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【ネタバレ注意】新劇場版は1ミリも見てないオタクがシン・エヴァンゲリオン見た感想

※この記事は『シン・エヴァンゲリオン劇場版:‖』のネタバレを含みます。

 タイトルまんまです。『シン・エヴァンゲリオン劇場版:‖』を見ました。いや、まんまというにはちょっと語弊があって、オタクである以上(主語がデカい)、見て無くてもQの公開から8年4ヶ月も経てばネタバレもクソもなく受動喫煙を受けるワケで「何がQだよ!」辺りを読んでそんな事になってんのかー、と他人のフィルターを通して見た気になってました。自分で見もしないやつがオタクを名乗るのか。

 ちなみにテレビ版~旧劇までは履修済。ただ、それほど深くハマったワケではなく、小学生時分にボンボンで特集だか4コマがやってて(確か冬凪れく先生の作品)ネタ元が気になる→親にねだってレンタルビデオで借りてもらい、最初のうちは楽しく見てたけど、後半から理解がよく出来なくて多分最後までは見ずに一旦離れる→中学時代に残りを後追いで鑑賞したもののやはり乗り切れず、むしろエヴァの影響を受けたであろうクリエイターの作品にハマる…みたいな感じ。後は元来アニメより漫画が好きなので貞本版も追ってましたが、連載止まってる間に…その…飽きて…。
故に新劇が始まっても興味を余り持てず、エヴァは遠巻きに眺めるだけのコンテンツでした。

 以上、自分のエヴァに対するスタンス説明。

【序:】エンドゲームの話

 話は飛ぶんですが、2019年の「アベンジャーズ/エンドゲーム」の公開時、「MCU全部履修してから観るべき」という話が半分冗談、半分本気交じりで交わされて…っていうか自分も言ってたんですが、その際に友人が「間口をわざわざ狭めるような事を言わない方がいいと思う」と訝しんでまして、確かに100%楽しむために事前知識を摂取した方が良いというのはファンの考えで、人によってはお節介になるんだなぁと割りかし反省しました。

 で、時は2021年3月8日シンエヴァ公開日。朝からTLを席巻する「エヴァ見ました」の文字。映画クラスタはふせったーの○○○で溢れ、隙間から溢れ出してくる浄化されたオタクの感情。とにかく気になる気になる。
しかし新劇見てない自分には劇場に行ってもちんぷんかんぷんだろうし、直前の地上波放送という実況しながらワイワイ見れる機会すらスルーした自分が、ネタバレ踏む前に履修するような手間をかけると思えない。どうしたものかと考えていたところ、「どうせ今から序破Q後追いしてもリアルタイムで25年ずっと見続けた人と同じ感動や体験は出来ないんだから今の自分の立場でしか見れない事をした方がいいんじゃないか?」との考えが過る。(冒頭のツイート)
世の中にはエンドゲームからMCUに入った人だって居るんだから、シンからエヴァを再履修する人がおってもええやろ…の精神。大丈夫、映画の間口は広くある。お前は自由だ。

 という訳でイオンシネマで「ラーヤと龍の王国」を見て溜まったポイントをこれ幸いと鑑賞チケットに切り替えて見てきました。実際はラーヤだけ観るつもりだったんですけど、ちょうどポイント溜まったのと、ラーヤの直後にすぐ上映始まること、あとイオンシネマの1席離れルールならそんな密集せんやろとその場で…つい…。25年の精算に来る人がいるところにその場の勢いで観る男がいてもいいんじゃないかな。

 なおこれから後追いで新劇を観るつもりですけど、見てからだと感想が変わりそうなので、今のうちに書きなぐりの散文でもいいので書き溜めておこうと思った次第。わざわざnoteのアカウントまで取ってコイツ…。

【破:】で、実際見てきた感想<ネタバレ注意>

すんごい面白かった。
 旧劇じゃ救われなかった(この表現だけでバチボコに殴られそうだけど見逃してつかぁさい)、活躍の少ないままに退場したキャラクターの成長した姿や奮闘が見られるのはそれだけでグッと来る。特にトウジとケンスケコンビはめちゃくちゃ好きだった主人公の友人である非戦闘員ポジ(トウジは巻き込まれたけど)のキャラなので、それが身近な人達を守るためにコミュニティの中で日々戦ってるのが大変感じ入った。ていうか村のシーン全体的に好き。世界がなんやかんやしても人間そこそこ捨てたもんじゃないんよ、という感じ。この辺のニュアンスは「天気の子」を思い出しました。
あと元ネルフ(ヴィレ?ヴンター?)のオペレーターズ、苦労人の割に旧劇だと可哀相な最後だったと思うんですけど、みんな立派になって…。リツコさんも…。冬月と互いに相手を称賛しあってるの、こういうのプロっぽくて好きよ。

 後はまたエンドゲームの話に戻りますけど、あれでもスティーブとトニーの和解に5年の時間が掛かったじゃないですか。あんな感じで作中でシンジくんが立ち上がっていく要因に上記の仲間たちに加えて「時間」って要素があったのが良かったです。挫けて蹲っていても時間は残酷に流れていくし他の人は先に進んでしまうけど、実際大きなショックを受けてから立ち直るにはとにかく時間が必要なんですよね。現実にエヴァのエフェクト(呪い)で色々な歯車がズレてしまった人も、時間が経った事で立ち直ったり新しい道を見つけたんじゃなかろうか…というメタな構造も感じたり。

 ゲンドウとシンジ、親子で話し合えてよかったね。最近いろんな作品で「本当はもっともっと話し合うべきじゃないか」ってメッセージを扱っていて、同日に見たラーヤもまさにそういうお話だったんですが、シンでも同様のものを感じました。世界殆どブッ壊してこの世の理の再創生みたいな場になるまでお互いを正視して話し合えなかったのはディスコミュニケーションにも程があるぞとは思うんですけど、創作におけるクソ親の代表格みたいなゲンドウが息子とちゃんと話してるのを見れたのは結構グッと来ました。しかしゲンドウ、一回話し始めたらめっちゃ赤裸々な事まで喋ってくれるな。もっとこう、ベイマックスとか側に居てくれたら良かったのにね。

 物語のオチとしては旧劇で放り出されるように渡された現実への回帰のメッセージを、めちゃくちゃソフトに優しく渡してくれた感じがあります。もうみんな現実で戦ってるんでしょう?エヴァなんか無くても皆やっていけてるだろう?と送り出してくれたような気さえする。レディ・プレイヤー1より傷つかないような手渡し方をしてくれましたね。オタクへの優しさに気遣いまである。

 如何に触れてない人間でも、エヴァという社会現象クラスの作品は遠巻きに眺めていた訳で、その終わりに立ち会えたみたいな感慨深さはありまして、ちょっと最後の方は泣いちゃってました。宇多田ヒカルはズルいって。

以下、上から漏れた雑多な感想
・特に話と関係なく差し込まれるセクシーなショットに懐かしさを感じる。今こういうのあんまり見ないですよね。何だか懐かしい。
・戦艦を並べて!盾に!発想のスケールで負けた…
・作中の台詞でもありましたけど「どうしてみんなこんなに優しいんだよ」は凄く染みる。シンジくんひどい目に合わされがちだけど周りの人は結構慮ってくれてるんですよね。不器用だけど。
・特にアスカ。ツンデレのアイコンみたいにされたりもするけど、言動がキツいだけでめちゃくちゃ優しい。生きてて嬉しい。
・優しいんだけど、やっぱりまだ子供to子供の優しさなんですよね。
・大塚明夫さんの声がするとそれだけで場がまとまる感じになるのが凄い。
・三石琴乃さんは凄い。
・ていうか旧からのキャスト陣みなさん、昔の演技保ててるの凄い。
・ゲンドウめちゃくちゃ撃たれてる時、すごくスッキリした。
・うどん玉を拾うな。
・緒方さんから本当に離れて行っちゃったんだね…シンジくん
・山口県宇部。やだ…故郷に近いわ…テンション上がっちゃう…聖地になっちゃう…
・スタッフロールに並んでるアニメ会社が錚々たる名前過ぎる…。そういう意味でも記念碑みたいな作品なんでしょうねこれ。

【Q:】よくわかんなかったところ

 …ただ、当然ながら新劇未履修故のよくわかんないところも多々ありまして、その筆頭が真希波・マリ・イラストリアスさん。
誰だこのエロい眼鏡の姉ちゃん…。
いや、外観は知ってたんですよ。新劇のときに新キャラが出るって聞いてイラストもたくさんた流れてきたし。でもこんなダ・ヴィンチちゃんの声で喋る、思わせぶりというか人好きで奔放な感じのキャラだったとはね。もっとこう、オラオラ系な人かと思ってました。意外に居なかったな旧シリーズにこういう子…。
こう、ラストのあの感じからしてそのために用意されたキャラなのかな、と思ったんですけど、なんか作中の描写だと前の作品で殆ど(一度くらい?)対面してなさそうな感じだったし、どこでフラグ立ったんだろう。見た人ならわかるのかな。現実と向き合うと僕にはこの子が居ない…

 次に黒いプラグスーツの綾波。白スーツの綾波とは別個体、っていうのは冒頭の説明+本人の言葉、プロトタイプ呼びで何となく察したんですが、作中に置ける役割がこの子だけよくわからない。無条件に優しくしてくれる存在=母親で、そこからの別れがシンジくんの階段を登らせたってことかしら。可哀想はかわいい、みたいな人工存在の話に素直に弱いので、村のところ好きなんですけどね。声優さんも相まって完全にフランシーヌ人形…。

>3/14追記:
 あと、これはわからんところって訳じゃないんですけど、旧シリ前半の使徒襲来→作戦立案→現場とオペが一体になって排除、みたいなロボットものエンタメ要素が完全に無くなっていて、戦艦バトル~量産型エヴァ?みたいな雑魚蹴散らしに終始しちゃってたのでアクション面であんまり滾るものは無かったです。精神世界のわざとチープにしてたであろう初号機vs13号機?の戦いのようなものじゃなく、真っ当に今の技術で出来るカッコいい巨大ロボの殺陣は見たかったなというのが本音。エヴァの最終作だしそこら辺は無いだろうなとは思ってましたし、旧劇も似たようなものなんですけど、あっちは弐号機の大立ち回りがあったから…。最後の総括なんだし最初のエヴァの面白かった要素としてどっかで混ぜ込んで欲しかったなぁとは思いました。
-追記終わり-

 世界観に関する用語(キリスト教系のあれやこれやや組織名)とか、後半の難解な心象世界での表現は別に旧シリーズからよくわかんなかったんで大丈夫でした。暗喩とかモチーフは親切な人が解説してくれるじゃろ…。

以下雑多なやつ
・シンジくんとかパイロットだけ年を取ってないのは使徒化?してたから?
・コア化、というのは反物質化とか異界化みたいなもんでええのかな。
・敵使徒じゃないんだ。エヴァ…エヴァがいっぱいいる…。何で…?
・首のないエヴァがいっぱい。ナンデ?なんか屍人みたいな…
・槍がめっちゃある。
・初号機はどこに搭載してたので? っていうか何が何号機なんだ…
・知らないオペレーターのトウジの妹、ピンク髪の人、褐色肌の人。
・大塚明夫ボイスのベテランっぽい人だけ作品が違う
・エヴァに乗らんといてくださいよ、だけ聞いたことある。
・ゲンドウは何であんな目だけザクみたいになってるの。
・何か知らないところで加持さんが英雄になってた。世界を救うのが似合いそうな声してるもんな…。こう…ダンスとかで…。

 最後に…おま…ケンスケェ!!!!!!
 いや、大人の余裕たっぷりないいオトコになったなとは思うんですがね…。いやそんな片割れに入れ込んでた訳ではないけど、こう…知り合いのカップルと数年合わなかったら、別の知り合いと今は付き合っててかなりラブラブっぽいと知ったときの気分というか…、こっち側の人間だと思ってたやつが、どっち側にも優しいただハイスペなやつだったと思い知った気分というか…。あとは単純に嫉妬。
お前…お前か~…いやいいけどさ…多分こいつ恋人同士の行為でもビデオ撮ろうとするぞ。気をつけなさいよ(風評被害)

以上、新劇場版を1作品も見たことない人間が見たシンエヴァ感想でした。
読んでくださってありがとうございました。


【シン:】かなり個人的な話

 物語に終わりをもたらすのは話の書き手の責任であり呪いだと思うんですけど、それを1つの作品で二回語り直して二回とも終わらせた、しかも観客にちゃんと受け取ってもらえるように作り直した庵野監督は本当にすげぇなと思うんですよ。

 絵や漫画を描いてる人だとあるじゃないですか…物語を語りだしたのに最終回まで書かずにエターナってる作品…。長らく放置し過ぎた結果、自分の価値観が変わっててもはやキャラの行動がうまく書けなくなってるようなやつ。

 流石に私小説的なものでもある筈が想像もつかないほど社会に求められてとんでもない責任を背負うことになってしまったエヴァみたいな作品と比べるのもおこがましいのですが、その終わりの無い自作品を思い出して…こう…社会の中ではちゃんと戦ってるけど、自分が作ったものを自分は見捨ててここまで来てしまったんだなと認識してしまってですね…。

 心が…心が重い。

 創作物の呪いから解放をしてくれる作品で、自分が責任を果たさず逃げてるものと向き合うことになってしまったお話でした。

                            【終劇】

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