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ニート校長、トラックメーカーになる。Episode6:DTMの基礎〜トラックコピー編〜

前回のあらすじ・・・

ビートカバーという記念すべき第一回目の「宿題」を終えた校長。

さて次は?


「ビート以外全部!」


いきなり飛躍がすごい!


これはKYOTO NEST学校長hatch=ドラム以外なにもわからないアラサーが、KYOTO NESTのDTM科AGURA先生に教えを乞いながらDTMerを目指す物語…!

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それが全てさ、それが全て


「それ以外って、ベースとメロディってことですか?」


「せやで」

「え、じゃあもう全部ってことですか??」

「せやで」


まあ、そう言うてるしな。


なんと。

ドンタンドドタン、からの凄まじい飛躍。


まあでも、言われてみれば確かにそうだ。

楽曲というのは往々にして、
・リズム
・ベースライン
・メロディライン

この3つで形成されている。

リズムをまず打ち込み、

そのあとはベースと、メロディ。


で、完成。


そう、完成なのだ。あっけもなく。


ただその「で、」が、難しい。

「で、」とはすなわち「メロディとベースを打ち込む」ことなのだが、それが難しい。


何せ20年間、「音程を採る」ことと無縁の人生だったから。


知識と感覚のバランス


「コピー」と言えど、100%の再現ができるわけではない。これはドラムにおいても同じことが言える。

まず機材が違うし楽器が違うし、なにより感覚や感性が違う。

そしてそこに現れる差異をしっかりと磨くことで、個性となるのだと思う。


知識が無いということの影響は随所に現れる。

まず和音。コードといったものについての知識がまったく無いので、この和音がいくつの音で構成されているのかという判断が非常に難しい。

あとひとつ、高い音が足されている気もするし、
あとひとつ、低い音が足されている気もする。

ただ、それが不協和音かどうか(和音として成立しているかどうか)の判断はできる。


コピーはあくまで、DTMを体得するための手段であって目的ではない。
なので、ここで自分なりの解釈をまじえて和音を組み立てることは、いったんは是として捉えていたい。


ベースという特殊な役割


そしてベースライン。


ベースラインは、コピー自体は非常に簡単だ。簡単だった。

何故かというと基本的に単音だからである。


小節内で延々リピートさせながら、これじゃない→これでもない→これだ!とやっていけば、ゆくゆくは見つかる。

しかしその精度や速度を上げるためには、音についての知識は必要不可欠になってくるのであろう。


ベースって、まじで合間を縫うようなラインをなぞっているなと思う。

昔、テレビで「関口宏の東京フレンドパーク」というゲームバラエティ番組があり、その中に「フールオンザヒル」という所謂「音ゲー」のようなものがあった。会場にはベース音のみが流れ、プレイヤーだけがヘッドホンでメロディも含めた音源を聴き、それをパッドを叩いて再現するというゲームなのだが、確かにベース音だけでは一体なんの曲なのかがサッパリわからない。しかし正解を聴いてみると、「あー!この曲!」と合点がいったりする。

つまり、それ単体で考えるのではなく、他の和音と重なった時にどのようなことになるか、ということをイメージした上でベースラインを構築していく必要があるのだ。


最終的には自分は曲のコピー屋になるのではなくトラックメーカーにならないといけないから、ゆくゆくはベースラインを自分で編み出す必要がある。

ルート音(が何かもよくわかっていない)をなぞるようなベースラインであれば自分でも思いつくかもしれないが、そうではなく独自性のある、曲の魅力を引き立てるようなベースラインをさあ作れ!となったら、自分にはどのようなものが作れるだろうか。


選び放題という苦悩


例えばC4(ト音記号になって最初に出てくるド)は、どの楽器で鳴らそうがその音程には変わりない。


この曲のベースラインが例えば「C4ド→C4ミ→C3ソ」であったとして、それがわかったとして、今自分が答えとして掴んでいるものは音程という薄っぺらな情報でしかない。


MIDIの仕組みもそうであるように、「音程」というのは形而上学的な(哲学用語。形を持たないの意)情報であり、それのみではどのような音も発現のしようがない。その、C4ドの音程をなんの音で鳴らすかということを決定して始めて、音が鳴るのだ。


ここで、logicに搭載されているベースという楽器のプラグインの種類を見てみよう。

・Fingerstyle Bass 
・Fretless Bass
・Liverpool Bass
・Muted Bass
・Picked Bass
・Prog Rock Bass
・Stinger Bass
・Subby Bass
・Thumb Bass
・Upright Baby Bass
・Upright Ballad Bass
・Upright Studio Bass

これぜんぶ「ベース」である。


もうこの時点で半ギレ。

ベースの種類なんて「ジャズベ」「プレベ」しか知らないのに。


しかもここから様々なエフェクトをかけて無限に音を変えれるときた。


いや、もうどれ選んでも最終的に同じ音作れるんじゃね??


俺の思うリバプールと君の思うリバプールはだいぶ違うみたいだね????


みたいなことを思いながら、おそらくこれもまた、先ほど書いた「感覚」が出てくるところなのだろうなと結論付けた。

その感覚を研ぎ澄ますのは、ソフトをいじくること以外の日々のインプットなんだろうな、とぼんやり思いながら。

そしてこれは、何もベースに限った話ではない。ギター、ストリングス、金管、その他楽器の種類は無限にあるのだ。

その中からひとつを選ぶという、その判断の基軸にあるのは、いつも最終的には自分の感覚なのである。


次回へ続く。

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KYOTO NEST
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