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心折れないカリキュラムの作りかた

freeeサクセスアドベントカレンダー2021の2日目担当のhiroです!

freeeサクセスアドベントカレンダーとは、「もっと世の中にfreeeのカスタマーサクセスについて発信していこう!」という企画です。12/1~12/25の期間でfreeeのカスタマーサクセスに関わるみんなで毎日投稿します🔥

この記事は、「心折れないカリキュラムのつくりかた」というテーマで書いてみようと思います。

書こうと思ったきっかけ

いきなりカリキュラムと言われても「カリキュラム…..?カスタマーサクセスとなにが関係あるんだ?」となると思うので、最初にこのテーマで書こうと思ったきっかけをお話しします。

私は今年(2021年)の4月に新卒でfreeeに入り、カスタマーサクセスの、freeeの基本的な運用方法をレクチャーするサービスを提供しているチームで働いていました。
※社内ではこのサービスのことを「オンボーディング」と呼んでいるため、以下ではそう書きます。

当時、オンボーディング業務と並行して、チームに新しく入るメンバー向けのカリキュラムを作る、ということもやっていました。そのカリキュラムが社内で予想以上に好評だったので、作る過程で学んだことをアドベントカレンダーで書いてみることにしました。

あくまで「対社内」の話なので、厳密には”カスタマー”サクセスの話ではありません。ですが、「人がなにかを学んで習得していく=サクセスしていく過程を、いかにスムーズな体験として届けられるかを考える」というサクセスの根本的なところは一緒だと思っています。

同じようなことを考えている人、これから考える人にとって役に立つことが書ければ嬉しいです!

どんな感じで作っていたか

社内向けのコンテンツのため、ぼやかしてしかお見せできないのですが、以下がスプレッドシートで作った実際のカリキュラム(の一部)です。

スプレッドシートで作った実際のカリキュラム画像

ゴールは、「お客さまの業界、状況問わず、しっかり自立して対応できること」に置き、それまでのステップを大まかに二段階にわけて作りました。
①ゼロからはじめて実務デビューできるまで、と、②デビューしてから色んなパターンのお客さまに対応できるようになるまで、の二段階です。

①に関しては、すでにチーム内にあった資料と、他の事業部の資料でオンボーディングする上で必要だと思ったものは共有してもらい、それらを組み合わせて作りました。
②に関しては、まずチームの既存メンバーに、「初心者のとき、よくわからず苦戦したな〜」「お客さまによく質問されるけど、毎回案内が難しいんだよな.….」というものはなんだったかヒアリングし、ベテランメンバーに各論点の解説動画(約30本!)を作ってもらう、ということをしました。

一呼吸置くために入れた、特に意味のない画像

カリキュラムを作る上で大切なこと

いきなり結論から言ってしまいますが、カリキュラムを作る上で大切なことは、「網羅性心の折れない仕組みを両立することです。

まず、抜け漏れなく網羅的に作る、というのは結構当たり前のことで、自然と意識できると思います。なので、大切なことというよりは、どちらかというと”前提条件”なのかもしれません。

ただ、問題となるのは、この「網羅性」をしっかり追求すると、当然インプットする内容が増えていくため、カリキュラムを受ける人がカリキュラムの最後にたどり着くまでに心が折れやすくなってしまいます….。

つまり、「網羅性」と「心の折れない仕組み」は本来はトレードオフの関係ということです。カリキュラムを作る人の腕の見せ所は、この一見トレードオフの2つ要素をうまく共存させて、「網羅的なんだけど、心の折れない仕組みになっているという”ヨクバリ”なカリキュラムを作れるかどうかです。

カリキュラムを作る上で大切なことを再掲している画像

心が折れない仕組みにする上で大切なことは3つ

じゃあその「心の折れない仕組み」ってどうすれば実現できるの??という話になります。ポイントは3つあります💪

ポイント①:アウトプットとインプットが程よいバランスになっていること

これは「まあそうだよね〜」となるようなことだと思います。アウトプットする機会がないと定着しないし、単純にインプットだけだと心が折れるというより、飽きてしまいます。
一つだけコツを挙げると、<インプット→アウトプット→インプット→アウトプット→...>のように、インプットとアウトプットが交互になっているとより良いと思います。

ポイント②:情報を「どう伝えるか」、だけではなく「どう切り分けて届けるか」という視点で作ること

「心の折れない仕組み」と聞いた時に、まず思いつくのは「心が折れないように、わかりやすい説明を心がけてインプット資料を作る」ではないでしょうか。これはもちろん大切なことなんですが、これに加えて、「情報をどう切り分けて届けるか」という視点があると鬼に金棒です👺
「切り分ける??どういうこと?」ってなると思うので、スライド資料を例に考えてみます。

読んだ時に強烈に「分かりやすい!」と感じるスライドはどんなスライドでしょうか??

お洒落なデザインや、目を引くテクニックももちろん大切ですが、スライド資料の分かりやすさを決める最大のポイントは、「ここまではこのスライドで説明する、ここからは次のスライドで説明する...」というような、「どこでスライドを分けるか(=情報をどう切り分けるか)」という意思決定が適切にされていることです。

カリキュラムをつくるときも同じです。

例えば、freee会計には「開始残高」という、会社設立時点での状況を入力する場所があります。ここは、設立1年目の場合と、設立2年目以降(最低一度は決算を終えている)の場合で全然違う入力の仕方になりますし、1年目の場合もお客さまの状況によって単純なときとややこしいときがあります。
なので、カリキュラムを作る時にはこれを一気に頭に入れてもらうのではなく、うまく切り分けて伝えることが大事です。

このポイント②と、先ほどのポイント①(インプットだけではなくアウトプットも)を組み合わせて、例えば下記のようにすると、心折れず学んでいくことができます。

ステップ1(インプット):1年目の場合の入れ方の解説動画を見る
ステップ2(アウトプット):デモ環境で実際に自分で入力してみる
ステップ3(インプット):1年目の場合のややこしいケースの解説動画を見る
ステップ4(アウトプット):1年目のお客さまを実際に担当してみる
ステップ5(インプット):2年目の場合の入れ方の解説動画を見る
ステップ6(アウトプット):デモ環境で実際に自分で入力してみる

自分がカリキュラムを作っていた時は、この「どう切り分けるか?」が心が折れない仕組みを実現できるかどうかを最も左右すると思っていたので、「ほんとにほんとに、これでいいのか?」と何度も自問自答し、かつ色んな人にフィードバックをもらっていました。

ポイント③:カリキュラムを受ける人が「できるようになったこと」を可視化し、目を向けられるようにすること

最後、ポイント3つ目です。
これに関しては、「気づいたらやっている」場合が多いんですが、心が折れないようにするためにはすごく大切なポイントです。「気づいたらやっている」というのは、進捗管理のことです。カリキュラムを受けてもらう場合、スプレッドシートのチェックボックスなど、何かしらの方法で進捗管理している場合が多いと思います。

ただ、進捗管理の意味は、ただカリキュラムを受ける人(orマネジメント側)が進捗を管理できる、というだけはありません。進捗管理は、カリキュラムを受ける人が、「ゴールまであと何が足りないか」だけでなく「できるようになったこと」にちゃんと目を向けられる、という効果もあります。

特にfreeeの参入している領域は、税理士や社労士など、士業の方がいるような専門性の高い領域なので、インプットしようと思えばいくらでもするものはあります。ゼロからはじめて、30点くらいまで到達できたら、足りない70点分ではなく、30点まで進んだ自分をちゃんと褒めて、認めてあげることが、心を折らずにカリキュラムのゴールまで到達するためには必要です。

心が折れない仕組みのために大切なことを再掲している画像

最後の㊙︎ピース!!

ポイント①〜③が満たされていれば、すでに心の折れない仕組みがそれなりに実現されたものになっているはずです!最後に、もうひと段階レベルアップさせる、ラストピースが実はあると思っています。

それは、「枝葉の疑問に入り込ませないような強制力のある仕組み」です。

何かを学んでいく上で「いったんここはこのくらいの理解で次に進む、枝葉の細かい話はあとから理解する」という、まずは大雑把に理解するスタンスはすごく大事です(会計や労務という領域では特に)。

ただ分かっていても、枝葉まで理解することにこだわってしまったり、後回しにするのが気持ち悪い、という人もいます。なので、枝葉の疑問の迷路に迷い込まないような強制力を持たせてカリキュラムを作ってあげることができればそれが一番いいです(これは最近になって気付いたことで、当時はここまで気付かなかった...くやしい)。

少し話が逸れますが、これはお客さまにオンボーディングを提供する中でもなかなか課題になるポイントです。
例えば、freeeと銀行口座を同期する案内をして、明細が100件入ってきたとします。
上から2つ目の明細がややイレギュラーなお金の動きで、それに対してお客さまが「これはどうすればいいの?いつものやり方と違うぞ....freeeってなんか難しい」となってしまうことが時々あります。でも、もしその明細が、年に1,2回しか発生しないようなお金の動きだとしたら、いったん理解を後回しにしてもいいし、そもそも登録の仕方を覚えずに、いざ処理するとなったらヘルプページをゆっくり見ながら操作してもいいはずです。

この「枝葉の疑問に入り込みすぎず、まずは全体感を捉えてもらう」というのはカリキュラムを作る上でも大切で、それをこちらが強制力を持つ形で設計しておくと、すごく完成度の高いカリキュラムになり、滑らかな(=ストレスのない)学習体験を届けることができます。

具体的な方法は色々あると思いますが、例えば、「ゴールまでの全体感を大雑把に理解できるテスト」はいいと思います。しかも理解につながるような良質なひっかけが沢山仕込んである、とかであればなおさら…!

一呼吸置くために入れた、特に意味のない画像

これから

いまはオンボーディングチームを離れ、セルフサクセスというチームにいます。セルフサクセスは、オンボーディングのように、freee側から有人でタッチすることでサクセスを届けるのではなく、お客さま自身でfreeeを使っていけるような仕組みやコンテンツを考えるチームです。

業務で直接お客さまとお話することが基本的には無いため、「いろいろ大変なところもあったけど、”結果的に”なんとかサクセスできた〜よかった〜」ということは性質上、無いです。

ただサクセス体験を届けるのではなく、
滑らかなサクセス体験
を届ける必要があるのがセルフサクセスです。

まだ世の中でも確立されていないセルフサクセスという分野にチャレンジできることを楽しんで、これからも頑張っていきます!

freeeサクセスアドベントカレンダーはまだまだ続きます。12/25までよろしくお願いします〜!

アドベントカレンダー1日目の記事はこちら↓

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