わたしとそっと011

Sotto9周年企画「わたしとそっと」 第2回~理事・東信史さん~

 私たちは、NPO法人京都自死・自殺相談センター Sottoです。
京都で「死にたいくらいつらい気持ちを持つ方の心の居場所づくり」をミッションとして掲げ活動しています。
この連載企画「わたしとそっと」は、Sottoの設立9周年を記念し、Sottoのことを深く知る人々にインタビューし、「わたし」の目線からSottoについて語ってもらう企画です。

 第2回のご相手は・・・Sottoの理事・東信史(ひがし のぶふみ)さん。あだ名は「まっくす*1」さん。

*1 まっくす・・・由来は「ひがし(東)」→「あずま」→「まっくす」とのこと。あだ名から知った人は、まず「東」を「あずま」と読んでしまう確率が95%。

まちづくりやNPO支援に取り組んできたまっくすさんですが、一体どのような経緯でSottoの理事になったのか、Sottoについて何を思うのでしょう。
彼に実際のところ、訊いてみました。

▲まっくすさん
2017年よりSottoの理事。

ー今日はまっくすさんの職場(まちとしごと総合研究所)にお邪魔しております。
よろしくお願いします。ではまず、簡単な経歴を教えてもらえますか。

はい。佐賀県出身で、大学を卒業後リクルートに就職して、6年半ほど福岡の支社で働いていました。
そこを退職した後、京都に来て2013年からきょうとNPOセンターでNPOの中間支援を始めました。

一年半ほど経って、2015年に仲間とまちとしごと総合研究所の立ち上げに参加し、今まで続けています。地域づくりを通して地域の未来を豊かにしてゆくのが仕事です。従来の豊かさを追うんじゃなくて、地域に住んでいる人たちが自分たちに誇りを持てるような未来って、どんなものなんだろうって一緒に考えて進めています。

ーそれから、どういった経緯でSottoの理事になったんでしょうか?

2015年に僕が「佐賀移住計画」っていう企画をやっていて、そこで興味を持ってくれていた霍野*2くんと知り合って、NPOやまちづくりの仕事の話で息が合ったんです。それからSottoの相談を受けるようになって、2016年かな、僕が携わっていた市民活動を支援する京都市のプログラムにも参加してくれて、パートナーとしてサポート・伴走していった感じでした。

*2 霍野・・・Sottoの副代表。浄土真宗本願寺派の僧侶であり、若手僧侶の有志団体「ワカゾー」に所属。お寺でカジュアルに死について語り合う「デスカフェ」を主催している。フットワークが軽く、イベントをSottoの内外で開催している。しかしそのフットワークゆえに、いつも色んな仕事を抱えて忙しそう。たまにはちゃんと休んでほしい。

ーそこで霍野から理事の依頼があった、ということでしょうか。

そうですね。当時はSottoの活動も7年ほどやってきたところで、今後10年のビジョンづくりをしようとしていたところでした。Sottoの広報の研修もさせてもらって、仕事でもプライベートでも関わらせてもらいながら、京都市のプログラムが終わったころに霍野くんから理事になってもらえないかと相談を受けたんです。

「基本的に僕、自死・自殺に関する相談みたいなことはやったことがないし、周りに(自殺にまつわる悩みを抱えてる人)もいないし、そういった研修も受けてないので、何もできないですけどいいですか」っていうことを伝えました。

そうしたら「NPOの運営の側面や、どうやって人を巻き込んでやっていくか、っていうところに第三者的な意見をお願いしたいです」と言われたので、それならできるかもしれないと思い、参加することにしました。

ーそのあたりの経緯は知りませんでした。最初は霍野との個人的なつながりから始まったんですね。
では、外部からSottoの理事になったまっくすさんから見た、Sottoのいいところって、ずばりどういうところでしょうか。

Sottoがいいなって思ったポイントはたくさんあって、やってらっしゃるメンバーの皆さんがっていうのもそうなんですけど、他にパッと浮かぶのは、(自殺に対して)「防止」するわけじゃない視点を持っているところ。ただ「そっとそばにいる」活動をしているところ。

(自殺を)「防止する」っていう考え方が世の中的に当たり前にあって、それで自分も何も疑わずにいたんだと思います。そこで「Sotto(そっと)」っていう名前を付けていたりとか、(自殺を防止しない、という姿勢に)相談センターとして徹しているっていうことが、すごい大きなことだなと思いました。

そして、(Sottoは)前提として相手のお話をちゃんと聴けているか、っていうことを大事にしてる活動じゃないですか。僕らがまちづくりで住民の方や何かを始めたいっていう方々に対してコミュニケーションしていくときにも同じようなあり方で接しているので、すごく親和性が高いと思ったし、共感できる部分が多かったです。

自分たちに近しい活動であり、今までの世の中と違う視点を伝えてくれる団体なんだなって思って、興味とか関心はもともと高かったです。

ー確かに、世の中のいわゆる一般的な見方というところとちょっと違う角度から自殺のことを考えていくのがSottoらしさだろうなと思います。
そこで、まっくすさんが思うSottoの存在意義ってどういうところだと思いますか?さっきの話の続きかもしれませんが、どうでしょう。

存在意義っていうか、ただ(こういう場所が)あるっていうことがすごく大事なんだろうなって思います。それこそ防止であったり予防であったりとか、「自殺なんてよくないよね」、「頑張って生きようよ」とか、そういう考え方が今は当たり前っていうことになってると思います。

つらい思いをされている方とか、「私なんて」って思う方たちのための場所に、Sottoっていう団体だからこそなれるっていう場合があると思います。こういう場所が1つでもあるっていうことが大事なんだろうなって思っているので、Sottoは「ある」だけで大事な場所・活動なんだろうって思います。

一方で、Sottoはよくわからない活動もやっているところがSottoの素敵なところ(笑)。ごろごろシネマ*3とか。おでんの会*4とか。最初「何でおでんなんだろうな?」って思ったりして。

自殺っていう、ちょっと携わりづらそうみたいなイメージがあるところに、自分たちの面白さや、楽しさみたいなところを用いながら取り組んでいるところが面白いなって感じて。

*3 ごろごろシネマ・・・死にたいくらいつらい思いを抱えている方を対象にしたSottoの居場所づくり活動。Sottoのスタッフが選んだ映画を、ゆるい雰囲気の中皆で観る。
名前から伝わるように、かなりゆるゆるした空間。途中で寝てもOK。ここだけの話、たまにスタッフもウトウトしている。2019年度は6月から、月1回開催予定。
HP: http://www.kyoto-jsc.jp/cinema.html
*4 おでんの会・・・こちらも死にたいくらいつらい思いを抱えている方を対象にしたSottoの居場所づくり活動。じっくり話をする「研究の場」・手作りのご飯を皆で食べる「食事の場」・軽いストレッチなどで心身をほぐす「からだ・こころリラックスの場」の3種類をローテーションで4月からお寺で毎月開催。
おでんが色んな具が集まって美味しくなるように、色んな人が集まってあたたかな場になるように、との思いを込めて「おでんの会」と名付けられた。
HP: http://www.kyoto-jsc.jp/oden.html

ー確かに、「何でおでんなの?」ってよく聞かれます(笑)。
では最後に、せっかくなので、Sottoにここ足りないんじゃないかって思うようなこととか、何かSottoに対するツッコミをお願いします。

足りないところ・・・(笑)、何だろうな。メンバーの皆さんが、もっと交流してみても面白そうだなとは思いますね。メンバーの皆さん同士で相談活動についての話は結構されているんですが、もっとプライベートな話とか、そこまでいかなくてもちょっと違った視点での話をしたり、交流したりする時間を自分たちのためにもっと作ってみてもいいんだろうなと思います。

外に向けてイベントをやるとか、そういうことでもいいかもしれませんね。
そういうところからコミュニケーションが生まれて新たな視点が得られたり、関わってくれる人が増えることもあるかと思うので。

ー確かに、内部にしても外部との関わりにしても、つながりを強めていくっていうのは組織として大事だと思います。
今後力を入れていきたいところなので、また相談させてください。
本日はありがとうございました!

こちらこそ!今日はわざわざ来ていただいて。ではでは。

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 いかがだったでしょうか。楽しんで読んでいただけたならば幸いです。
第3回は4月21日(日)更新予定、インタビューの相手は・・・お楽しみに!
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