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二十四節気の養生法【2021大雪】

  いよいよ12月になり、今年も残り1か月弱となりました。 12月7日から12月21日(冬至の前日)までの2週間が「大雪」です。
 暦便覧には「雪いよいよ降り重ねる折からなれば也」とあります。
 今年は秋が短く、冬支度をするまでに本格的な冬が来た感じです。
 日本の冬は、特に寒邪に湿邪を伴った「陰冷」に気をつける必要がありますね。この季節は早く眠り、ゆっくり起きる「早寝遅起」がおすすめ。この時期は夜更かしや睡眠不足は絶対に避け、しっかりと陰気を養うためにも常にゆっくり休むよう心がけましょう。

 寒い季節になりしっかり「補う」ことが大切になってきますね。しかし、中医養生学から見ると「補う」というのは、栄養価の高い食べ物を食べたり、強壮剤や栄養ドリンクを飲んだりして単に栄養補給するという意味ではありません。
 養生とは「生を養う」という字の通り、精神を養い、適切な飲食をし、身体を鍛え、房事を慎み、気候に合わた生活をして心身を丈夫に保ち、健康で長生きすることをすることです。 
 何ごとも「過ぎたるは及ばざるがごとし」と言うように、「適度」が大切です。多すぎも良くないし、足らないのも良くない、ちょうど良い加減ということです。
 よく講座などで「先生、私はこんな健康食品を飲んでいるのですが、他に何を摂ればよいですか?」とか「毎日青汁を飲んでいるのですが、他に何を飲めばいいですか?」というような質問をされます。
 私は「まだ何か飲みたいのですか?」という言葉を飲み込み(笑)、「どこかしんどいところはありますか?」とお聞きし、さらに「最近なにか特に意識して飲んだり食べたりしていることはありますか?」とお尋ねします。
すると「最近毎日水をよく飲むようにしています」とか、「フルーツを食べるようにしています」、「スムージーを飲んでいます」、「毎朝ヨーグルトを食べています」などのお返事があるのですが、「なぜ、そうしているのですか?」と尋ねると、「テレビで体にいいと言ってたから」とか「なんとなく…。」という答えが多いです。
医師の指導でとか、目的があってとかなら仕方ないかもしれませんが、「調子が悪いと感じるなら、それをちょっとやめてみたらどうでしょう」とお答えすることがあります。「養う」「補う」というと取り入れることだと思っている人も多いですが、体調が悪いと感じる時は、今よく食べているものをやめる方が早く改善することが意外とよくあります。
 「病はどこから来るのか?」の項でもお伝えしましたが、病気の原因は「気滞」という気の巡りが悪い体質や、「血瘀」という血流の悪い体質、「湿痰」という水の巡りが悪い体質に傾いていることが多いです。
 気血水の巡りが悪く、どこかで詰まり流れが悪くなり、詰まりより上流では渋滞が起こって余っているのに、下流では足りない状態です。この場合は「」と言って詰まりを取り除くことで、流れが順調に戻ります。中医学では巡りが悪くなって気血水のエネルギーが詰まっている状態を「実証」と言い、この状態の治療法を「実者瀉之」と言います。中医の治療では、漢方薬や鍼灸、推拿を使ってこの詰まりを取り除きます。
 逆に、ちょっと動いただけで疲れるとか、寒いのは苦手だとか貧血気味だと言いながら、この時期に野菜サラダとミネラルウォーターだけで済まし、脂肪の多い物、甘い物、濃い物、脂っこい物を徹底的に避ける女子も見かけますが、過度の節食は健康を損なうだけでなく天寿を全うすることさえできなくなります。中医学で考える食生活の不摂生とは「過食」「少食」「偏食」です。
 冬にカラダを養う養生法を「冬令進補」と言いますが、冬にしっかりカラダを養ってバランスを調えて陰平陽秘を保ち、次の春に備えたカラダづくりをします。「薬補不如食補」(薬で補うことは、食べ物で補うことには及ばない)と言い、薬よりも穏やかに作用する毎日の食べ物で補うことが大切です。気血水という生命エネルギーが足りていない状態を「虚証」と言い、足りない気血水を補うことは「虚者補之」と言います。
足らない気血を補い、あるいは渋滞した気血水の流れを良くするために詰まりを瀉(とりのぞく)することが大切です。
 カラダが発する声を聴き、今の自分のカラダの状態をしっかり把握して、足りないものを補い、余っているものを取り除いて心身を正常な状態にすることが「養生」なのです。
 「敵を知り己を知れば百戦危うからず」というように、まず今の自分のカラダはどのような体質「」なのかを知ることが大切です。自分の体質も知らず健康に良いからといろんなものを摂り過ぎるとかえって体調を壊すことにもなります。その体質の傾向がカラダがそちら側に傾いていってるということで、それを「未病」と言います。病院で検査をしてもまだ適正範囲なので「しばらく様子を見ましょう」と言われますが、そのまま放置したり、今の食生活や生活習慣を続けていると、次の検査では適正範囲を超えています。適正範囲を超えた時点で病名がつき薬を処方されます。もちろん体調は前回よりさらに悪化し、仕事や学校を休んだり家事も出来なくなるなど、日常生活を送るのも大変になってきます。そうならないために、どんどん傾いている体質を陰平陽秘に戻す「」や「」を行ってしっかりカラダを養いましょう。

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 京都伝統中医学研究所(中医推拿 楽楽堂)のホームページに、中医学的な体質診断表を掲載しています。ぜひ一度、下のバナー画像をクリックして体質チェックのページに入り、下にスクロールして[→ 体質診断チェック ここをクリック]をクリックして体質診断表でチェックしてみてください。
 各質問を読み、たまにでも今現在あると思うものにはチェックをつけます。一番チェックが多い物から3~4番目ぐらいまでが今の貴女の体質です。そちらに傾いている「未病」状態です。このままの生活を続けているとやがて本当にバッタリ倒れますよ!
  診断チェックは、全部ゼロが良いということではなく、逆に全部チェックがつくということも生身のカラダとしてはなかなかあり得ません。自分が今どちらの方へ傾ているのかを知るための目安とするものです。
 中医学では、カラダの中から出てくるものは、「カラダからのお便り」と考えます。舌や顔色、目、耳、鼻、皮膚の状態や弾力、髪の色つや、爪などの状態やおしっこやウンチ、月経血、鼻水、ヨダレ、目ヤニ、口臭、体臭などはカラダから出てくるものはすべてカラダの状態を現しています。
カラダからのお便り見たり聞いたりして、今の傾いている未病を立て直すための食べ物や生活習慣を取り入れて養生してください。

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次回は、この体質診断にある、それぞれの体質「」についての特徴や改善策などをお伝えします。

京都伝統中医学研究所の"大雪におすすめの薬膳茶&薬膳食材"

1.「温陽補腎」の薬膳茶&食材  
温陽を補い気血を巡らせるオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
 薬膳茶では、「からだを温める黒のお茶」、「なつめと生姜のチャイ」、「黒薔薇茶」、「肝腎かなめ茶」、「気血巡茶」など
 薬膳食材では、「新彊なつめ」、「枸杞の実」、「竜眼」、「蓮の実」、「松の実」、「マイカイ花」、「桂花」、「茉莉花」、「紅花」など 
 薬膳鍋セット「薬膳火鍋」、「手足冰凍改善鍋」、「冬の美肌薬膳鍋」、「四物鍋」は、薬膳食材もセットになってオススメ。
腎を補い働きを高めるオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
 薬膳茶では、「肝腎かなめ茶」、「なつめ薬膳茶」、「なつめ竜眼茶」、「からだを温める黒のお茶」など
 薬膳食材では、「黒きくらげ」、「新彊なつめ」、「枸杞の実」、「竜眼」、「金針菜」、「紅花」、「マイカイ花」など

2.感染症予防にビタミンDが効果的…「黒きくらげ」がオススメ 
 最近の研究で、感染症の血中ビタミンD濃度が著しく低いことが研究の結果証明されたそうです。WHO(世界保健機関)でも、上気道炎の予防にビタミンD摂取を推奨していますが、ビタミンDには免疫作用があり感染症に効果的だということが研究で確認されています。
 薬膳でも「黒きくらげ」は、免疫力を高め、血を浄化する働きがあるとされていますが、黒きくらげにはビタミンDが豊富に含まれており、日本食品標準成分表(文科省)によると乾物キクラゲ100g当たり128.5マイクログラムで食品の中ではトップクラスです。黒きくらげは、苦みや臭みなどがなく、どんな料理にも使える常備菜ですが、これからの季節はさっと洗っていつものお鍋に投入するだけで薬膳鍋に早変わり。子どもたちやお父さんが感染症に感染しないよう、これからしばらく黒きくらげを使ったお料理を増やしましょう。
 オススメは、黒きくらげの佃煮! 作り置きも出来て酒の肴にもご飯のおかずにも最高です。
『絶品 黒きくらげとクルミの佃煮』 これほんとに絶品です☆ お粥のトッピングや箸休めにも! [作り方レシピは下に記載]

3.漢方入浴剤 ヨモギがたっぷり入った「ポカポカあたため乃湯」もこの季節の養生にオススメ。

中医学や漢方の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。

『絶品 黒きくらげとクルミの佃煮』

レシピです。

黒きくらげ
五性:平 五味:甘 帰経:胃、大腸、肝、腎 分類:止血

こんな体質におすすめ:気滞、血虚、血瘀、陰虚
中医学的効能:活血・涼血・止血、毒熱邪気の化膿性疾患、潤肺益胃、利腸、眩暈、肥満、便秘。
食品が持つ主な作用:免疫力アップ、抗菌作用、動脈硬化など生活習慣病予防、傷口の回復、貧血をはじめ婦人科疾患、痔など。

 ブナやカエデなどの広葉樹の枯れ木に生えるキノコで、形が耳に似ていることから黒木耳という漢字が使われています。
また食感がクラゲに似ていることから木クラゲと呼ばれるようになったそうです。

血管を柔らかくし、浄血作用で生活習慣病予防
 中医学では、病名ではなく今現在の体の体質を「証」と言います。
よくある「証」の一つに「肝陽上亢」(かんようじょうこう)と言う「証」があります。
女性によく起こる「証」の一つですが、職場や家事・育児、人間関係などストレスやイライラ、怒りなどの感情が長く続くことによって、肝の疏泄機能(のびのびと気血を全身に送る働き)が低下し、気血の巡りが悪くなり(気滞血瘀)、しだいに熱がこもってきて(陰虚と言って熱はないがのぼせやほてりを感じる)、やがて体内の陽気が首や肩から上の上半身に昇ってきて肩こりや首の張り、眼の充血、めまい、不眠、多夢、自律神経失調などの症状が現れている状態です。

 黒きくらげは、血中の余分な熱(血熱)を鎮め、浄化し、血の滞りを改善するので「肝陽上亢」や「気滞」「血瘀」、「陰虚」などの体質の人に特にオススメです。また、血便や痔などの出血性疾患や、血を補う効果もあるので、貧血の人にもオススメです。さらに黒きくらげには、カルシウムやビタミンDが豊富に含まれています。

 黒きくらげは、漢方独特の苦みや臭みなどがなく、どんな料理にも使える常備菜で、中国や台湾では、「西紅柿炒鶏蛋」(黒きくらげとトマトの卵炒め)はお母さんがおかずに困ったときに、素早くできる一品として最もポピュラーな家庭料理です。
 野菜炒めや焼きそば以外にも、そのままお鍋やおうどんに入れたり、細かく刻んでカレーに入れたりハンバーグや餃子の種に練りこんだり本当にどんな料理にも使えます。
子どもたちやお父さんが感染症に感染しないよう、これからは黒きくらげを使ったお料理を増やしましょう。 

私のオススメは、
『絶品 黒きくらげとクルミの佃煮』

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黒きくらげ って 八宝菜の中に
ちょこっとだけ 入ってて
存在感なし
それだけに たくさん あっても
なんだか 黒くて 見た目も悪くなるので 使いつらい

中医学では
黒=腎
腎=アンチエイジング
と 考えます。
黒い食材を摂ることは
老化を防ぐんですよぉ~!

じゃあ どうやって 食べたらいいの?
と お困りの貴女に オススメの
『黒きくらげとクルミの佃煮 』絶品です☆

今回使った
黒きくらげは20グラムです。

下準備
◎黒きくらげは サッと洗い 熱湯を注いで 戻しておく。
戻った 黒きくらげは 水をきり
千切りにしておく←そのままでも良い

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◎鷹の爪 適量←辛いのがダメな方は入れない。鷹の爪は種をとっておく
◎ニンニク適量はみじん切り←ドライのものでもよい

1.フライパンを火にかけ 胡麻油 適量を入れて 馴染ませ ニンニク 鷹の爪をいれて香りが出るまで炒める。
←焦げないように気を付ける。ドライニンニクは特に気を付ける

2.千切りにした黒きくらげをいれてさらに炒める。

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3.よく炒めたら
醤油 大さじ1と1/2 ~
みりん 大さじ2~
砂糖 大さじ1~
を入れて 煮汁がなくなるまで炒める。

お好みで
白ゴマ・黒ゴマ・くるみ。松の実などを加える

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写真3は くるみをいれました。
似類補類 くるみの形は脳に似ているので 健脳効果も期待できます。

調味料の数字の後ろに~とかいているのは 味の濃さで加減する。
濃いめの味付けをしたら
青菜の和え物にしたり
お粥のトッピングにも
箸休めに ご利用ください。

 中医学の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。

商品は各ショップでお買い求めいただけます。
京都伝統中医学研究所 楽天市場店 https://www.rakuten.co.jp/iktcm/
京都伝統中医学研究所 ヤフー店 https://store.shopping.yahoo.co.jp/iktcm/
京都伝統中医学研究所 auPAYマーケット店 https://wowma.jp/user/49016685

次回は、12月22日「冬至」ですね。
陰が極まり一陽来復するおめでたい日ですが、これから本格的に寒さが厳しくなります。漢方では冬至から「三九天」が始まります。しっかり温陽補腎してくださいね!

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