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【EDH】放浪の吟遊詩人、イーサーン

note にデッキリストを埋め込めるようになった記念に、普段 cEDH で使用しているイーサーンについて記事を書いてみます。
特に大きな結果や高い勝率を残しているわけではないので、個人の備忘録程度にとらえてもらえると。

デッキリストは以下のとおり。

イーサーンとは?

Yisan, the Wanderer Bard / 放浪の吟遊詩人、イーサーン (2)(緑)
伝説のクリーチャー — 人間(Human) ならず者(Rogue) バード(Bard)
(2)(緑),(T),放浪の吟遊詩人、イーサーンの上に詩句(verse)カウンターを1個置く:あなたのライブラリーから、放浪の吟遊詩人、イーサーンの上に置かれている詩句カウンターの総数に等しいマナ総量を持つクリーチャー・カード1枚を探し、それを戦場に出す。その後、ライブラリーを切り直す。
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WisdomGuild より引用

3 マナ + タップで、それまでの起動回数に応じたマナ総量のクリーチャーをサーチして戦場に出す伝説のクリーチャーです。
戦況に応じたクリーチャーをサーチしつつ、《野生の魂、アシャヤ/Ashaya, Soul of the Wild》を中心としたコンボを揃えるのが基本的な動きとなります。

長所

能力の起動を繰り返すだけでコンボがそろう 0 枚コンボであることが最大の長所です。
統率者 1 枚だけで勝ちにいけることの有用性は《厚顔の無法者、マグダ/Magda, Brazen Outlaw》や《山賊の頭、伍堂/Godo, Bandit Warlord》が証明しています。

《野生の魂、アシャヤ/Ashaya, Soul of the Wild》の登場によってコンボに必要なカードの枚数が抑えられるようになり、それ以外のマナ域でのサーチに柔軟性が生まれました。
戦況に応じて妨害をサーチするも良し、マナ加速やアンタッパーをサーチしてコンボ成立を加速するも良しという柔軟性の高さも魅力です。

またアーティファクトの起動型能力への依存度が低く《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》を強く使える点、呪文を唱える必要がないため《エメリアのアルコン/Archon of Emeria》といったヘイトベアー耐性や打消し耐性が高いことも cEDH においては強みとなります。

短所

とにかく遅いです。
クリーチャーの起動型能力を中心に展開する都合上、キルターンは 5 ターン目以降となります。

また《敵対工作員/Opposition Agent》などのサーチ妨害、《呪われたトーテム像/Cursed Totem》などの起動型能力の妨害、全体除去も苦手としています。

遅さに関してはスタックス戦術による卓全体の低速化、妨害に関しては各種除去でそれぞれ対処していくことになります。
全体除去は基本的には諦めましょう。他のプレイヤーに目が向くように立ち回っていても撃たれるときは撃たれますし、対策カードは基本的に重くて扱いづらいです。

デッキ構築の方針

大まかに以下の 3 点を重視して、なるべくタフに立ち回ることのできる構築を意識しています。

  • 妨害の刺さりにくい勝ち筋

  • 状況を選ぶカードの不採用

  • 手札に期待しない

妨害の刺さりにくい勝ち筋

このリストで一番の特徴は《クローサの拳カマール/Kamahl, Fist of Krosa》の採用でしょう。
最も基本的な無限マナコンボである《野生の魂、アシャヤ/Ashaya, Soul of the Wild》+《アルゴスの古老/Argothian Elder》の後、呪文を 1 枚も唱えずに勝利することができます。
戦闘をはさむ必要は出ますが、cEDH においては戦闘をとがめるカードがあまり採用されないため、大きなデメリットにはなりません。

これによってフィニッシュ時の《エメリアのアルコン/Archon of Emeria》や打消しへの耐性をさらに高めつつ、自ら《倦怠の宝珠/Torpor Orb》を採用することも可能にしています。

緑は《倦怠の宝珠/Torpor Orb》を置かれることを嫌うイメージがありますが、デッキ内の CIP 持ちクリーチャーは 7 枚とそれほど多くありません。
《タッサの神託者/Thassa's Oracle》や《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》といった cEDH を象徴するクリーチャー群や、苦手とする《軍団のまとめ役、ウィノータ/Winota, Joiner of Forces》のことを考えると十分に無視できるデメリットです。

状況を選ぶカードの不採用

非常に採用率の高い《孔蹄のビヒモス/Craterhoof Behemoth》を不採用にしています。
打点は魅力的なんですが、全員を倒すには 10 体程度、1 人だけ倒すにも 6 体程度のクリーチャーが必要になります。それだけのクリーチャーが並んでいるにも関わらず勝てていないという状況は限定的ですし、それ以外の場面では不要牌になるというのが主な理由です。

《威圧の杖/Staff of Domination》や《暗黒のマントル/Umbral Mantle》を採用していないのも近い理由からで、《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》や《無のロッド/Null Rod》が邪魔になります。
《ジアーダの贈り物、ラクシオール/Luxior, Giada's Gift》はお試し枠。軽い上に《ウルザの物語/Urza's Saga》からアクセスできるので例外的に。

手札に期待しない

緑には《威厳の魔力/Regal Force》のような大量ドローや《森の知恵/Sylvan Library》のような優良ドローソースが存在するものの、他の色と比べるとやや劣ります。また《アルゴスの古老/Argothian Elder》などは手札にこない方が嬉しいです。
それならば手札によらず勝てる構築を意識した方がイーサーンの強みを生かせるだろうという考えです。

また手札にきてほしくないカードがあるため、《ミリーの悪知恵/Mirri's Guile》は採用しています。イーサーンによってシャッフルできるので《森の知恵/Sylvan Library》である必要も薄いです。

コンボ

イーサーンのコンボについて

  • 無限マナ生成

  • フィニッシュ

の 2 パートに分けて解説します。

無限マナ生成

《野生の魂、アシャヤ/Ashaya, Soul of the Wild》+ nマナのレインジャー + n+1マナ以上出せるクリーチャー

アシャヤによって森となったレインジャー自身をコストにしてマナクリーチャーをアンタップ。
マナクリーチャーからのマナでレインジャーを出しなおすことで無限マナを出します。

この時除去が飛んでくると止まるため、瞬速で出しなおせる《スクリブのレインジャー/Scryb Ranger》の方が安定性が高いです。

《野生の魂、アシャヤ/Ashaya, Soul of the Wild》+ 《アルゴスの古老/Argothian Elder》or(《燭台の大魔術師/Magus of the Candelabra》+ 3マナ以上出るクリーチャーか土地)or(《希望守り/Hope Tender》+ 2マナ以上出るクリーチャーか土地)

アシャヤによって森となった土地アンタッパーで、自身を含む土地2枚を案タップすることを繰り返して無限マナを出します。
成立条件の緩さ、1~3マナ域のサーチ自由度の高さなどから《アルゴスの古老/Argothian Elder》を使うことが多いです。

呪文をキャストする必要がないため、レインジャーを使うものよりも優先度は高めです。
特に《アルゴスの古老/Argothian Elder》は他の前提条件が不要なため最優先。

《ハイラックス塔の斥候/Hyrax Tower Scout》+(《ティムールの剣歯虎/Temur Sabertooth》or《巨大猿、コグラ/Kogla, the Titan Ape》)+ 6マナ以上出るクリーチャー

《ハイラックス塔の斥候/Hyrax Tower Scout》でマナクリーチャーをアンタップし、《ティムールの剣歯虎/Temur Sabertooth》で手札に戻し、もう一度唱えることを繰り返すことで無限マナを出します。

前提条件がキツめのためあまり積極的には目指しません。盤面に《夢の円環のドルイド/Circle of Dreams Druid》などがいる場合に。

《献身のドルイド/Devoted Druid》+《ジアーダの贈り物、ラクシオール/Luxior, Giada's Gift》

お試し枠です。
イーサーンから出した場合、フィニッシュ手段にアクセスするには詩句カウンターが足りません。《ハイラックス塔の斥候/Hyrax Tower Scout》と《ティムールの剣歯虎/Temur Sabertooth》をサーチすることで無限アンタップも可能になります。

フィニッシュ

《クローサの拳カマール/Kamahl, Fist of Krosa》

無限マナで《踏み荒らし/Overrun》能力を無限に起動して戦闘で勝ちます。
召喚酔いしていないクリーチャーが3体以下ということはまずありませんし、自身の能力で土地をクリーチャー化できるためまず足りなくなることはないでしょう。

《難題の予見者/Thought-Knot Seer》

《難題の予見者/Thought-Knot Seer》を無限に出し入れすることで、全対戦相手をライブラリーアウトさせます。
引かれたカードを利用されることを避けるために《出現領域/Emergence Zone》を先に起動して、能力の解決前に大量にスタックに乗せてしまうのがオススメです。

《内にいる獣/Beast Within》

《永遠の証人/Eternal Witness》を無限に出し入れすることで《内にいる獣/Beast Within》を使いまわし、対戦相手の全パーマネントを破壊します。
破壊した後は《巨大猿、コグラ/Kogla, the Titan Ape》を出し入れしてビーストを破壊しておきましょう。
ターンを返すことになりますが、パーマネントを0にできれば概ね勝ちです。

プレイの方針

マリガン基準

1 ターン目にスタックスを設置しつつ、2 ターン目までにイーサーンを着地させるのが序盤の理想の動きです。それが可能なハンドは問答無用でキープしましょう。

卓のスピード感によってはスタックスを諦めても良いですし、逆にイーサーンの着地を遅らせてでもスタックスを優先することもあります。ここはある程度プレイして勘所を身につけるしかありませんが、正直自分も自信がない部分です。

マナアーティファクトをキープする場合は、その他のマナ加速の有無にも注意しましょう。
2 回目のサーチで《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》を出すことが多いため。

イーサーン起動

各マナ域におけるサーチについて解説しますが、その前に
イーサーンに詩句カウンターを置くのはコストである
という前提について。

イーサーンは起動コストとしてカウンターを置き、解決時にカウンターの個数を数えます。そのため

  • 詩句カウンター 2 のイーサーンを起動

  • 解決前にイーサーンをアンタップ

  • もう一度イーサーンを起動

  • 2 回の起動を解決

という手順を踏むことで 4 マナのクリーチャーを 2 枚サーチすることができます。
実のところあまり使う場面は多くないのですが、これを意識するとしないとで動きの柔軟性に大きな差が生まれます。

1 マナ域

ほとんどの場合は《森を護る者/Sylvan Safekeeper》をサーチします。
イーサーン自体や、後続の《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》には親の仇のように除去が飛んでくるため。

速度重視の展開をする場合には《クウィリーオン・レインジャー/Quirion Ranger》をサーチすることもあります。初手や盤面と相談しましょう。

2 マナ域

ほとんどの場合は《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》をサーチします。《ジアーダの贈り物、ラクシオール/Luxior, Giada's Gift》があるなら《献身のドルイド/Devoted Druid》。

その他は状況次第ですが《辺境地の罠外し/Outland Liberator》は帰化を構えつつ、変身すればプチ《巨大猿、コグラ/Kogla, the Titan Ape》として盤面に干渉できて汎用性高めです。

3 マナ域

この辺りからどのコンボを目指すのかを意識したサーチの重要性が増します。

マナが一番汎用性が高いため《夢の円環のドルイド/Circle of Dreams Druid》をサーチすることが多いような気はします。

《落葉の道三/Dosan the Falling Leaf》を上家のエンド時にサーチする動きは慎重に行いましょう。
上家がインスタントタイミングでコンボを決められる場合はただのサポートになります。何かの間違いで自分のターンに勝てなかった場合も下家に塩を送ることになります。

4 マナ域

最も優先度の高いコンボパーツである《アルゴスの古老/Argothian Elder》が基準になりますが、盤面によるブレが一番大きいマナ域です。
ざっくりと以下のような感じに。

  • 《ティムールの剣歯虎/Temur Sabertooth》は《ハイラックス塔の斥候/Hyrax Tower Scout》を絡めたコンボの場合に

  • 《自然の伝令、イェヴァ/Yeva, Nature's Herald》は手札にコンボパーツがある場合などに

  • 《難題の予見者/Thought-Knot Seer》はコンボ妨害や前方確認に

5 マナ域

《野生の魂、アシャヤ/Ashaya, Soul of the Wild》しかサーチしません。
7 マナ以降のクリーチャーを採用していないため、《種子生まれの詩神/Seedborn Muse》は素出し専用です。

6 マナ域

コンボに必要なカードをサーチしましょう。最優先は妨害に強い《クローサの拳カマール/Kamahl, Fist of Krosa》。

《巨大猿、コグラ/Kogla, the Titan Ape》はコンボパーツにはなりにくいため、サーチすることは少ないです。

マッチアップ

TurboNaus

スタックスを先置きできるかどうかの勝負です。

TurboNaus の下家 & 卓内に複数人の青がいるような場合は丸投げしてしまうという選択肢も。それができないなら必死にマリガンしましょう。

Stax

お互いにスタックスが刺さりにくいため、勝ち筋が安定しているこちらが有利という印象です。

数少ない例外は《軍団のまとめ役、ウィノータ/Winota, Joiner of Forces》。
スタックス戦略が通用しないこちらを優先的に殴ってくる上に打点が高いため、速度負けしがち。

Midrange

打消し耐性の高さから、かなり伸び伸びと立ち回れます。有利かどうかは卓次第。

悠長にしていると全体除去が飛んでくるため、隙を見てコンボを決めてしまいたいところ。

おわりに

実はイーサーンは M15 が発売した 2014 年から数年間使いこんでいたデッキだったんですが、久しぶりに組もうとしてみたらガラッと構築が変わっていて驚きました。
当時はハルクフラッシュも寿司もない牧歌的な環境で、普通に速度勝負ができてたので……

令和のイーサーンがある程度手になじんできたところだったので、こうして言語化する機会を設けることができて良かったです。

おまけ

2015 年 2 月ごろのリストが発掘できたので掲載しておきます。

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