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副業の労働時間問題

副業を始め多様な働き方が尊重される時代が到来しています。そこで副業を容認する場合の労務管理について、3つの着眼点を検証します。原則の考え方は、労働時間は異なる事業場間でも通算して考えます。

そして、法定労働時間(原則は1日8時間・週40時間)を超えた場合は後から契約した事業所が割増賃金を支払うこととなります。

その中で、例外的なパターンを考えていきます。

新卒で入社する前から塾講師のアルバイトを継続していた

時系列を整理すると先に契約していた塾講師のアルバイトと、新卒で入社した企業では、後者が後から契約となってしましまいます。よって、契約の前後関係のみに着目すると異論を挟む余地がありません。

新卒採用者や入社した企業の担当者の意思に反するという意見はあろうかと考えますが、原則に立ち返ると新卒入社企業が割増賃金の支払いが必要という考えとなります。

このリスクをヘッジするには、入社時に副業の有無を確認することが肝要と言えます。


パート×パートで契約の更新のタイミング

例えばA事業所とB事業所でいずれもパートとして勤務する場合を想定しましょう。その場合、有期契約であることが多いでしょう。当然、年や繁忙度によって契約の更新の時期は毎年全く同じ日に行うことは難しいでしょう。

その場合、実質的に継続勤務であれば当初の契約締結時期を基準に先契約か後契約かを判断すべきとの意見もあろうかと考えます。しかし、そのような場合と同視できないケースや「形式的」に判断すると変動し得るということです。

リスクヘッジ策としては、面談で各々の労働者の副業の動向を確認しておくことが法違反回避の為にも適切でしょう。

先契約事業所の所定労働時間が変更

例えばA事業所が5時間勤務で契約し、B事業所が3時間勤務で契約したとします。A事業所はB事業所で3時間勤務を知っていて5時間勤務を6時間勤務に変更した場合、8時間を超える「1時間分」はどうなるのでしょうか?この場合は、A事業所が1時間分の割増賃金の支払い義務を負うと考えます。

リスクヘッジ策としては、副業の有無と時間数を確認するなどで、リスク管理すべきでしょう。

最後に

労働者が申告しなかったがために割増賃金を支払えなかった場合の責任問題も気になる部分です。

この場合、少なくとも支払い義務がある企業が「故意」に支払わなかったとは言えませんので、当然刑事責任は問えません。そして、民事上の責任も知る由がなかった場合(知らないふりをした場合を除く)は責任を問えないと考えます。

また、就業規則で副業禁止を明記していた場合は、していない企業と比べて一定の考慮はなされるのでしょう(だからと言って全く確認しなくてもよい権利があるとはまで言えません)。

代表例として、健康確保問題(明らかに疲れている)があります。就業規則の明記があるからと言って、全く確認しなかった場合は、そもそも違う意味で問題になると言えます。

逆に労働者も就業規則を見て、服務規律違反とならぬよう注意することも大切です。




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