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「不登校生徒の激増」「1ドル150円の円安」が、1998年に予測されていた話

円は暴落し1ドル150円を切って、国民は外貨で資産を運用。
不登校生徒が120万人を超え、中学生たちが学校をボイコット。

そんな未来を1998年に描いた小説が、村上龍氏の「希望の国のエクソダス」です。

1998年といえば、Windows98が発売されたばかりで、まだインターネットも始まったばかり。
私は雑誌で働き始め、まだまだ日本もマスコミも元気だった時代でした。

「ダメになった2002年の日本」が2022年と似ている

この本で描かれるのが2002年の「ダメになった日本」です。

私、興味がなく未読だったのです。
当時、日本がダメになる、なんてほとんどの人が信じなかったのではないのかな。バブルの直後とはいえ、私もまだまだ日本製品が一番だと無邪気に思ってました。

が、しかし! 
今回改めて読んでみて、驚きました。

なぜなら、今と状況があまりにそっくりだから。
この人、こんなこと予想していたの? と驚いたのです。

円はドルとユーロにはさまれて、その力を完全に失いつつある。悪いのは市場ではなく古いシステムに縛られて動きのとれない日本のほうだ、と由美子のような人は言うが、そんなことはもちろんわかっている。

「希望の国のエクソダス」

そして、日本人はわかっていてもどうにもできません。小説が今と違うのは、相変わらずテレビや雑誌が力を持っていること。そして、株価も下がっていて、失業率が7%を超えている部分かな。

「日本という国にはきちんとした競争がないし、企業はいまだに年功序列や終身雇用という日本的システムを捨て切れていない。日本メディアはその事実をなぜか明らかにしようとしないが、世界中に、わたしと同じような理由で日本を離れた若い科学者や技術者、起業家やアーティストが数千人いる。つまり、日本という国には、もはや何の魅力もないんだ」

「希望の国のエクソダス」

今や、おれみたいなごく平凡なジャーナリストを含めて大半の日本人がそういったことに気づいていた。そして、気づくのが遅すぎたということも、とっくにわかっていた。今から十年ほど前にバブルが破綻したが僅かな例外を除いて誰もそれに対処できなかった。これまで通りのやり方で何とかなるだろうと思っていたのだ。メディアは、危機へのそういう曖昧な対処に加担していた。本質を見なくてもすむような有名人のゴシップや社会事件をおれたちは興味本位に報道した。テレビのバラエティショーやワイドショーはこの数年間でますます視聴率を伸ばした。
 過去の日本を歴史的に美化するような動きも目立った。つまり、目の前の現実をみんなが忘れたがっていたのだ

「希望の国のエクソダス」

不登校になり「教育を選ばせろ」と要求する子どもたち

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