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薬と再生医療―②iPS細胞と製薬研究―

こんにちは!



きょうです!



今回も
私の研究の専門分野である


「再生医療」と「お薬」


についてお話しようと思います。



前回は、「再生医療」という


最新の医療の解説と

「細胞」についてお話しました。


まだ記事を読んでいない方は


とってもわかりやすく説明したので
是非、読んでみてください(*^▽^*)


今回は

iPS細胞と薬について

お話したいと思います。


この記事は5分で読めます!

是非、読んでみて下さいね。


薬と遺伝子

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目次

1.iPS細胞ってなに
2.iPS細胞を薬にする
3.iPS細胞を薬の研究に生かす


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1.iPS細胞ってなに



皆さんはiPS細胞って聞いたことありますか?

「ノーベル賞」「山中先生」
「難病を治す可能性がある細胞」

こういったワードが浮かびますでしょうか。


全部正解です(笑)



「iPS細胞っていったいどのような細胞なんだろう」

はじめに、この疑問を解消していきましょう!




前回の記事でもお話しましたが、
私たちのからだは
もともとは1個の細胞、「受精卵」でした。


受精卵は何度か細胞分裂を繰り返し
「初期胚(受精後の日が浅い胚)」という、

骨や血液、心臓や指、肺や脳など、

からだのあらゆる部分に変化できる細胞の集合体に成長します。


いったんからだのどこかの部位の細胞になり始めたら、
ほかの細胞になるようなことはありません。


例えば、皮膚になった細胞は、
いくら細胞分裂を繰り返しても皮膚の細胞になります。


自分の皮膚から目が生えてきたら恐ろしいですよね?(笑)



こんな感じで、
骨や神経など、他の細胞にはなれない"一方通行"なのです。



ですが、もし、、、



時計の針を逆回しにするように細胞の時間を巻き戻し

受精卵のような状態にタイムスリップして、、

心臓、皮膚、骨、神経、血液など、

どのような細胞にもなれる細胞を作り出すことができたら……。


・失われた臓器やからだの機能を修復させる

・生命が生まれ育つ仕組みを解き明かすことで
新薬や新たな治療法の研究開発にもつながる


こんな事もできてしまうのです!


考えただけでもワクワクしますよね!



こんな夢のような事を実現させたのが、
山中教授が発見したiPS細胞なのです。



山中先生は
皮膚などのからだの一部になってしまった細胞に


ある4つの遺伝子を入れて育てると


さまざまな組織や臓器の細胞になれる
初期胚の細胞のような能力を持つ


しかもほぼ無限に増やせる細胞ができることを見出しました。


これが
「人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells)」

略してiPS細胞です。

受精卵


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2.iPS細胞を薬にする


現在はiPS細胞から

目、神経、心臓、血液、肝臓、膵臓、骨などの

細胞を作る試みが行われています。


ここで、「自家移植」と「他家移植」
というワードについて説明します。


2014年9月に、理化学研究所などのチームが世界で初めて、
目の難病「加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)」

の患者にiPS細胞から作った細胞を移植する手術を行いました。

この手術で使われたのは

患者自身のiPS細胞から作った目の組織でした。



自分の細胞が大もとになっていて、
自分に移植するので「自家移植」と呼びます。


とても意義深い治療法ではありますが、
いわばオーダーメードの治療法のため、

現在は時間も費用もかかります。



そこで、iPS細胞からあらかじめ組織や
臓器の細胞を作っておき、


病気やケガをした人の"薬"として使えないかという研究も進められています。


誰か(=他人)のiPS細胞から作った細胞を使って
自分に移植するので「他家移植」と呼びます。



現在、視力を失っていく目の病気の治療や、

事故などで損傷した脊髄(せきずい)の神経細胞を
修復させるための細胞作り、

輸血用の血液不足を補うための血液成分を作る試みなど、


他家移植の研究がいくつも進行しています。


他家移植では、自分以外の細胞を異物ととらえて
排除しようとする「拒絶反応」を起こさない工夫が必要です。


人間の細胞は、免疫学的にいくつかのタイプに
分けられることが分かっているので、


タイプごとのiPS細胞をストックしておき、
そこから移植用の細胞を作り、


拒絶反応をなるべく起こさないようにしよう、という工夫がなされています。

画像3


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3.iPS細胞を薬の研究開発に生かす



iPS細胞は、新薬の研究開発にも大いに役立ちます。

大きく分けると使い道は2つ。



① 薬の有効性や安全性を確かめる試験に使うこと

② 難病の治療薬を見つけるために使う



というものです。順を追って見ていきましょう。




① 薬の有効性・安全性を確かめる



世の中に薬が登場する前には

有効性や安全性を確かめるために
いくつもの試験が行われます。


最初は
試験管などの器具の中で動物や人の組織を用いて試験を行い、


動物にはどのように作用するのか、
人ではどうか……と調べていきます。


人の細胞にどのように作用するか、

あらかじめ十分に確認できればいいのですが、

それには限界があります。



薬の研究開発に使うために、

人の心臓や肝臓の細胞をとってくるなんて、

簡単にできることではないからです。



そこでiPS細胞の出番です。


例えばiPS細胞から、

人の心臓の筋肉の細胞を作ったり、

肝臓の細胞を作ったりして

それらを用いて調べることで、
薬の成分がどのように作用するのか、

安全性に問題はないかなどを確認することができます。




② 難病の治療薬を見つける


世の中には原因不明の病気がたくさんあります。

その背景には、もともと生まれ持った遺伝的な要因が

隠れていることが少なくありません。



代表例が、

神経細胞が弱ったり、死んでしまったりして
正しく機能しなくなって起きる「神経変性疾患」と呼ばれるものです。


ALS「筋委縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)」、
パーキンソン病、アルツハイマー病
などがあります。




これらの病気になった患者からiPS細胞を作り、
神経細胞を作ってみると、

病気の患者と同じような性質をもつ異常な
神経細胞が作られることがあります。


この細胞に新薬の候補となる成分を作用させ、
正常な人と同じような性質をもったかどうかを確認すれば、


病気の症状を改善する効果はあるのか、

副作用はないのか


といったことが調べられるので、
新薬の候補を絞り込みやすくなります。



このように、iPS細胞を活用して新たな
治療薬を創り出すことに国も注力していて、

治らないと思われていた病気が治る病気になる。
可能性があるのです。



iPS細胞を用いた薬や治療法の研究開発は、
難病に苦しむ患者を1人でも減らすために、

日々進化を続けています。


医療の発展は簡単なことではありませんが、

多くの製薬企業や大学院が人の健康に貢献しようと

日々、努力しているのです。

実験

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今回は以上です。


この記事を読んで

少しでも、
「再生医療って面白いな」
「興味あるな」

と思っていただけたら嬉しいです。

ありがとうございました!




きょう

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