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基礎代謝から考える『冷え性』

夏でも冬でも、気になる手足の冷え。なんとなく女性に多いイメージですが、最近では、男女問わず手足が冷える方が多い気がします。

今日はそんな冷え性について、『基礎代謝』という視点から解決の糸口を探して行きたいと思います!

そもそも基礎代謝とは?

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基礎代謝とは、人間が安静状態で生きるために必要な、1日あたりの最小エネルギー量、あるいは最小熱量のことを指しており、通常Kcalで表現されます。

この基礎代謝でいうところの、人間の生命活動に必要なエネルギーとは、炭水化物や脂肪、タンパク質を燃焼させる過程で生まれるエネルギーとして捉えられています。

一般成人の基礎代謝は、1日に女性で約1,200、男性で約1,500 kcalです。

このあたりは、なんとなく聞いたこともあるし、理解も難しくないかと思います。では、これが冷え性とどう関係するのでしょうか?

それには、まずこの基礎代謝の概念を変えなければいけません…。

基礎代謝とは熱を捨てるために必要なエネルギー量である!

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ヒトは恒温動物であるため、生きていくには至適温度があります。

ヒトの至適温度まで体温を上げるためには、もちろん身体内部での燃焼が必要になります。

しかし、ここで大切になってくるのは、恒温動物であるがため、体温が高すぎてもダメ、低すぎてもダメという、非常に狭い範囲で温度をコントロールしなければいけないという事です。

なんとなく、基礎代謝というと、生体内部の化学反応により引き起こされる熱を想像するでしょうが。体の中で生まれる熱はそれだけではなくて、例えば歩けば関節を中心に摩擦熱などが発生します。

熱はどんどん生まれてくるので、今度はそれを捨てなければいけません。(例:動物は呼吸により熱を体外へ吐き出しています)

つまり、熱を体外へ捨てるには、非常に高度な制御システムが必要となります。そして、その細かな制御をするシステムを維持するにはエネルギーが必要となります。

実は、この「制御するためのシステム」を維持するのに必要なエネルギーこそが、基礎代謝なのです!

ラジエーターとしての大循環

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ヒトの身体には約60兆もの細胞が存在し、身体が動けば細胞も同時に動くので、当然その細胞間では摩擦が生じ、熱が発生します。

その熱が蓄積するのを防ぐには、細胞の間に存在し、細胞を浮かしている『細胞外液』が交換される給液システムが必要となります。そして、この細胞外液は毛細血管やリンパから供給/回収され、毛細血管から最終的に大きな動静脈の大循環系につながります。

このように、ヒトでは血液やリンパ、細胞外液を利用して身体の隅々まで液体を循環させて、まるでラジエーターのように非常に細かな熱の制御を行っているのです。

熱の循環から考える「冷え性」とは?

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手足が冷える「冷え性」は、血液を含めた末梢循環が悪くなることで引き起こされます。そこで対処法として、末梢の循環を改善するために靴下やカイロなどで、冷えている部分を温めたりします。

しかし、なぜ末梢の循環が悪くなっているのか?

これを考えなければ、カイロで温めたりするのが逆効果になったりします!

では、なぜ末梢の循環が悪くなっているのか、それは、個体保全のために優先的により中枢を冷やしているからです!

どうゆうことかというと、例えば精神的な不安や葛藤を抱えている人では、脳がかなりのエネルギーを消費します。(ちなみに通常時でも脳は全身の14%程度のかなり多くのエネルギーを消費しています。)

エネルギーをいっぱい使う、よく働いている…。つまり、熱をいっぱい出すということです。そして、たんぱく質は熱に弱いので、今度はその熱を冷やさなければいけません。

これまで述べてきた通り、人体の熱を冷やすのには、様々な「液体」を利用します。そのため、中枢である脳に液体が集中することで、代わりに末梢の液体の量が少なくなるということです。

冷え性を改善するには、冷やす⁈

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これまで述べてきたように、冷え性は末梢の循環不全により引き起こされます。そして、末梢の循環不全は、中枢(脳や肝臓など)の熱を捨てるために大量の液体を必要とするために、末梢に届く液体の量が減ることで引き起こされます。

ここから、どうしたら冷え性を改善できるか逆算すると、中枢の熱を捨てるエネルギーをこちらで補助してあげれば良いことになります。

つまり、冷やすのです!

冷え性なのに、冷やすってなんか意外ですよね。でも、ここで大切なのは手足などの末梢を冷やすのではなく、中枢を冷やすということです。

つまり、頭や首(筋肉では僧帽筋付近)を、内臓では肝臓が一番温度が高く、また問題にもなっているので右肋骨の下辺りを冷やします(図を参照)。

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初期の肝硬変の方は手足が冷たいのですが、この方法で肝臓部分を冷やす手伝いをすると、手足が温かくなって来ます。

冷やすものは、冷えピタではなく、濡れた氷をビニール袋や氷嚢に入れて使います。濡れていない氷を使うと凍傷を起こす恐れがあるので、必ず一度濡らしてから行ってください。

冷やす時間は人によって異なりますが、可能なら5分以上は冷やす時間を複数回作ってもらえると効果を実感できると思います!

お金がかかる方法でもないですし、冷え性で困っている方はぜひやってみてください(^ ^)

※そもそも中枢で循環が悪くなってしまっている方などは、時間や専門的な治療を要することもあります。その場合は気軽にメッセージなどください。

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