マガジンのカバー画像

hold

6
運営しているクリエイター

記事一覧

流した男と、聴いた女と、繋いだ男の邂逅〜なぜ、槇原敬之が聴こえたのか〜

流した男と、聴いた女と、繋いだ男の邂逅〜なぜ、槇原敬之が聴こえたのか〜

新幹線のぞみ64号の4号車で槇原敬之を聴いてから、5日間が経った。

この話には、新幹線で槇原敬之を聴いた女・岸田と、新幹線で槇原敬之を流した男・泉山と、偶然流れてきたツイッターのタイムラインで二人を見つけて繋いだ男・岡田(岸田の相互フォロワーで、泉山と同じ会社の先輩)が登場する。

もう二度と会えないであろう奇跡の共演にセンチメンタルを感じていたら、普通に連絡が取れたので、普通に会ってみた。

もっとみる
母いわく、前世はハワイの原住民

母いわく、前世はハワイの原住民

28歳にして、はじめてハワイへ降り立った。

数年前仕事でハワイに行ったと言う(言ってみてーわ)母が「ハワイはいい」「ハワイはいいぞ」「ハワイの空気を吸うだけで元気になる」「私の前世は、ハワイの原住民だったはず」というような供述を繰り返すので、ノイローゼになる前に、2年かけてキッチリお金を貯めて、やってきた。

弟にも「行くか?」と声をかけたら、「ええわ」と言われたので、今回は母娘のふたり旅である

もっとみる
10年勤めたミライロを辞めて、岸田奈美になります

10年勤めたミライロを辞めて、岸田奈美になります

会社を辞めて、書くことを仕事にします。

「大丈夫なのか!?」って思いますよね。私も思ってます。大丈夫なんでしょうか。わかんねえ。

ちょっと、これ読んでる皆さんに頼りたいこともあります。

ということで、すこし長くなりますが、今までとこれからのことをつらつら書きます。

溺れる私は、ミライロを掴んだ株式会社ミライロに創業メンバーとして加入したのは、2010年の春、私が大学1年生になったばかりのこ

もっとみる
冬がはじまるよ〜Google Homeで、槇原敬之が聴こえたら〜

冬がはじまるよ〜Google Homeで、槇原敬之が聴こえたら〜

疲れていた。

泥のように疲れていた。

腰のあたりがじんじんと痛む。鐘をつくみたいな一定のリズムで、痛みの波が押しては返す。痛え。腰が痛え。痛すぎるだろ。

季節の変わり目はいつもこうだ。気温が大きく変化すると、決まったように腰が鈍い唸り声をあげる。身体の芯から鳴り響くそれは、ときおり神経を直接引っかくみたいな鋭い苦痛を伴いながら、淡い痺れとなってゆっくりと全身へと伝っていく。この世のものとは思

もっとみる
弟が万引きを疑われ、そして母は赤べこになった

弟が万引きを疑われ、そして母は赤べこになった

高校から帰ったら、母が大騒ぎしていた。
なんだなんだ、一体どうした。

「良太が万引きしたかも」

良太とは、私の3歳下の弟だ。

生まれつき、ダウン症という病気で、知的障害がある。
大人になった今も、良太の知能レベルは2歳児と同じだ。

ヒトの細胞の染色体が一本多いと、ダウン症になるらしい。
一本得してるはずなのに、不思議ね。

「良太が万引き?あるわけないやろ」

ヒヤリハットを、そういう帽子

もっとみる
鯨の椅子では海を渡れないから気をつけろ

鯨の椅子では海を渡れないから気をつけろ

藪から棒に申し訳ないが。(高校生の頃まで、藪から棒とはぶっきらぼうの相方だと思っていた)

ちょっと、思い出してみて。

「天空の城ラピュタ」の冒頭で、パズーがラッパを吹いている。名シーンだ。パパーパパパーパパーパパーパー♪というメロディとともに、バサバサと飛び去っていく大量の鳩を。

観たことないって人は、はごろもフーズ「シャキッとコーン」のCMでも良い。コーンに生まれた〜この気持ち〜♪と歌い上

もっとみる