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ばね指と肝臓の関係性(Report)

指が使うたびに痛むというのは、生活するときにすごい不便ですよね…。

これは、ばね指だけに言えることではありませんが、ばね指だから手の所だけ、膝が痛いから膝回りだけマッサージや電気を流しても絶対に良くなりません!

今日は、そんな指の痛みについて、実際に私が担当した患者の実例を通して原因と治療法について考えてみたいと思います。

そもそも”ばね指”とは?

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ばね指とは、指を動かすための腱が腫れて、狭くなった腱鞘のトンネル内をうまく通れずに、カクンカクンとばねのような動きをしたり、指が曲がらなくなったり、しっかり伸びなくなるまで腱鞘炎が悪化した状態のことを言います。

炎症が起こっている場合は、この際に痛みや腫れなどを伴うこともあります。

”ばね指”の原因とは?

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一般的な原因としては、『使い過ぎ』とされていますが、利き手じゃなくても起こるし、そんな使い込んだ覚えはないという患者もいます。治療経験から、指を曲げる腕の筋肉などの凝り(コリ)は間違いなく関係していると思いますが、そもそもなんでそこの筋肉だけが凝ってしまったのか、そこを踏み込んで考えていかないと、なかなか”ばね指”は改善しません!

今回の患者の例

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今回の患者は、3ヶ月前にだんだんと左中指が腫れっぽくなり、整形外科で「ばね指」の診断を受けました。電気治療や、注射、治らなければopeを勧められたと言います。

(ちなみに注射はめちゃくちゃ痛いらしい…打ったことないけど)

私が担当した際は、一般的なばね指で言われているような引っかかり症状はなく、曲げにくさと、曲げたときの広範囲のハリ感を、左中指の付け根を中心に訴えていました。

腫れは少しありましたから、おそらく腱鞘付近に炎症後の症状が残っている段階であると考えられます。再発することなく治すためには、なぜ中指の筋が硬くなってしまったのかを、考えていかなければいけません。

問診を勧めていくと、特徴的な所見がいくつか確認できました。

① 左のお尻の痛みと、左膝裏の痛みがある。

② 左足首が腫れっぽい、むくみ?

③ 月に2〜3回の周期で朝起きれずに、寝すぎる傾向がある。

実際に歩きや、骨盤の動きをチェックしてみると明らかに左側に異常がありました。

そして、③の睡眠の問題…。

これをどう考えるかですが、問診をしていると睡眠に問題が起こる前に、ストレスなどで甘いものを良く食べてしまうということがわかりました。

ここから、糖質の過剰摂取による肝臓の負担を疑いました。

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糖質と肝臓がどう影響するかというと、血糖値が上がると、インスリンの作用で過剰なブドウ糖は中性脂肪へ変えられます。肝臓は血中の脂肪成分を制御しているので、血中の中性脂肪が増えると肝臓の負担が増すということです。

肝臓や内臓というのは、睡眠中の副交感神経が優位のときに良く働きます。これらのことから、肝臓の労働時間が伸びた(残業)ので、なかなか朝起きれなかったのだと推測されます。

そして、肝臓の筋膜は発生学的に下肢の内側に繋がっています。肝臓が過用状態になることで、肝臓と繋がっている下肢の筋膜にも硬さが生じ、①・②の訴えなどに繋がっと考えられます。

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肝臓と心臓を包んでる筋膜、そして中指の筋膜も発生学的に繋がっているのです。中医学では、これを厥陰経(けついんけい)と呼んでいます。

つまり、なぜ中指の筋がこわばってしまっているのかと突き詰めていくと、肝臓の過用が考えられるわけです。

今回の患者に関しては、根本的な問題が肝臓の過用が考えられるので、生活での糖質の制限と、肝臓に繋がる足の施術、肝臓に繋がる中指の筋膜の施術を行いました。

その結果、歩きは格段に良くなり、中指の感覚もその後良くなってきたとのことでした。

指の問題であっても、身体は様々な繋がりから成り立つシステムで構成されています。木を見て、森を見ずではないですが、その場しのぎで凝ってる筋をストレッチしてもよくならないし、再発してしまいます。

少しでもばね指の改善に向けて、きっかけになれば幸いです。困っている方がいらっしゃいましたら、気軽にご相談ください!

今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。




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