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消費生活相談員資格試験にチャレンジ2024(7)

2023年度消費生活相談員資格試験(独立行政法人国民生活センター実施)の問題・正解に簡単な解説等を付した記事シリーズ第七弾、第13問と第14問をお送りします。


13.次の文章のうち、下線部が2ヵ所とも正しい場合は○を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。
※誤っている箇所がある場合は、1ヵ所である。
※以下は、特定商取引法に関する問題である。

① 事業者が消費者の自宅を訪問して商品の勧誘を行い、その場で売買契約について合意し、事業者が自ら持参したタブレットで契約手続きを済ませたときは、㋐通信販売に該当し、㋑訪問販売に該当する

正解:㋐

〔コメント〕通信販売は、事業者が新聞、雑誌、インターネット等で広告し、郵便、電話等の通信手段により申込みを受ける取引であり、本件問題文の事例は通信販売には該当しない。


② 訪問販売による売買契約締結の勧誘の際に、販売業者から商品の性能について不実告知がなされ、消費者がそれを信じて契約した場合、特定商取引法に基づく契約の取消しをすることが㋐できる。訪問購入による売買契約締結の勧誘の際に、購入業者から物品の性能について不実告知がなされ、消費者がそれを信じて契約した場合、特定商取引法に基づく契約の取消しをすることが㋑できる

正解:㋑

〔コメント〕訪問販売においては、事業者が、契約の締結について勧誘する際に、「事実と違うことを告げられた場合であって、その告げられた内容が事実であると誤認した場合」や「故意に事実を告げられなかった場合であって、その事実が存在しないと誤認した場合」は契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しができるという規定(特商法第9条の3)があるが、訪問購入の項目にはこれと同様の規定は存在しない。


③ 事業者から送られてきたはがきに、当該事業者に電話をすれば化粧品のサンプルがもらえると書いてあったので、電話をしたところ、その電話で美顔器の購入を勧誘され契約した場合、電話勧誘販売に㋐該当する。消費者が、新聞に載っていた化粧品の広告を見て事業者に電話をし、その電話で当該化粧品の売買契約をした場合、電話勧誘販売に㋑該当する

正解:㋑

〔コメント〕電話勧誘販売は、事業者が消費者に電話をかけて勧誘を行った場合だけでなく、事業者が欺瞞的な方法で消費者に電話をかけさせて勧誘した場合も該当する。㋐の事例はまさにそのようなケースであるが、一方で㋑の事例は、新聞に載っていた広告の商品を見た消費者自らが、当該商品の購入を申し込むべく電話をしているので、通信販売となる。ただし、㋑のケースでも、消費者から電話を受けた事業者が、新聞広告に記載のない別の商品等を勧誘した場合は、消費者が予期していない新たな勧誘が事業者から電話でなされているので、電話勧誘販売に該当することとなる。
 なお、施行令に定めのある「電話をかけさせる方法」については、令和3年の法改正に際しその範囲が拡大されている。

〔参照条文〕特定商取引に関する法律
第二条 (省略)
2 この章及び第五十八条の十九において「通信販売」とは、販売業者又は役務提供事業者が郵便その他の主務省令で定める方法(以下「郵便等」という。)により売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う商品若しくは特定権利の販売又は役務の提供であつて電話勧誘販売に該当しないものをいう。
3 この章及び第五十八条の二十第一項において「電話勧誘販売」とは、販売業者又は役務提供事業者が、電話をかけ又は政令で定める方法により電話をかけさせ、その電話において行う売買契約又は役務提供契約の締結についての勧誘(以下「電話勧誘行為」という。)により、その相手方(以下「電話勧誘顧客」という。)から当該売買契約の申込みを郵便等により受け、若しくは電話勧誘顧客と当該売買契約を郵便等により締結して行う商品若しくは特定権利の販売又は電話勧誘顧客から当該役務提供契約の申込みを郵便等により受け、若しくは電話勧誘顧客と当該役務提供契約を郵便等により締結して行う役務の提供をいう。
4 (省略)

特定商取引に関する法律施行令
(電話をかけさせる方法)
第二条 法第二条第三項の政令で定める方法は、次のいずれかに該当する方法とする。
 一 電話、郵便、信書便、電報、ファクシミリ装置を用いて送信する方法若しくは電磁的方法により、若しくはビラ若しくはパンフレットを配布し、又は広告を新聞、雑誌その他の刊行物に掲載し、若しくはラジオ放送、テレビジョン放送若しくはウェブページ等(インターネットを利用した情報の閲覧の用に供される電磁的記録で主務省令で定めるもの又はその集合物をいう。第十九条において同じ。)を利用して、当該売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに電話をかけることを要請すること
 二 (省略)


④ 事業者が、消費者の留守中に、「購入しない場合は14 日以内に返送してください」と記載したメモと一緒に商品を置いていった場合、消費者は当該事業者にその商品を返還する㋐義務はない。実際には売買契約をしていないのに、売買契約が成立していると偽って、事業者が消費者に対して商品を送付した場合、消費者はその商品を返還する㋑義務はない

正解:○

〔コメント〕いわゆる「送り付け商法(ネガティブ・オプション)」に関する事項。令和3年の法改正に伴い、売買契約に基づかず一方的に送付された商品は、直ちに処分可能となった。

〔参照URL〕【消費者庁】特定商取引法の通達改正・一方的に送り付けられた商品に関するチラシ等の公表について


⑤ 特定継続的役務提供は、役務ごとに政令でその適用対象となるための役務提供期間と金額が定められている。有効期限のないチケット制のエステティックは、政令で定める期間を㋐原則として超えるものとして扱われる。政令で定める金額には、語学教室等の入学金や入会金が㋑含まれる

正解:○

〔参照URL〕【消費者庁】特定商取引法ガイド・特定継続的役務提供


14. 次の各文章が、正しければ○、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。

① 携帯電話不正利用防止法は、携帯音声通信事業者に対して契約締結時及び譲渡時の本人確認を義務づけている。携帯音声通信事業者とは、無線設備を有するいわゆるキャリア(MNO)のことを指しており、無線設備を持たないMVNOは対象とされていない。

正解:×

〔コメント〕「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」(携帯電話不正利用防止法)では、本人確認が必要とされる事業者は、「携帯音声通信事業者(媒介業者等を含む)」及び「貸与業者」としている。「携帯音声通信事業者」とは「電気通信事業法第二条第五号に規定する電気通信事業者のうち携帯音声通信役務を提供するもの」であり、MNOやMVNOをいう。

〔参照URL〕【総務省】携帯電話の犯罪利用の防止/Q&A-携帯音声通信事業者向け-


② 電気通信事業者は、電気通信サービスの電話勧誘において、「今、この場で申し込めば安くなる」と告げて消費者の了解を得た場合、契約締結前の提供条件の概要説明において説明書面を交付した上での説明を省略することができる。

正解:×

〔コメント〕消費者側からの求めがあれば、契約締結前の提供条件の概要説明での書面交付省略は可能とはなっているが、その際の「求める」理由が、(1)書面交付以外の方法を選択することで電気通信事業者等から利益の供与を受けられることである場合(例:「今、この場で申し込めば安くなる」と言われた。)や、(2)電気通信事業者の誘導に起因すると考えられるものである場合(例:代替的方法の利点のみ説明があり、書面交付の利点については説明がなかった。)は除かれる。

〔参照URL〕【総務省】電気通信消費者情報コーナー・消費者保護ルール


③ 電気通信事業法による初期契約解除制度では、店舗販売や通信販売であっても契約の解除が可能であり、契約の解除までに利用したサービスの利用料は支払う必要がない。

正解:×

〔コメント〕初期契約解除制度による解除であっても、解約時までのサービス利用料等の「実費」は支払わなければならない。

〔参照URL〕【総務省】携帯電話ポータルサイト・「初期契約解除」ってなに?


④ 電子消費者契約法には、消費者が行う電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示が錯誤に基づく場合、それが消費者の重過失によるものであっても、一定の要件を満たせば意思表示の取消しができるとする規定がある。

正解:○

〔参照URL〕【経済産業省】電子商取引の促進/電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/ec/


⑤ 割賦販売法における個別信用購入あっせんに該当するためには、支払方法について、「2月以上かつ3回以上」の分割払いが条件となっている。

正解:×

〔コメント〕同法において、「割賦販売」は2月以上かつ3回以上の分割払い、と定義されているが、「個別信用購入あつせん」の定義では「2月以上」しか条件の記述がなく、分割払いかどうかは関係ない。

〔参照条文〕割賦販売法
(定義)
第二条
1~3 (省略)
4 この法律において「個別信用購入あつせん」とは、カード等を利用することなく、特定の販売業者が行う購入者への商品若しくは指定権利の販売又は特定の役務提供事業者が行う役務の提供を受ける者への役務の提供を条件として、当該商品若しくは当該指定権利の代金又は当該役務の対価の全部又は一部に相当する金額の当該販売業者又は当該役務提供事業者への交付(当該販売業者又は当該役務提供事業者以外の者を通じた当該販売業者又は当該役務提供事業者への交付を含む。)をするとともに、当該購入者又は当該役務の提供を受ける者からあらかじめ定められた時期までに当該金額を受領すること(当該購入者又は当該役務の提供を受ける者が当該販売業者から商品若しくは指定権利を購入する契約を締結し、又は当該役務提供事業者から役務の提供を受ける契約を締結した時から二月を超えない範囲内においてあらかじめ定められた時期までに受領することを除く。)をいう。
5~6 (省略)


⑥ 割賦販売法によれば、インターネット取引をしようとする者が、売買代金につき2月を超える後払いにする目的で、クレジット会社からカード番号の発行だけをしてもらい、プラスチックカードの発行はしてもらわなかった場合には、包括信用購入あっせんには該当しない。

正解:×

〔コメント〕同法の規定では、物理的プラスチックカードに限らず、番号・記号その他の符号の交付であっても、包括信用購入あっせんに該当する。

〔参照条文〕割賦販売法
(定義)
第二条
1~2 (省略)
3 この法律において「包括信用購入あつせん」とは、次に掲げるものをいう。
 一 それを提示し若しくは通知して、又はそれと引換えに、特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者から有償で役務の提供を受けることができるカードその他の物又は番号、記号その他の符号(以下この項及び次項、第三章第一節並びに第三十五条の十六において「カード等」という。)をこれにより商品若しくは権利を購入しようとする者又は役務の提供を受けようとする者(以下この項、同節、同章第三節、同条、第三章の四第二節、第四十一条及び第四十一条の二において「利用者」という。)に交付し又は付与し、当該利用者がそのカード等を提示し若しくは通知して、又はそれと引換えに特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者から役務の提供を受けるときは、当該販売業者又は当該役務提供事業者に当該商品若しくは当該権利の代金又は当該役務の対価に相当する額の交付(当該販売業者又は当該役務提供事業者以外の者を通じた当該販売業者又は当該役務提供事業者への交付を含む。)をするとともに、当該利用者から当該代金又は当該対価に相当する額をあらかじめ定められた時期までに受領すること(当該利用者が当該販売業者から商品若しくは権利を購入する契約を締結し、又は当該役務提供事業者から役務の提供を受ける契約を締結した時から二月を超えない範囲内においてあらかじめ定められた時期までに受領することを除く。)。
 二 カード等を利用者に交付し又は付与し、当該利用者がそのカード等を提示し若しくは通知して、又はそれと引換えに特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者から役務の提供を受けるときは、当該販売業者又は当該役務提供事業者に当該商品若しくは当該権利の代金又は当該役務の対価に相当する額の交付(当該販売業者又は当該役務提供事業者以外の者を通じた当該販売業者又は当該役務提供事業者への交付を含む。)をするとともに、当該利用者からあらかじめ定められた時期ごとに当該商品若しくは当該権利の代金又は当該役務の対価の合計額を基礎としてあらかじめ定められた方法により算定して得た金額を受領すること。
4~6 (省略)


⑦ 割賦販売法によれば、訪問販売業者との契約の締結に際し、個別クレジット業者による立替払いを利用していた場合、訪問販売業者に対して特定商取引法に規定する不実告知の取消事由があれば、立替払契約を取り消すことができる。

正解:○

〔参照条文〕割賦販売法
(個別信用購入あつせん関係受領契約の申込みの撤回等)
第三十五条の三の十 次の各号に掲げる場合において、当該各号に定める者(以下この条において「申込者等」という。)は、書面により、申込みの撤回等(次の各号の個別信用購入あつせん関係販売契約若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あつせん関係受領契約の申込みの撤回又は次の各号の個別信用購入あつせん関係販売契約若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あつせん関係受領契約の解除をいう。以下この条において同じ。)を行うことができる。ただし、前条第三項の書面を受領した日(その日前に同条第一項の書面を受領した場合にあつては、当該書面を受領した日)から起算して八日を経過したとき(申込者等が、個別信用購入あつせん関係販売業者若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供事業者若しくは個別信用購入あつせん業者が個別信用購入あつせん関係販売契約若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あつせん関係受領契約の締結について勧誘をするに際し、若しくは申込みの撤回等を妨げるため、申込みの撤回等に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより当該告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は個別信用購入あつせん関係販売業者若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供事業者若しくは個別信用購入あつせん業者が個別信用購入あつせん関係販売契約若しくは個別信用購入あつせん関係役務提供契約に係る個別信用購入あつせん関係受領契約を締結させ、若しくは申込みの撤回等を妨げるため、威迫したことにより困惑し、これらによつて当該期間を経過するまでに申込みの撤回等を行わなかつた場合には、当該申込者等が、当該個別信用購入あつせん関係販売業者若しくは当該個別信用購入あつせん関係役務提供事業者又は当該個別信用購入あつせん業者が経済産業省令・内閣府令で定めるところにより申込みの撤回等を行うことができる旨を記載して交付した書面を受領した日から起算して八日を経過したとき)は、この限りでない。
 一 個別信用購入あつせん関係販売業者又は個別信用購入あつせん関係役務提供事業者が営業所等以外の場所において個別信用購入あつせん関係販売契約又は個別信用購入あつせん関係役務提供契約の申込みを受けた場合 当該申込みをした者
 二 個別信用購入あつせん関係販売業者又は個別信用購入あつせん関係役務提供事業者が営業所等において個別信用購入あつせん関係特定顧客から個別信用購入あつせん関係販売契約又は個別信用購入あつせん関係役務提供契約の申込みを受けた場合 当該申込みをした者
 三 個別信用購入あつせん関係販売業者又は個別信用購入あつせん関係役務提供事業者が個別信用購入あつせん関係電話勧誘顧客から当該個別信用購入あつせん関係販売契約又は当該個別信用購入あつせん関係役務提供契約の申込みを郵便等により受けた場合 当該申込みをした者
 四 個別信用購入あつせん関係販売業者又は個別信用購入あつせん関係役務提供事業者が営業所等以外の場所において個別信用購入あつせん関係販売契約又は個別信用購入あつせん関係役務提供契約を締結した場合(個別信用購入あつせん関係販売業者又は個別信用購入あつせん関係役務提供事業者の営業所等において当該契約の申込みを受けた場合を除く。) 当該契約の相手方
 五 個別信用購入あつせん関係販売業者又は個別信用購入あつせん関係役務提供事業者が営業所等において個別信用購入あつせん関係特定顧客と個別信用購入あつせん関係販売契約又は個別信用購入あつせん関係役務提供契約を締結した場合 当該契約の相手方
 六 個別信用購入あつせん関係販売業者又は個別信用購入あつせん関係役務提供事業者が個別信用購入あつせん関係電話勧誘顧客と当該個別信用購入あつせん関係販売契約又は当該個別信用購入あつせん関係役務提供契約を郵便等により締結した場合 当該契約の相手方
2~15 (省略)


⑧ 支払期日の一定期間前までにリボルビング払いに変更ができる特約付きクレジットカードを利用して翌月一括払いで5万円の商品を購入した後、リボルビング払いに変更した場合、売買契約について抗弁事由があったとしても、購入者は、クレジットカード会社に対し割賦販売法に基づく支払停止の抗弁を主張することができない。

正解:×

〔コメント〕マンスリークリア(翌月一括払い)では抗弁を主張できないが、リボルビング払いに変更することで割賦販売法の適用対象となる場合があり、支払停止の抗弁が主張できるようになる。消費生活相談の現場でも、クレジットカードの翌月一括払いで決済していた契約にトラブルが生じた場合、支払い方法をリボルビング払いに変更するという対応策が採られることがある。