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【マイクラ】マイクラと僕と娘と息子

僕がマイクラで住んでいる世界の名前は「わたし、おとうと、パパワールド」だ。

ここでの司令塔は9歳の娘だ。娘の指示に従ってパパは木を切ったり、鉱山でダイヤを探して掘りまくったりしている。

ダイヤを見つけてもパパには掘らせてもらう権限はない。必ず娘が直々にダイヤを掘りにくる。手柄を横取りする上司のようだ。

ある時、司令塔の娘の指示で「村を探す」役目を仰せつかった。

運が悪いことにこのワールドでは近隣に村がなかった。かなりの遠出で探さなければならなくなりそうだ。

パパは装備一式を揃えて村を探しに向かったが全然見つからない。座標にして1000を超えたところで事件が起こった。

不注意により高いところから落ちてパパは死んでしまったのだ。ベッドも壊してしまっていたので復活場所から取り戻しにいくには絶望的な距離。

貴重な鉄装備一式とダイヤのつるはしをなくしてしまった。

そのときの娘の剣幕といったらなかった。

「パパの役立たず!」

これには普段温厚な部下であるパパも怒った。誰のために村を探しているというのか。

「そんなこと言うならパパも一緒にマイクラやらないもんねー」
「もう知らない!」

売り言葉に買い言葉で娘とパパはマイクラをやめた。マイペースで自分の家を作っていた弟はとばっちりでワールドを閉じられて寂しそうだった。

ケンカしたまま1週間が過ぎ、2週間が経ったころ、別の遊びをしていた娘が、なんの気無しに言った。

「パパ、マイクラやろっか。畑をもっと増やしたいんだよね」

パパも何食わぬ顔で応じる

「いいよ」

この前の謝罪のことばもなし、村の話もなし。

何事もなかったかのように僕らはまたマイクラを再開した。無邪気な弟はまた家作りの続きができて嬉しそうだった。

ただ、鬼の司令官であった娘は部下のパパに対して気持ち優しくなっていた。ほんの少しだけ。

ダイヤは相変わらず掘らせてくれないけどね。

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