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無事なんとか苗木調達ができた

来春に新植する分の苗木の確保が無事できてホッとしている。

紆余曲折ありつつも、指定のブドウ品種を約600本。リンゴも約200本。

日本ではよくブドウの苗木は少ないとは言われるけれど本当に無いわ無いわ。
というより、基本的に”完全発注制”だからというのもひとつ理由にあるのだろう。

来春植樹する分を今年発注するのでは、そもそも生長的に間に合わない。
運良く、在庫が”余っていれば”来春分を発注しても確保することはできる。
しかし、在庫を苗木業者側が余分に用意していても、結局購入見込みが無いとただ要らない在庫なので、余分にはわざわざ用意は基本していない。

もし在庫が余分にあったとしても、日本においては大体「5BB」という台木に接木されている。
5BBは根が他台木より比較的深く根付き、樹勢が強いので、樹勢の強い穂木と組み合わせると樹勢管理が大変になってしまう。
そして日本で通常発注できる品種は国際品種が多く、ほとんどのそれら品種は樹勢が強い。

「101-14」や「3309」といった台木は5BBの次に多いように思う。
「101-14」は根を浅く樹勢を抑えたい場合には有効で、他台木より糖度もより確保でき収穫も早められ湿気にも強いが、乾燥に弱く寿命も長くはない。
「3309」は、101-14より少し晩成で、少し粒が大きくなる。そのため色素は薄くなるが収穫量が稼げる。

他にも、主に流通している台木は上記含む10種類ほどしかない。それぞれ特性がありメリットデメリットがあるが割愛。

もっともっとマグネシウムやカルシウム、石灰耐性なども考慮して接木していく必要はあるが、結局のところ「やってみないとわからない」とはよく聞く。
やはり台木だけではもちろん語れない。芽かきのタイミングを遅らせて養分を分散させることによって樹勢をコントロールしたりもできるし、台木はあくまで”一因”ではある。

台木の種類も品種ももっと増やせないものか、と思い一時期苗木屋さんを目指そうと思い苗木屋さんに直接お話を聞いてみたこともあったが、結局かなりブラックボックス化もしており、自分ではその問題に対して正直そこまでの熱量が持てなかった。

確かにワイン用ブドウ専門の苗木業者さんがもうちょっとあれば良いなとは思うけれど、ただ苗木業者を増やせばいいというそういうことでもないな、とも思ったし、
自分がやるべきことの順番がまず違うな、とも思った。


完全発注制で”余分がない”のは、生産者が注文するものがバラバラすぎて、苗木業者としても余分が作れないためでもある。

ちなみに語弊がないように付け加えておくと、しっかり前々年までにはしっかり発注すれば何千本でも調達は可能ではあるので巷でよく聞く「苗木が不足している」は正しいが正しくない。

ただ、そうすると、新規参入や土地の入手など”タイミング”が合わないとスピード感のあるスタートダッシュがなかなか難しい。


つまり、その土地で使う品種をブランド化し生産者側で求める品種をコントロールすることのほうが、自分ができることであり双方にとっても相乗効果がある。

各土地に原産地呼称が定まっていればそれはそれで良いのかもしれないけれども、現タイミングではまだまだ難しいだろう。何十年後の話だろうか。

あの地域だったらこの品種、造り方だよね、といったものがあると、ブランド化やサポートもされやすいし、”イレギュラー”が生まれそれに対するアプローチも生まれる


そんなこんなことを思って、長らくは”某1品種”のみで仕掛けて拡大していく予定なので、今回の発注に手こずった。

いろんな品種に手をつけすぎると、製品化も今度は大変になるし、混植混醸系は個人的には好きだけれどワイナリーや地域のブランドが無いとなかなか売りにくい。
「良い品質」であることは大前提だが、製法や売り方など、いろんなアプローチの魅せ方がある。

日々”ワイン”の勉強。
ワインはコウノトリさんが運んでくるわけじゃない。

苗木を植える”準備”もかなり大変なので、そのうちまたレポートをば。


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