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部活改革案

 指導要領には、部活は生徒の自主的・自治的な活動と明記されており、法的には、教員は顧問を「好きで勝手にやっている」ことになっています。誤解を恐れずに言えば、「仕事が終わった後の趣味」という扱いです。だから本来は、顧問を「やる・やらない」の選択肢がなければなりません。

 しかし、現状の違法状態(実質的に労働法違反)を早急に改革するのは難しい。であれば、学校単位で出来る改革をしていくことが重要です。(そもそも部活設置主体は学校なので、校長が腹をくくれば、法的には全廃だって可能です)


「顧問」と「指導者」を明確に分ける。


 「顧問」とは本来、「意思決定に際しての権限はもたないが、相談を受けたり、意見を述べたりする立場の人」のことです。部活が生徒の自主的・自治的な活動ならば、練習メニューなどについて決める権限があるのは生徒たちであり、顧問は相談を受け、意見を言うだけです。だから今の部活顧問のあり方を、本来の意味での「顧問」に戻すのです。

 一方、先生たちの中には、専門性をもっていて「もっと指導してあげたい」と考える人もいるでしょう。そういう先生は「指導者」として指導に当たればよいのです。そうすれば、できない人は「顧問」として関わり、できる人は「指導者」として関わることで、部活を存続していくことが可能です。

 現状では、先生も生徒も保護者も、「部活が生徒の自主的活動である」という認識をもっていないため、素人顧問でも「指導者」の役割を求められてしまいます。だからまず「部活は生徒の自主的活動である」「顧問と指導者は違う」という認識を共有することが必要です。


本来の自主的活動に戻す。

 部活を本来の自主的活動に戻します。顧問がついている必要はありません。その代わり顧問は、部長の相談に乗り、安全を確保しながらできるメニューのみ許可します。そして部長は部活終了後、顧問がいれば顧問に、いなければ管理職に安全報告を行います。

※管理職には施設管理義務があるので、生徒が残っていれば帰れないが、顧問は管理職に任せて帰っても大丈夫。そもそも法的には、「部活を設置している校長にお願いされた先生たちが、善意で顧問を肩代わりしている」だけです。

ソフトランディング

 そんなこと言っても、見ていないとケガやいじめが心配…
 その通りです。そこで顧問の出番です。
・顧問は部長と相談しながら安全なメニューを考える。もしも実際にケガがあった時には対応する。
・いじめがあれば部活は停止。そもそも部活がやりたいから集まっているのに、それ以外の問題が起こるなら自治ができないということ。自治能力を育てるために、自分たちで解決できるよう顧問はサポートする。

 実はこれ、各部活単位でも実行可能です。なぜならここには一切の法令違反がないからです。というか、素直に法令を読むと部活はこうなります。現状が法令の想定を超えて肥大化しているのです。

 もちろん変えるためには、生徒や保護者と話し合い、理解を得ることが大切ですし、この程度ではまだ抜本的な改革にはほど遠いものです(大会の問題がネック)。でもこの案ならすぐにでも実行可能で、今まで通り指導したい人はできるし、今が辛い人には負担軽減になると思います。

 ソフトランディングさせるためには、これしかないと思うが、いかがでしょうか?

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