています。

2020年に新テニミュがあってよかった

東京公演を見たときは、そう思う一方で、実は物足りなさも感じていました。
テニミュにおいては、カーテンコール曲というものがあります。一度幕が降り、再度開いたときにキャスト全員で歌われるものです。

主に青学の代替わりとともに変わってきたカーテンコール曲の歌詞は、「ここは俺の原点 全ての始まりさ(F・G・K・S)」「だって俺もお前もテニスの虜(WE ARE ALWAYS TOGETHER)」「試合が終わった後も人生は続いていくよ(頑張れ 負けるな 必ず勝て)」などキャラクターとテニスの関係性を歌い上げるものでありながら、ときにキャストとテニミュの関係、おたくとテニプリというコンテンツの関係性にもなぞらえることができるものでした。

原作やミュージカルだけでなくアニメ、ラジオ、ゲーム……膨大なメディアミックスのある「テニスの王子様」という長寿コンテンツを追ってきたおたくにとっても「テニス(の王子様)」は原点であり、おたくは「テニス(の王子様)」の虜であり、コンテンツを追いながら公演が終わった後も日常を暮らしていかなければなりません。

さらにコールアンドレスポンスやキャストが客席に降りてファンに手を振ったりハイタッチしたりする客降りタイムがあり、本編とは別次元ながらテニミュの重要な要素となっていました。

しかし新テニミュには、カーテンコール曲はありませんでした。

確かに客降りやコーレスはできない時世ではあります。
幕が降りる前に歴代カテコ曲を思わせる歌詞の曲もありました。(後述)
ただし中学生だけの歌唱で、全キャスト揃っての曲ではありません。

もう一度幕が上がって弾ける笑顔のキャラクターたちがラケットを置き観客にも真似できるような単純な振り付けのダンスを踊っている姿が見たかった、という気持ちはありました。

そして2021年2月。1月中にカンパニーに新型コロナウイルスの感染者が出たために上演が危ぶまれていた凱旋公演が、全関係者のPCR検査陰性を受け行われることになりました。

新テニミュは裏切りません。いや、想像を超えてきました。
凱旋公演で新たな楽曲が追加されたのです。

テニミュのカーテンコール曲で歌われていたのは先述のとおり、キャラクターたちとテニスの関係性です。

しかし凱旋公演で追加された楽曲は、カーテンコール曲ではなく「サービスナンバー」でした。

例になく公演中にタイトルが明かされた「ディスタンス」というこの曲は、いうまでもなくコロナ禍の今に合わせて書き下ろされたものです。

「今は離れているけれど 心のなかでハグしよう」という歌詞は、テニミュのカーテンコールではきっと生まれ得なかった。

これまでになく苦難の多かった2020年を乗り越えて、その先にいくために、新テニミュがおたくに贈ってくれた最高の曲です。
2020年、楽しみにしていたものが中止になった人、コロナ禍で何かを諦めた人、現代に生きる全ての人にこの曲を聞いてほしい

お願いだから、新テニミュを見てくれ。後生だから新テニミュを見てくれ。
これが2021年の最高のエンターテイメントです。

そして何よりも、ミュージカルテニスの王子様シリーズはまだまだ続きます。この先ももっと良いエンターテイメントが見られると信じられるのです。これから先もたくさんのキャラクターたちがコートに立ち、素晴らしい世界を見せてくれるでしょう。

現在ニコニコ動画で配信中の凱旋公演大千秋楽の購入期限は2月28日23:59です

最後に、テニミュカテコ曲イズムを強く強く感じる、今回の公演でぼくがいちばん好きな歌詞を引用(耳コピ)して終わりたいと思います。

俺たちテニスの子 生まれるべくして生まれた
俺がテニスを選んだのか テニスが俺を選んだのか

とにかくテニスが俺を形作っている

今なら、テニミュ4thシーズンを最初から追いかけることもできます。
あなたも、テニスの子になりませんか?


新テニミュに登場する中学生10人の関係性を説明するキャラクターガイドも書きました。

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