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記野式:サクッと!ゲーム業界講座 9月後半号

こんにちは。概して涼しい夏だったなと思ったら猛暑がぶり返しています。1日の気温の差だけでもびっくりしているのに、最近の暑さには度肝を抜かれますね。体調管理はしっかりしていかないと、ですね。

いよいよ東京ゲームショウ 2021が9月30日~10月3日に行われます。今年もオンラインですが、プレスのみではなくインフルエンサーを巻き込もうとしているところが新しい!リアル会場ではないですが、Microsoftが何か新しい発表をしようとしていたりするので期待しましょうぞ!

Nintendoも24日早朝にNintendo Directを行いましたね。圧倒的なタイトルラインナップに加えて久々に宮本茂様を拝ませていただき幸せでした。あ、宮本さんは映画『Super Mario Bros: The Movie』の予告でいらっしゃいました。

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2022年年末に上映される予定のようで豪華声優陣の発表もありました。楽しみだわーん♪

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さて、8月のアメリカ市場データNPDと世界のモバイルゲーム市場データ(SensorTower)の報告をしますが、まえがきで中国のゲーム業界規制のアップデートをしてみましたのでご一読を。

今回の目玉はNPDが9月13日(アメリカ時間)に開催したオンラインイベント「Evolution of Entertainment 2021」にて公表されたアメリカのホームエンタテインメントに関するデータです。ゲームのみならずアメリカにおけるホームエンタテインメント全体のトレンドを見ていきましょう。

今回の為替レートは1ドル=110円、1中国元=17.1円で計算しています。

<記野式まえがき:中国のゲーム業界規制アップデート>

中国不動産大手の「恒大集団」のデフォルト(債務不履行)が懸念され世界の株式市場は戦々恐々としています。2008年のアメリカのリーマンショックを彷彿する大きな関心ごとになっています。

それだけ中国という国の国際社会における存在感の大きさが明らかになったわけですが、ゲームを含むIT業界においても大きな影響を及ぼす政府の規制がかかってきています。

世界最大のゲームメーカーであるTencent、それを追うNetEaseは双方とも中国企業であり、これらの中国大企業は世界中のゲーム関連企業の親会社または出資者となっている現実があります。

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前号のまえがきで中国当局がオンラインゲームの規制強化を行ったとお伝えしました。内容は「18歳未満の子どもにオンラインゲームを提供できるのは週末(金、土、日曜)と祝日の20~21時の1時間のみ」。つまり、未成年(18歳未満)の若者たちは週3時間までしかオンラインゲームを遊べないことになったのです。

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当局は今後これらのゲーム企業への査察回数を増やし、査察態勢も厳格化する方針を示したとされています。これを受けて中国最大手のゲームメーカーTencentやNeteaseなどの株価が下落したこともお伝えしました。

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そして…9月に入ってから規制当局からTencentとNeteaseが呼び出されたようで、その内容は、会社そのものとプラットフォームに対し「ゲームコンテンツの精査」を強化するよう命じた、と新華社通信が伝えています。

「ゲームコンテンツの精査」とは卑猥で暴力的なコンテンツや、拝金主義や女尊男卑などの不健全な傾向を助長するものは削除すべきとのこと。この規制自体は悪いことではありませんね。

2019年から16歳未満向けのゲーム内課金を1回50元(約855円)としていた規制がありました。Tencentの『Honor of Kings(王者栄耀)』ではすでに今年8月から12歳以下のユーザーには一切の下記ができない仕様にしています。

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しかしながらこの規制に対して、未成年者が成年者の家族の名義を借りて認証をクリアする「抜け穴」があると指摘されたようです。

9月1日から運用されているこの制度下においては、未成年者が成年者と偽ってログインできないようにするため、ゲーム提供側が実名検証システムを構築しなければならなくなりました。

そんなこんなで、せっかく値を戻していたTencentとNeteaseの株価は大暴落しました(現在は株価を戻しつつあります)。

ロイターによると、これらの規制強化を受けてNetEaseが9月頭に制作スタジオと開発プロジェクトの一部の規模を縮小!とサウス・チャイナ・モーニングポストが報道しました。

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記事によると、NetEase上海とNetEase杭州勤務のプログラマーやデザイナー、アーティストなどが社内外で別の部署に異動になったとのこと。

また、9月16日のBloombergによると、中国の規制当局が今後開発されるゲームコンテンツについて、未成年者保護という点でより厳しい基準下の審査を強化する方針とのこと。つまり、、、新しいゲームのセンサーシップ(検閲)申請における承認がさらに遅れることになると言うことです。

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中国では2018年3月から10ヶ月間ゲームの承認が凍結されていました。2018年12月には再開されましたが、これによりPlayStation、Xboxも含めたあらゆるゲームメーカーが発売日を調整せざるを得なくなりましたから…。

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中国市場にタイトルを発売する場合はこのセンサーシップ期間を鑑みねばならないため発売日をメーカー側が前もって決めることは不可能ってことですよね。

<2021年8月 米国市場動向 NPDデータ分析!>

さて、アメリカのゲーム市場のレポートに参ります!

NPD によると、8月のアメリカのゲーム市場全体の売上規模は前年同月比7%アップの43億7,000万ドル(約4,807億円)となりました。2021年の累計売上金額も379億ドル(約4.1兆円)で、こちらも前年比13%のアップとなっています。

軽量化されたPlayStation 5 デジタルエディションや、有機ELを搭載した大画面のNintendo Switchの登場などハードウェア関連アップデートを受けて今後さらに売上金額アップが期待できますね。アメリカ市場の成長はまだまだ止まらない予感です。

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