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他人に期待しないということ

「他人に期待しすぎる」とトラブルが起きます。
海外に住んでいますが、日本人同士でよくトラブルが起きます。そして見ていると、大抵がコミュニケーション不足です。
言葉が足りてないんですよね……。そして、

「普通はそうするでしょ」
「常識が欠けてる」
「誠意がない。ありえない」
「マナー違反だ」

と、お互いにあるはずもない「普通」「常識」にこだわって争っちゃうんですよね。夫婦もそうじゃないですか。「お茶碗洗ってくれると思ったのに」と勝手に期待して失望しちゃう、みたいな。
多分ね、常識って、どこにもないんですよ。幻想なんです。

お互いに「日本人なら(きっと)こうしてくれるはず」「こう考えて欲しかった。だって私が正しい」と期待しすぎてるんでしょうね。その常識は全員、少しずつズレてるんですけど、正解は一つと思い込んでる人が多いので、譲り合うのも難しい。私もそうなので、よーくわかります。他人に勝手に期待して、イライラするんです。

一見同じように見えても、実は言葉で全部細かく言わないと、通じ合わないのが日本民族なんです。お互いへの信頼は、実はとても少ない。
ホントは同じ日本語を話していても、相当突き詰めないと、分かり合えないんですよ。

だから、日本人向けのマニュアルは、ローカル向けの数倍、細かいんです。

マレーシア人向けのマニュアルは、薄い


逆に、マレーシア人向けのマニュアルって恐ろしいほど薄いのです。この多様性の国に住んでるのはムスリムのマレー人、中国人、インド人で、「阿吽の呼吸」なんてあるハズもない、バラバラな人たちなのに、です。彼らは自分たちが到底分かり合えないことをよくわかっています。

例えば、ある仕事の旅行に参加したら、旅程表には集合時間も持ち物も何も書いてない。なんとなーく訪れる場所となんとなくの時間が載ってるだけ。

行ってみたら、バスの集合時間に遅刻する人多数。
おまけに主催者の都合で1時間出発自体が遅れることに。主催者が道路の閉鎖を忘れてたとのこと。それでもみんな「アラマー(おやまあ)、ノープログラムラー」みたいな感じ。一事が万事、こんな様子です。

なぜか、「Okラー」とか言って、誰も怒らないのです。そして全行程、こんな調子なのに、全てこなせてしまう

終わったら、クレームは一件もなく、みんなニコニコで解散です。
テキトーな指示でも、なんとかなっちゃうんですね。
未だに仲良くグループチャットで盛り上がってる始末です。

マレーシア人は他人に期待しないタイプの人が多いんですよね。宗教も人種も違う。分かり合えないし、わかり合おうともしない。
けれど、全員、スタッフも含めて自分の仲間だと思って接するのです。そこに上下関係はありません。
お互いに信頼があるので「まーなんとかなる」と思ってるのかな。信号が壊れてても、ジムのトレーナーが時間に来なくても、細かいことにはこだわらず、失敗した人を責めません。

国にも政府にも学校にも、多大な期待をしない人が多いです。
そして政府がダメなら、自分たちがしっかりしなきゃ、という人が多いです。

政府の債務が発覚して人々が取った行動とは

マレーシアでは最近政権交代がありました。
新政府は公約通り、消費税を0パーセントにしました。ところが、決定直後に前政権が無駄遣いで作ったらしい多額の債務が発覚。「ほら言った通りじゃない、どうするのこれ」って思った人も、そりゃいたでしょう。
しかし、ここぞとばかり新政府を責め立てる人は、少ないんですよ

それどころか、ある27歳の国民が「新政府を助けよう」と「Please Help Malaysia(マレーシアを助けて)」というクラウドファンディングを始めました。そしたら、次から次に「私も助けたい」という声が国民から上がってしまったんです。

慌てたのが新政府です。詐欺が起きてはいけない、と公式にクラウドファンディングを開始しました。

政府のクラウドファンディングには、設立初日より国民からの多額のお金が集まります。6月25日には1億リンギット(日本円で約27億円)を突破して、まだ増えているそうです

他人に期待しない人たちってパワフル。
圧倒されるばかりの日々です。



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