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こんにちは。

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最近の記事

呪い

僕はもう何年も呪われているーーー。 だが、僕は呪いにかけられたわけではない。僕ともう一人で「呪いの儀式」を行ったからだ。 呪われたのは社会人五年目の早春、桜の蕾が膨らみ始めた頃。それまでの僕の人生は順風満帆だった。小、中学校時代はいわゆるクラスの一軍と呼ばれていたし、それは高校になっても変わらなかった。高校受験に成功し、地方ではまあそこそこの進学校に入学できた。スポーツも万能で、どの部活でも期待のルーキーとして僕を欲しがった。大学は指定校推薦を使ってそこそこ有名な私立大学

    • 夏日

      中学最後の夏、夏休み目前のとある一日。 「匂いは記憶に残りやすい」 二時間目も終わりに近づいた頃だ。一番うしろの窓際で頬杖をついている時、ふと頭に浮かんできたその言葉をどこで知ったのだろうと思い机に伏せてひとしきり考えを巡らせてみるも、答えはすっかり記憶の引き出しの奥へ押し込まれていてわからずじまいだった。教室は一時間目の時点で窓を閉めて空調を効かせているのでひんやりとした机とたまにくる冷たい風が心地よく、大嫌いな数学で頭にキンキン響く数式の説明でさえほとんどラジオを聴い

    呪い